第八回:縁川かいと『俺と彼女の出会いは最悪でした。』(2)



―――― 視点転換の記号化 ――――


▼ 作者に聞け  では、他に質問のある方おられたら、どうぞ!


▼ 作  視点移動の話になりますが、移動の際に、☆、♡、♤といった記号を使っていますね。規則などあったら教えてください。


● 縁川かいと  今どの視点なのか、読者にわかりやすいように置いてます。☆は場面転換、♤はれん視点、♡は千歳視点といった感じです。


▼ 作  なるほど! そうだったんですね!


● 縁  「なろう」だったら前書きに書いてたんですが、そういえばカクヨムには書いてなかったですね。ちょっと書いておかないと(「小説家になろう」第六話・第二十六話の前書きを参照)。


▼ 作  ああ、それは確認していませんでした! 読者にやさしい配慮ですね。


 ちなみに、作品の女性像や恋愛像には、やはりご自身の理想を盛り込んでいるんでしょうか?


● 縁  めちゃくちゃ盛り込んでます。


▼ 作  ドキドキ展開、多めですよね(笑)。逆に、主人公のれんには、理想の男性像を盛り込んでいたりもしますか?


● 縁  れんにはちょっとは盛り込んでいますが、ほとんどのイメージは読んでくださる方がいかに共感できるか、感情移入できるかに重点を置いてます。


▼ 作  なるほど、そこも読者視線なんですね。


● 縁  もともと読み専だったこともあって、けっこう読者視線で考えちゃいます。


▼ 作  それは書き手にとって、重要なところかもしれませんね。


 れんは、第一話で、友達を作るなんて意味ないとかうそぶいてしまう自称「陰キャ」なのに、中学時代はちゃっかり彼女を作っていたり(その彼女は今でも未練をもっていたり)、柔道をけっこうがんばっていたり、誠実でいざというときは頼りになったり、途中から好感度が爆上がりなんですよね(笑)。



―――― 名前のつけ方 ――――


▼ 作  そういうキャラクターの設定も面白いと思うのですが、キャラに関連して、登場人物の名前については、こだわりありますか? 千歳も美月も、わりとオーソドックスというか、「キラキラ」しない系の名前ですよね?


● 縁  名前は思いつきですね


▼ 作  そこまで強い思い入れはない?


● 縁  そうですね。でも、知り合いの名前にはかぶらないようにはしてます。


▼ 作  そこは気にするんだ(笑)。でも、ヒロインの「紫宮しのみや」はちょっと珍しい名前だと思うんですが、どこから取られたんでしょう? これも思いつきですか?


● 縁  これは本当に恥ずかしいんですが、Vtuberの方の名前から取らせていただきました。


▼ 作  ああ、そうでしたか! 気に入った名前だった?


● 縁  そうですね、結構に気に入ってます。そのVtuberの方が、当時デビューしたてだったこともあって、けっこう頭の中に残ってたんですよね。


▼ 作  なるほど。千歳のもともとの名字(田辺)に比べて特徴があるし、ステキな名前なので、なにかこだわりがあるのかなとは思っていました。


● 縁  あんまりこだわりはないですね。



―――― 執筆のきっかけ ――――


▼ 作  ちなみに、小説を書き始めたのは、どんなきっかけですか?


● 縁  きっかけは小説を読んでいて、ふと「あ、僕も書いてみたいな」って思ったことですかね。


▼ 作  いつごろのことでしょうあ?


● 縁  ちょうど、本作を書き始めた日(十二月十七日)です。


▼ 作  「思い立ったが吉日」的な?


● 縁  そうですね。


▼ 作  なるほど! それはすごい! つまり、この作品のプロットの準備期間は、かなり短かったということですね?


● 縁  最初は、「プロット」というものの存在すら知らなかったですから(笑)。


▼ 作  ヒロインの名前は、Vtuberから取られたということですが、ヒロインの容姿や内面にも影響ありましたか?


● 縁  それは影響してないです。本作は、最初に登場人物の人物像を決めて、そこから名前を決めたって感じだったので。


▼ 作  なるほど! 恋愛ものを書くにあたり、参考にしているものなどはありますか?


● 縁  シチュエーションやセリフなどは、完全に自分の欲望です。表現の仕方などは他の方の小説を参考にしてます。



―――― キャラクター・イラスト ――――


▼ 作  容姿とキャラといえば、かいとさんは、キャラクター・イラストを依頼されていましたよね。カクヨムのめがねびよりさんの描かれた可愛らしいイラストです。このツイッターのアイコンなどにも使われていますね。


 最初に登場人物像を決めていた、ということですが、実際に自分のキャラがビジュアル化されて、そのイメージから作品のほうが影響を受ける、ということはありますか?


