第13話 不良はお静かに
駅員室に呼ばれ、事情を聞かれることになってしまった。永遠の人生でこんな事初めてだよ。テレビのなんとか警察で見るくらいだよ。永遠は事務所に向かう中、とにかく冷静になろうと、深呼吸をする。
「森川くんは喋っちゃダメだからね」
森川くんは悪くないけど、見た目と言葉でどうしても悪者になっちゃうと考えて、森川くんには今は静かにしていてほしかった。
「な、なんでだよ?」
「いい?森川は見た目と言葉使いがもうダメ。だから、喋らないでよ」
「さ、沙希。そんなストレートに言っちゃ」
「ちっ。わかりましたよ。黙ってりゃいいんだろ」
「あ、拗ねた。森川くん」
「ちょっと、静かに。私に任せて」
そんなこんなで事情説明に向かった。
事務所に入ると警察も来ていた。
どうやら事情説明は警察にしなくてはいけないようだ。永遠と沙希は目を合わせて、私たちは悪くないのだからと気持ちを強くもった。
「それで?何があったの?君たち高校生よね?」
後ろに男性警官が立ち、椅子に女性警官が座り質問をしてきた。
「宇都宮第一の西村沙希です。こっちが結城永遠、これが森川です。」
「ぼ、僕は高山洋二です。」
「同じ高校みたいだけど、喧嘩?」
「違います。盗撮されたみたいで」
「ふうん?そこの森川さん?君がそこの少年に暴言言っていたって話もあるんだけど?」
「んあ?」
「ち、違います。盗撮したか確認しただけです。むしろ、森川くんが私たちを守ってくれて」
「なるほど。とりあえず君のスマホ確認してもいい?」
「な、なんでですか?被害者は僕ですよ」
「でも、事実なら問題よ?」
「う、わ、わかり…ました」
高山くんがスマホのロックを外して女性の警官に渡した。
「これかな?」
永遠が見るとそこには沙希と森川くんと一緒に写っている写真があった。さらに横にスライドすると沙希が森川くんと話して無意識に体が前のめりなった瞬間、スカートと太ももを狙った写真があった。
「ちょっと!」
沙希が大声で怒る。
「すみませんでした…」
「どうします?被害届出します?」
「とりあえずデータ削除してください。それから…」
「よかったのかよ?あれで」
沙希の対応に不満がありそうな森川くん。言いたそうにはしていたけど、ずっと見ていてくれた。
「まあ、別に撮られて困るもんじゃないし」
「森川くん、沙希は問題を大きくしたくなかったんだよ?」
「データ消して二度とやらない誓約書書かせただけだろ?学校やら親には言わないって。またやるだろ。」
森川くんの言いたい事は分かるけど、それ以上に問題にしてはいけない事があった。
「だ・か・ら、森川くんも問題なの!この前、私のことでかなり大変だったんだよ?また学校で騒ぎになったらどうなるか…心配なの!」
「お、う。」
「永遠に森川が負けてる。ぷ、ぷぷ」
「んなわけねーだろ!こんなチビに負ける訳ねーだろ!」
「ひどい…森川くん」
永遠はわざとしゅんとすると、森川くんが困ったような表情になる。
「な、なんだよ」
「あはは」
それがおもしろかったし、興味なさそうで興味をもって見てくれていることがちょっと嬉しくもあった。
「もうしらねーからな。俺に関わるな」
「でも、もしまたそんな事があったら森川が助けてくれるでしょ」
「はぁー??知らん!先に行く」
「永遠、応援はするけど、あれは大変だよ?」
「あ、あはは。でも、やっぱり優しい人だよ」
「今度連絡先聞いてみようかな?永遠は知って…ないんだね。」
「沙希?今度、私が!聞いてみるから!」
「はいはい。永遠は怒ると怖いから」
二人で先に行く不良を追いかけることにした。
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