第2話 朝チュン・ピロートーク
教室。
本来なら生徒どころか誰もいるはずのない早朝の教室に、二人の少女がいた。
しかも教室にいる少女ならば制服を纏うのが普通のはずだが、その制服はほとんど脱ぎ散らかされており、少女らの状態としては半裸に等しかった。
というか、端的に言って、その光景は誰が見ても情事の後であった。
なんか、床の一部が濡れているし。
そして、その二人の少女は――、
……やっちまった――。
まず一方の少女、魔王の娘ヴィヴィは青い顔をしていた。
ただもう一方の少女、勇者の娘メリアはと言えば、
「昨日は、とっても気持ちよかったですね」
とシャツ一枚の状態で、赤らんだ頬で微笑んだ。
ヴィヴィはその顔を見ると昨晩のことが夢だったのではと思えてしまうが、現実は確かであった。
魔王の娘ヴィヴィと勇者の娘メリアは、ともに様々な立場やしがらみがあるにも関わらず、ともに一夜を明かしてしまったのだ。
これがバレれば、ここ地球ではともかく、異世界では大スキャンダルで大騒動になること確実であった。
ヴィヴィは裸にブレザー一枚羽織った状態で意味もなく教室をうろつき始めた。
するとメリアもそんなヴィヴィの様子に何かを察したのか、静かに口を開いた。
「あの……、ヴィヴィさん……」
落ち込んだような声だった。
やはり一見して明るいメリアも、勢いに任せたことを後悔しているのか、とヴィヴィは思う。
だがメリアは、
「やっぱり、エッチしたりないですよね?」
そう言った。
言われてヴィヴィは硬直した。
メリアはいくらか恥ずかしそうだが、後悔なんて微塵も見せずに言った。
しかも、
「えっと……、用務員さんが見回りをされるのが八時ですので……、今からだと三時間できますね」
しかもその口ぶりは、もう一回戦を持久戦ですることが決定しているかのようだった。
どうやらエッチしたりないのは、メリア自身らしい。
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