処方6 2回目
ああ、ストレスが溜まってきたのを自覚してしまった。訳もなく涙が出そうになるし、気力なんてものはとうの昔に消え去っていた。それらを総合して、自分はストレス状態であると判断した。
今も気力体力共に無くなり、ぐったりと布団に寝そべっているところだ。
「こんな時……テディーがいればなぁ……」
以前、テディーという動くクマのぬいぐるみが私を癒しに来てくれたことがあり、それを思い出してポツリと無意識のうちに独り言ちてしまった。
何故ぬいぐるみが動くのかは分からないが、可愛いのなら問題はない。あのきゅるるんとした目に、あのふわふわもふもふな毛並み……思い出しただけであの手触りを求めてしまうのも仕方がないだろう。
そうだ、今の私の状態はきっともふもふ不足に違いない。ストレスも実際溜まっているだろうが、それ以上にあのもふもふが足りないんだ、きっと。
それならテディーにまた来てもらえばいい、とまで考えたところで、前回はどうやってテディーが来てくれたのか分からないことに気がついた。
詰んだ。テディーを我が家に呼ぶ方法が分からないと、今日来てもらえない。
「てーでぃーいー……」
取り敢えず名前を呼ぶが、これで来てくれたら苦労はしない。
「はーあーいー? 今日のお疲れさんはここかな?」
「……!」
「あ、この前のお疲れさんだね。久し振り~」
ニッコリ笑って私に向かって手を振るテディー。
ああ、来てくれた! 愛しきもふもふが目の前に! 私の目は少しだけ生気を取り戻した。
「テディー、今日もモフモフさせてー……」
「もちろん良いよ~」
そう言ってテディーは私の元にトテトテと歩いてくる。その後ポフッと私に抱きついてきた。はわわ、今日のモフモフ具合も素晴らしい。最高だ。
私は両手と頬でテディーの毛並みを堪能する。極上のふわふわもふもふが私に癒しをもたらしてくれる。
「はわわ……」
「今日もお疲れ様です。存分に僕をもふもふして?」
「そんなこと言われたらずっと付き合ってもらうことになるよ?」
「いいよ~。それでお疲れさんのすとれす?が無くなるなら幾らでも。」
テディーは素晴らしい毛並みを持ち、更には優しいときた。手放せなくなるのも仕方なかろう。
「今日もお疲れ様です。」
「テディーにそう言ってもらえて嬉しいな~」
「ふふふー」
テディーのふわふわもふもふに顔を埋めると、溜まっていたストレスがスーッと小さくなっていくのが自分でも分かった。
テディー、ありがとう。
心の中で感謝したのを最後に、私は深い眠りについた。
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