第23話 いじめっ子VS長閑
「ねぇ? ちょっときなよ」
授業前に一番最初に絡んできたリーダー格の女子が、顎を廊下側にクイっと向けて長閑を誘った。長閑は素直にそれに応じ立ち上がる。
(ふぅ……ま、そうなるのか。なんかこういう奴らって、女も男も行動パターンがみんな一緒なんだな……いじめっ子マニュアルでもあんのかな……?)
廊下に出ると、リーダー格の女子を先頭に長閑、後の数人の女子とつづき、そのまま挟まれて女子トイレへと入って行く。
全員が中へ入るやいなや、長閑のすぐ背後を歩いていた女子が突き当たりの窓を慌てて閉め、また後の数人は出入り口に立ち塞がった。
(おいおい……まじかよぉ……)
それを見届けるとすぐにリーダー格の女子がクルッと反転し、長閑に一歩近づき胸元を片手で絞り上げてきた。
「おい! あんた私達をなめてんでしょ? なにニヤついてんの? いい加減にしろよな」
「別に……舐めてないよ」
長閑は、いちおうタエ本人のこともあるので問題がはっきりとしない内は事を荒立たせまいと普通に振る舞おうと考えていた。
だが、女子の次の行動で考えをすぐに改めることになる。
「だから! その言い方が舐めてるって言ってんじゃん! あんたごときが私達に何普通に口聞いてんだよ!」
パシ! リーダー格の女子の左掌がスイングし、長閑の右頬が弾け、そのまま強制的に左を向かされた。
(おいおい、これはダメだな……タエちゃんここまでのイジメを受けてたんか?)
そして還す刀で、その左手の甲が長閑の左頬を目掛けて戻ってきた。
長閑はこともなげにそれを頭を後ろに引いて避けると、その動作を見た驚き顔の女子達を尻目に、胸ぐらを掴んでいる女子の右手を両手で掴んだ。
「な!」
長閑の思わぬ行動に全員の目が見開かれた刹那、リーダー格の女子は短い驚き声を発しながら仰向けでトイレの床に寝転ばされていた。
長閑は上から見下ろした状態で、掴んでいた女子の右手を捨てるように前に放り投げた。
投げ飛ばされた女子は、驚きの表情で床に張り付いたまま動けずにいた。そして周りの女子達も長閑を放心状態で見たままでピクリとも動かなかった。
「道、あけてもらえる?」
長閑は無表情のままトイレの出入り口を挟むように立っている女子達にそう言った。
「え? あ!」
長閑の言葉で我に帰ったようにハッとした女子達は滑るように道を譲った。
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