第1話
2017年4月6日春
私立百合ヶ丘第三高校の入学式である。
元々は女子校であったが近年の少子化に伴い共学化し、今ではスポーツに力を入れた学校であり、勉学に対しても高い進学率を誇っている。
「よっしゃあぁぁぁぁー!
遂に始まったぞ!俺の高校生活!」
俺の名前は春木桜(はるき さくら)
今日からこの百合ヶ丘第三高校の新入生だ。
まさか本当にこの高校に受かるとは思わなかったぜ。
中学の担任からは「もっとランクを落とせ」とか親からは「もっと現実的に考えなさい」って言われていたが、なんとか補欠合格で滑り込めたぜ。
「やば!もうこんな時間だ!? 速いとこ入学式の会場に行かねぇと遅刻してしまう」
〜〜〜〜
「……であるからして君達新入生は…」
やばいな。
校長先生の話長いし、眠いし、面白くないし、究極の三重奏だぜ。
と思っていたらようやく校長の先生の話が終わったようだ。
「校長先生ありがとうございました。ただ今から新入生代表の挨拶です。」
進行役の司会の人が噛まずに淡々と言った。
「新入生代表 秋元香恋(あきもと かれん)さんお願いします。」
「はい」
最前列に座っていた1人の女生徒が立ち上がり、舞台の方に上がって行った。
綺麗に整えられている黒髪は背中の半分まで伸びており、とても整った顔立ちをしている。
「アイツ東中の秋元香恋だろ」
「ああ、中学の頃からすげぇ頭良いって言われていたもんな。もっと偏差値の高い学校に行くと思ってたよ。」
周りからそんな声がヒソヒソ聞こえてきた。
彼女は毅然とした態度で代表の挨拶をやってのけた。
「以上で入学式を終了させて頂きます。新入生の方々はこの後クラスでの集まりがあるので担任の先生の指示に従ってください。」
「ここが俺のクラスだな」
教室に入ったらみんなもう仲の良い人達同士で話していたら、LINEの交換などをしていた。
とりあえず黒板に自分の名前が書かれている席に座り、先生が来るのを待っていたら横から1人の女の子に話しかけられた。
「あの、すいません」
「うわっっ!?驚いた。」
「ごめんなさい!驚かせてしまいました。」
「悪い。俺もボッーとしていて気づかなかったよ。それでどうしたんだ?急に話しかけてきて」
「あのあなたが座っている席私の席なんですが…」
「え?」
もう一度黒板の方を見てみると俺の名前は最後尾1番端っこの窓側の席だが今俺が座っている席はその1つ隣りの席である。
マジかよ。
俺いきなりミスってるじゃねぇか。
すぐに席をその女の子に譲った。
「ごめん!ちゃんと座席表確認してなかったよ。」
「大丈夫ですよ。気にしないでください。」
彼女はそう言いすぐに鞄から本を取り出し読み出した。
そして前のドアの方から先生が入ってきた。
「初めまして!皆さん!
今日からこの1年1組の担任になった野坂朱美(のさか あけみ)です!宜しくお願いします。」
こうして俺の高校生活が幕を開けたのであった。
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