第15話 頑張った

沙希と一緒に永遠はお昼ご飯を食べに屋上に上がる。

「沙希!私、頑張った!」

胸の前で両手をぎゅっとして自分を褒める。

「永遠、えらいなー。あれのために。」

「もう。でも、みんな酷いよ。」

森川くんが当たりくじを引いた時の反応もそうだし、田中さんが当たりを引いた時も森川くんが悪いみたいな感じだった。

「仕方ないじゃん、森川だし。」

「そうだけど、でも本当の彼は優しい人だよ。」

「まあ、不器用というか、誤解は多そうだよね。」

「そう!そうなの。沙希もそう思うでしょ。」

不器用で誤解が多いけど、分かればそんな事はない。だから、わかりたいと思う。だけど、話す機会が少ない。もっと話したい。

「なんだか、永遠が生き生きとしているような。」

「今までは色々理由つけられて逃げられちゃったし。」

朝の電車はもう慣れたみたいで前ほど文句を言わなくなったけど、学校でも話そうと提案すると色々理由をつけられてダメだった。

「でも、これで正当な理由ができた。」

森川くんもこれなら嫌だとは言わないはずだよね。

「うーでも、やっぱり嫌かなぁ。」

とはいえ、森川くんのことだからダメかもしれないという不安が過ぎる。

「永遠ー?話聞いてー?」

「うーん…」

 「全然、聞いてない〜。聞いて!永遠なら、大丈夫だよ。嫌ならあいつのことだから実行委員降りてるって。」

「そう…だよね。」

「そうそう。大丈夫大丈夫!それに聞いてみなきゃわかんないでしょ?」

「確かに、沙希!」

「はい!」

「そうとなれば、早くご飯食べよ!」

「う、うん。そうだね。」

沙希が引いていることに全く気がつかない永遠だった。

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