第3話 悪者退治
「はぁ…めんどくせぇ…」
そんな願いなんて願い下げだと思いながら女の子を押さえつけていた不良を引き剥がし、殴り飛ばした。
「な、なにしやがんだ!てめぇ!」
「悪りぃ。通り道にいたから殴った」
「は?ふざけんなよ」
誰が誰だか分からんが、相手がブチ切れた事は確かなようだ。
「邪魔なんだよ。」
秋次は容赦なく最も近くにいる不良を蹴り飛ばした。
「てめぇら、やっちまえ」
相手も戦闘体制に入ったらしい。
「テレビの見過ぎじゃねぇのか」
秋次は相手全員の注意を引き、女の子から意識が外れたことを確認しながら容赦なく殴り飛ばす。相手も殴りかかってくるが、うまく躱しながら女の子と不良どもの間に入り込む。
「なんだ?同じ学校か。」
制服を見て秋次と同じ学校だとすぐに分かった。
「お前、運がいいな。まだ、動けるか?」
「え?」
彼女と目が合った。たしか結城…なんとかだったはすだ。
「結城…だっけか、動けるか?」
秋次は攻撃を躱したり、防ぎながら彼女に話かける。
「う…」
結城は地面にへたりこんでいる。どうやら恐怖で腰が抜けてしまったのだろう。恐怖は毒だ。一度、恐怖に支配されてしまうとすぐには動けないだろう。秋次も今の状況に恐怖が無いと言えば嘘になる。だが、恐怖をコントロールできれば自身の行動が慎重になり冷静にもなれる。
それに秋次に余裕がある相手に連携がないからだ。集団の利点はまさに連携による攻撃と防御だ。しかし常に1対1になるよう仕組めば負ける事はない。場所も路地という比較的狭い場所だから仕組むのも容易だった。
「こいつ!死ねや!」
怒りを募らせたリーダー格の不良がナイフを出し、突っ込んでくる。
「めんどくせぇ…」
秋次は呆れながらも構えるが、動きは単調過ぎて対応は簡単だ。ナイフを少し躱して手首を掴んだ。
「は?」
次の瞬間にはリーダー格の不良は地面に倒れ秋次がナイフを首に当てていた。
「雑魚過ぎ。な?死ぬか?それともママのお家に帰るか?」
「く…ふざ」
「ママのお家に帰るよな?」
首に当てたナイフに力を入れる。不良と目が合い睨みつける。
「わ、わかった。か、帰ります…」
そう言うので秋次がナイフを離すと不良どもは一目散に逃げて行った。
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