第6話 光が見えた
ヴィヴィは眉間に皺を寄せ、眉間に手を当てた。
ただ……、その瞬間、メリアは目をキラリと光らせた。
そしてその光をヴィヴィも見逃さなかったものの、なんの光なのかは分からず不気味に感じた。
「……、――分かった。もういい。それで真面目な話をしてくれるなら、私は文句ねぇ。まずなぁ、私たちの立場を改めていうが、魔王は五年前に勇者に打倒されて――」
ヴィヴィはメリアが何かの企みを図っているのではと思い、話を進めようとした。
だが、
「そんなことよりヴィヴィさん。ちょっとよろしいですか?」
メリアは口を挟むと、ヴィヴィの返事を待たずに素早く続けた。
「先ほどヴィヴィさんは眉間を押さえていらっしゃいましたが、そのとき目は開けてらっしゃいましたよね?」
「――――。それがどうした?」
ヴィヴィは一瞬だけ言葉が詰まったが、平静を装った。
しかしメリアは――、メリアの目は微笑みのせいで実に細くなっていた。
けれど語りは、相変わらず、ただただ淑やかであった。
「いえ、別に……。たいしたことはないのですが、普通の方が眉間を手で押さえれば、目は閉じるのでは……と。仮に開けていてとしても、床のほうを見るのでは……と、思いまして」
「――――――」
言われて、ヴィヴィは今度こそ言葉に詰まった。
急に背筋に汗が垂れだした。
一方、メリアはやはり淑やかに言葉を続ける。
「しかもヴィヴィさんの目は、明後日の方角を向くでもなく、どこか一ヶ所か二ヶ所をチラチラと見ていらしたように、私はお見受けしました。そして、その一ヶ所、二ヶ所とは――」
「――おい、真面目な話をしようぜ」
「一ヶ所、二ヶ所とは、私の胸と下半身――とお見受けしましたが、違いましたか?」
ちなみに私は真面目に聞いています。とメリアは付け加える。
そしてメリアは、おもむろに立ち上がると、ヴィヴィの脇にまで近寄る。
しかし近寄ったというのに、メリアの顔は逆光になっていて、まるで見えなかった。
そして、そして――、メリアはヴィヴィの耳元で、
「やっぱりヴィヴィさんも、エッチしたりないんでしょう?」
甘く囁くと、
「ま、待て――――」
ヴィヴィは、悲鳴じみた制止の声をあげたが、メリアはヴィヴィに――
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