発見、二つ
この電車はガタンゴトンと言う時と言わない時がある、と気づいたのはふとした瞬間だった。通勤・通学客で盛り上がっている車内の中。正確に表すならば電車のドアとサラリーマンに押しつぶされている時だ。
ガタンゴトンというよりゴォーだな。ウィーンだと安っぽい気がする。少し高い音も聞こえる。レールを走る音だろうか。停車する時はガタンゴトンと言うような。発車の時は低い音から高い音になる。耳から拾う情報は数少ないように見えて実は多い。
それにしても何故ガタンゴトンと言わないのだろうか。昔はよく聞こえていたような気がする。気になるのでインターネットで調べてみよう。
……どうやらレールの繋ぎ目を通る時にガタンゴトンと言うそうだ。そして最近はロングレールというものを採用しているから繋ぎ目が少ないらしい。そのおかげで乗り心地が良くなっているのだとか。これはたまげた。
そうすると、ガタンゴトンという擬音を多用することで時代観を演出できるのではないだろうか。多用は言いすぎだが、そういった描写を盛り込むことで一昔前の電車を想起させられるかもしれない。逆に「かつて聞こえていたレールの繋ぎ目の音が恋しい」などと書けば、最近の電車であること、そして語り手は少し年上であることを描けるのではないか。
これは面白い発見だ。また一つ小説に活かせる知識を手に入れてしまった。これだから日常というものは捨てたものではない。しかし満員電車はご遠慮願いたい。そろそろあらぬ方向に腰が捻れそうだ。
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