● 縁  すごくあります。このイラストを依頼するにあたって、めがねびよりさんにイメージみたいなものを伝えたのですが、その時に作品を書いているだけでは分からなかったキャラの細部が分かり、それが書いてる時にけっこう影響してます。


▼ 作  そういうところ、あるのですね!


● 縁  そういう機会をくださっためがねびよりさんに感謝です!


▼ 作  今使われているアイコンは、千歳ですか?


● 縁  千歳です!


▼ 作  外見だけでなく、性格もとても可愛らしい千歳、魅力的なキャラだと思います。



―――― ヒロインについて ――――


▼ 作  れんと千歳がどうなるのか、読者としてはとても気になるところですが、千歳は明るい側面だけでなく、元「陰キャ」ということもあって、いろいろな側面をもっている人物として設定されていますよね。


 父親を事故で亡くしていたり、義理の父と難しい関係にあったり、さらには最初の「出会い」で片足を失ってしまい、余命は半年弱という境遇。ラブコメには、一見ご法度の設定にも見えるんですが、このあたりがどう結末につながっていくのか、どのくらい見通しを立てておられますか?


● 縁  結末に関しては、「余命」が密接に関わってきます。それまでのストーリーには、他の境遇が関わってきます。千歳は、その境遇をすべて助けてくれたれんのことを特別に感じているんですよね。


▼ 作  いろいろな設定が、二人の関係を作る役割を担っているわけですね。


● 縁  そうですね。


▼ 作  だいたい最新話でストーリー中盤ということでしたので、後半の展開を楽しみにしたいと思います。


● 縁  はい!


▼ 作  これまでのインタビューでは、バリバリのラブコメって、考えてみればあまりなかったんですが、ほかにもいろいろご質問あるかと思います。いかがでしょう?



―――― 今後の創作について ――――


▼ 作  ラブコメ以外で書くとすれば、興味のあるジャンルはありますか?


● 縁  ファンタジー系には興味あります。


▼ 作  そうなんですね。


● 縁  でもなんか難しそうで……。


▼ 作  ファンタジーも、もしかしたら書くかもしれないということですか?


● 縁  あるかもです! もっと作品を読んで、ある程度の流れがつかめたら、書いてみようかなって思ってます!


▼ 作  そういえば、今日(三月三十日)、新しい短編作品を投稿されていましたね。


● 縁  そうです! 深夜の投稿になってしまったのですが、初めて短編に挑戦してみました!


▼ 作  また短編を書かれる予定は?


● 縁  今のところはないですが、今けっこう本作が行き詰まってるので、もしかしたらあるかも?


▼ 作  行き詰っている?


● 縁  本作にプロットというものが存在しないので、全部思いつきで書いてるんですけど、そのせいで個人的に書きたくないシチュエーションにつながっちゃって……。


▼ 作  長編執筆者あるあるですね(笑)。そういうところを抜け出すいい方法って、なかなかないと思うんですが、早く抜け出せるといいですね!


● 縁  今、一生懸命考えてます!


▼ 作  はい、楽しみにしています!


 では最後に、かいとさんのほうから、作品の魅力や注目してほしいポイントなど、アピールしていただけますか?


● 縁  分かりました!


 今回ご紹介いただいた『俺と彼女の出会いは最悪でした。』はまず、タイトルに注目してもらいたいです。実は、最悪『でした』とわざと過去形にしています。


 最初は、本当に最悪な出会い方をした主人公の山本れんとヒロインの紫宮千歳。でも、一緒に過ごしていくうちに、本当にあの出会いは「最悪」だったのか。それに対する主人公の答えが、タイトルに出ています。


 本作は、ラブコメということもあって、やはり次に注目してほしいポイントはれんと千歳、れんと美月がイチャイチャするシーンです。けっこうな割合でそういう場面を入れているので、ぜひそこを読んでキュンキュンしてください!


 本作は、まだまだ続きます。今の構想では第三章までの予定です。ネタバラシにはなりますが、ラストは決してハッピーエンドではありません。でも、おそらく感動するラストになると思いますので、これからも応援の方をよろしくお願いします!


▼ 作  貴重な情報もありがとうございます! ラストが楽しみですが、続きを楽しみにしています! 今日はインタビューに応じていただき、どうもありがとうございました!


● 縁  こちらこそ、貴重な機会をありがとうございました!



インタビュー  二〇二二年三月三十日、「小説家のつどい」内のチャットで実施

ゲスト  縁川かいと

司会進行  maru

質問者  ムツキ、田崎伊流(たいりゅ)

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