第2話 [スラム街]

ー始まりの街[スラム街]ー


「ここが僕の家の庭だよなぁ。誰か住んでるんだけど。」


不動産屋のおっさんから紹介された目的地には、みすぼらしい身なりをした子供たちやおじさんがいて、バラック(アルミや鉄。木材で出来た家)が数え切れないほどあった。


 先に進むと一軒の木でできた家を見つけた。家と言うより小屋だ。鍵のかかっていないドアを開けると、筋肉ゴリゴリのおっさんが床に大の字で眠っていた。


 おい!ここは俺の家だぞ!!出てけよ!!ぶっ殺すぞ!俺は床に落ちていた酒瓶を男の頭に打ちつけた。不法侵入の現行犯逮捕だ!!更に深く眠ったおっさんを家の外に出す。


「悪は去った……。」


 手をパンパンと叩き、家の片付けを始める。くそっ。ゴミぐらい自分で捨てろよ。汚ねぇー。おっ!金貨あるじゃん。ラッキー!!


 家にあった3枚の金貨をポケットに入れて片付けに戻ろうと思ったのだが、お腹が減ったので酒場に行くことにした。



ー酒場ー


「いらっしゃい!!空いてる席に座って。」


 イカツイおっさんが………おっさんばっかじゃんおっさんと子供しか居ないのこの街。文句を言いながら席に座った。メニュー表もないので適当に頼む。


「おっさんのおすすめで!」


「あいよー。おっさんじゃねぇ。お兄さんだ!」


うげぇ〜こう言う奴いるよなぁ。いつまでも若いと思ってるおっさん。諦めな、お前はおっさんだ。


「諦めな、お前はおっさんだ!」


「てめぇ、オモテ出ろ!」


 笑いながら威嚇するおっさんに金貨を投げつける。戦う術のない俺は、喧嘩などしないのだ。


「豪華に頼む。」


「ちっ。お客さんかよ。喧嘩売りに来たわけじゃなさそうだな。」


 おっさんは、厨房に向かった。金を使えばこの通りイカツイおっさんも静かになるのだ!勝ち誇った笑みを浮かべていると、隣の客の話し声が聞こえる。


「おい聞いたか?スラム街買った奴いるんだぜ」

「嘘だろ?!あんな無法地帯をなんで買うんだよ」


「どうやら街に来たばかりの旅人が不動産屋に騙されて買ったらしいぜ」

「ハハハ、ご愁傷様。」


「それも金貨10枚で!」

「うわっ。エグ。」


「スラム街にはボスがいて、そいつを怒らせたらこの街じゃ生きていけないって言うのにな。」

「あぁ。強盗、窃盗、殺人、誘拐。なんでもやる奴だぜ。」



  …………。あのクソジジィ!返品だ返品!!今すぐ金返しやがれ!!!寝込みを襲って目ん玉に七味かけてやる。覚えてやがれ!!


「はいお待ち!」



 ラーメン屋かよ!!怒りで我を失ってる俺のテーブルの上に、唐揚げ定食が出された。唐揚げをフォークで刺して、口に入れる。うんめ〜〜。口の中に溢れる肉汁に故障の絶妙な辛さ。


「うんめ〜〜」


「そうだろ、そうだろ!」


 イカツイおっさんが笑顔で俺を見る。店長が可愛い女の子だったらなぁ。


「可愛い女の子だったらなぁ。」


「可愛い女の子じゃ無くて悪かったな。金貨一枚分の料理はここじゃ出せなねぇ。他の客の飯が無くなっちまう。分割でいいか?」


「タダ飯ゲットー!!」


「タダじゃねぇーよ!」


 このおっさん律儀だ。きっと「お前たちは先に行け!ここは俺が引き受ける」とか言っちゃうタイプ

かっくいーー!死ぬなよ。おっさん。


「ごちそうさまでした。」


 唐揚げ定食を食べ、店を出る。お腹いっぱいになった為、不動産屋への復讐を忘れて家に向かうのだった。


ースラム街[家の前]ー


 上機嫌に鼻歌を歌いながら家の前に着くと話し声が聴こえる。


「ウチのもんがやられたって本当か?」

「本当だ。寝ている所を酒瓶で叩かれた跡があった。」

「ひでぇ。」

「しかも、みんなで貯めておいた金貨まで盗まれた。」

「許さねぇ。ぜってぇ見つけ出して殺してやる。」



 うげっ。不法侵入したお前らが悪いんだぞ!早く家から出てけよ。出てこないならお前らにも酒瓶叩きつけるぞ!!


「お前らにも酒瓶叩きつけるぞ!!」


 ドアがキィーと開く。頭に包帯を巻いた男と目が合う。アレ、僕、やばい?


「こんばんわ。」


「こんばんわ………。じゃねぇーよ!!アイツだ!!アイツが盗んだんだ!!」


 大声で叫ぶ筋肉ゴリゴリおっさん。チクショォォォなんでバレた。顔は見られていないはずだぞ!!

僕は追ってくるおっさんから走って逃げ出した。


「ーーーーなっ!なぜバレた!」


「アイツがお前らにも酒瓶叩きつけるぞって言っていた!そんな事言う奴犯人しかいねぇー!!」


 こいつ頭いい。アイキュー三百くらいあるんじゃねぇーの?そんな奴が不法侵入したんじゃねぇーよ。元はと言うと、お前らが悪いの!俺正義!!お前悪!


「俺正義!!お前悪!!」


「寝込み襲う奴が正義なわけあるかぁァァア」



ースラム街・南ー


「はぁ、はぁ、はぁ、なんとか巻いたぞ。」


 汗だくだくだ。服が体に張り付いて不快だ。風呂なんてねぇーし、どうしたらいいんだよ。家にも帰れないしどーしよっかなぁー。


 夜空を見上げて星を数える。あっ、アレ。パンツだ。パンツ座だ。あー、辞め辞め。何か打開策があるかも知れないし、神様から貰ったスキル確認してみるか、


「ステータスオープン。」


 目の前にスクリーンが現れる。これが最新テクノロジー……。




________________________

レベル   1

HP 74/74

スタミナ 100/100


ちから   18

すばやさ 19

きようさ 15

ガッツ 15


こうげき  18

ぼうぎょ  15


[スキル]《ビルド》 レベル1


[制作可能な物]

松明     (木の枝1+石炭1)

木のピッケル (木材3)

木のシャベル (木材3)

木のオノ (木材3)

木のクワ (木材3)

木の剣 (木材3)


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転生したけど魔物が怖いので最初の街に引きこもる。スキル【ビルド】採掘してたら最強になってた件 @jimgai

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