推しの秘密基地
「Aセットでドリンクをアイスティーで……あ、サラダのトマト抜きでお願いします」
「かしこまりました。先にドリンクのお渡しです。お食事は席までお持ちしますね」
「はーいありがとうございます」
アイスティーが乗ったトレイを受け取り階段を登る。目指すのは二階のいつもの席。観葉植物に囲まれたふかふかのソファにゆっくりと腰を下ろして一息つく。
ここは私のお気に入りのお店――駅近のカフェだ。食事もドリンクもおいしいけれど、テイクアウトのお客さんが多いのか、何故か休日でも席が空いている。おかげでゆっくりできるのが嬉しいけれど、このお店の雰囲気と味が好きで足繁く通っている身としては複雑な心境だ。
食事が届くまでは少し時間がある。私は執筆アプリを開いた。書きかけの長編、中編、短編などが並んでいる。今日はどれを書こうかな。今頭の中にあるのは短編の構想だから短編にしよう。軽い脳内会議を終えて執筆に入る。
心地よい波の音、ヒーリングミュージックが響く。この適度に邪魔をしない環境音が魅力でもあるのだ。もう推すところしかない。もっと有名になってほしい。いかんいかん心が乱れる。執筆に集中しないと。
待つこと10分、300文字くらいを書き終わったところで店員さんの足音が聞こえた。
「お待たせしました。Aセットです。ごゆっくりお過ごしください」
「ありがとうございます」
Aセットはサラダとおかず2品がついたメニュー。今日のおかずはからあげのしょうゆ味と塩麹味二種と少しカロリーが気になるところだが、量はちょうどいいのできっと大丈夫だ。
執筆は小休止。お気に入りの味に舌鼓を打つことにしよう。
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