チョコに情熱を捧げる日

 2月には、一年で最もチョコに情熱を捧げる日がある。そう、2月15日だ。


 えっ。2月14日、バレンタインじゃないのかって?

 違う違う。私にとってはその翌日、2月15日こそが勝負の日なの。というわけで、本日がその2月15日。私は、近所のスーパーにやって来ていた。


「ゴディバのチョコが半額! こっちはピエールマルコリーニが半額。あっ、リアルな恐竜の形をした変わり種もある。もちろんこれも半額!」


 スーパーの片隅には、高級チョコの数々が、いずれも半額シールを貼られた状態でワゴンに積まれている。

 そう。これらは全て、バレンタインで売れ残ったチョコ達だ。


 つい一日前までは、あなた方が主役ですよといった感じで仰々しく持ち上げられていたのに、一夜明けると用済みですと言わんばかりにこんな扱いになってしまう。

 そこにちょっぴり寂しさを感じるけど、私にとっては嬉しい限りだ。


 だって高級チョコが半額だよ。同じお金で二倍の量買えるんだよ。こんなお得な日が他にあるだろうか。いや、ない!


 だから私にとって、2月15日は一年の中で最もチョコに情熱をかける日。元々お菓子が大好きだけもど、あまりに高いものは、なかなか手を出せない。そんなリミッターを解除して、この日ばかりは何軒ものスーパーを回り、半額になったチョコを買い漁る。

 そして、夜になったら今年の戦績を確認し、ゆっくり食べ比べするのだ。


 というわけで、次のスーパーに行ってみよう。そう思ったところで、鞄に入れていたスマホが鳴った。

 とってみると、旦那からのメッセージが届いていた。


『会社帰りによったスーパーで、すっごく好きそうなチョコ見つけたよ。もちろん半額。今夜一緒に食べようね』


 一緒に送られてきた画像には、確かに、とっても私好みのチョコが写っていた。これは食べたい!


 旦那も私に負けないくらいのお菓子好き。一緒に食べて、感想を言い合うのが、毎年の恒例行事になっている。

 去年はチョコを食べすぎて太ったけど、旦那も一緒に太って、それから共に励ましあってダイエットしたな。


 これが私の、私達夫婦にとっての、バレンタインの楽しみ方。

 今宵旦那と一緒に食べるチョコは、とても美味しいものになりそうだ。

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