第八回:縁川かいと『俺と彼女の出会いは最悪でした。』(1)

▼ 作者に聞け  今日のゲストは、縁川えんがわかいとさんです。かいとさん、どうぞよろしくお願いします。


● 縁川かいと  よろしくおねがいします!



―――― 作品紹介 ――――


▼ 作  今日取り上げる『俺と彼女の出会いは最悪でした。』は、現在三十六話まで連載中。総字数約七六〇〇〇字の作品です(ジャンルはラブコメ。「小説家になろう」では「現実世界〔恋愛〕」)。


 『俺と彼女の出会いは最悪でした。』

  https://kakuyomu.jp/works/16816927859527086268


 現在までの構成は、


  第一章:第一話~第十六話

  第二章:第十七話~第三十六話(継続中)


の二章となっています。


 これまでのストーリーを簡単にまとめてみますね。


〈主人公は、山本やまもとれん。自称「陰キャ」の高校二年生。ある日の下校途中、赤信号に気づかず飛び出した紫宮しのみや田辺たなべ千歳ちとせを救おうとして、大怪我を負う。二人は一命をとりとめ、病院の同じ病室で約一ヵ月過ごすことになり、急接近する。


 千歳は、事故のため片足を切断、さらに余命もわずか半年弱と宣告される。残された時間をれんと幸せに過ごしたい千歳。その気持ちに、れんも応えようとするが……〉


 ――という感じで、よろしいでしょうか?


● 縁  はい! 完璧です!



―――― 投稿までの経緯 ――――


▼ 作  ありがとうございます。かいとさんにとって、『俺と彼女の出会いは最悪でした。』は、初めての投稿作品なのですよね?


● 縁  はい。


▼ 作  カクヨムでは、二〇二二年一月三日、「小説家になろう」では、二〇二一年十二月十九日に公開されていましたが、当初は「なろう」だけで始めたということですか?


● 縁  そうですね。最初は、「なろう」以外の投稿サイトを知らなくて、後からカクヨムを知ったんです。「じゃあ、こっちでも投稿してみよう」って感じで、カクヨムでもはじめました。


▼ 作  なるほど、そうだったんですね。


 まず、投稿までの経緯など、簡単に伺えたらと思うのですが、ラブコメを書くというのは、わりと最初のほうから決めていたことなんですか?


● 縁  はい。個人的にラブコメしか読んできてないってこともあって、他のものは書けないなって思って。


▼ 作  ああ、強いこだわりというわけではないのですね。カクヨムのプロフィール欄にも、「ラブコメしか書かん民」とある(笑)。


● 縁  そうですね(笑)。他のジャンルも読んだら、書くかもしれないですが、あまり読む気が起きないんですよね……。



―――― 影響を受けた作品 ――――


▼ 作  ちなみに、影響を受けた作家や作品は?


● 縁  ラブコメにハマったきっかけの作品は、佐伯さん先生が書かれている『お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件』(GA文庫)という作品です。


▼ 作  アニメ化されるんですよね?


● 縁  そうですね。めっちゃ好きな作品なので、情報が出たときには、跳ね上がっちゃいました(笑)。


▼ 作  おお、そこまで思い入れがあるんですね!



―――― 「出会い」の場面と主人公たちの恋の行方 ――――


▼ 作  かいとさんの作品では、タイトルにもなっている「出会い」に、とてもインパクトがありますね。王道といえば王道だけど、これ以上にないくらいの衝撃的な「出会い」方です。


● 縁  ほんとにそうですね。インパクトを求めてたら、あんな「出会い」方になってしまいました。


▼ 作  ということは、インパクトを求めるという意図が先で、具体的な場面はそこから決まっていった?


● 縁  そうです。


▼ 作  二人の出会いから、れんが退院するまでが第一章ですよね。病院での生活や、二人のリハビリの話などが、かなり詳しく描かれています。ご自身の経験などを踏まえているんでしょうか。


● 縁  これは、ほとんどネットで調べて作品に起こしました。入院の経験はあるので、病院の様子などは経験をもとに書いています。


▼ 作  それが、あの詳しい描写につながっているのですね。


 第一章は、れんと千歳の入院生活が中心で、二人の「甘々」なやりとりがてんこ盛りです。こういう雰囲気のラブコメが好きな人にとっては、たまらない展開といえそうです(笑)。それに対して、第二章に入ると、れんの妹の美月みづきの出番が多くなりますね。


● 縁  第一章は、千歳かられんへのアプローチ、第二章は、美月かられんへのアプローチという感じです。


▼ 作  かなり明確に分けて構成しているんですね。最新話の第三十六話は、第二章ですが、この章はもう少し続く予定ですか?


● 縁  そうですね。あと五話程度は続くかなと。



―――― 視点の転換 ――――


▼ 作  なるほど。全体の構想については、また後で戻ってくるとして、これまでのストーリーは、主人公山本れんとヒロイン紫宮千歳、それかられんの妹の美月の三人が中心になっていますね。


● 縁  はい。


▼ 作  この三人の微妙な関係に、千歳の家庭環境などが複雑にからみ合いながら、物語が進んでいきます。基本的には、れん視点なのですが、この作品の特徴として、ところどころで千歳や美月の視点に切り替わり、同じ出来事を複数の視点から描くという手法が用いられています。


 もちろん、めずらしい手法というわけではないですが、かいとさんはこの視点の切り替えをとても効果的に使っていると思いました。この点、なにか意識されていたことや、他の作品の影響などあるのでしょうか?


● 縁  自分が読者の立場になってみて、ここは他の視点で書いたほうがいいんじゃないかと思ったところは、視点を変えて書いてます。


▼ 作  なるほど、読者目線ですか。


● 縁  けっこう大事なんじゃないかなって思ってます。


▼ 作  読んでいてそれは実感しました。読者から見れば、千歳も美月も、れんにメロメロなんですよね。でも、れんは、マジメなのか、ウブなのか、鈍いのか(笑)、その気持ちをあんまりわからないし、わかるまで時間がかかる。


 その結果、相手の行動の意図や真意をとらえきれなかったり、誤解したりもしてしまう。そういうとき、千歳や美月の視点でも語られることで、読者はれんの勘違いや鈍さを、安心して見ていられるわけですよね。


● 縁  そうです!


▼ 作  この三人の恋の行方なんですが、現在の第二章までで、全体の構成としては今どのくらいの位置なんでしょう?


● 縁  今書いてるところで、ちょうど半分くらいですかね。


▼ 作  第一章ですこしだけ出てきた綾乃あやの(第十話)は、中学時代にクラスメイトの嘘を信じて、れんと別れた元カノという理解で合ってますか?


● 縁  はい、そうです。


▼ 作  この綾乃を含めて(準ヒロイン的な)女性キャラは、ほかにも登場するのでしょうか。


● 縁  もう出てこない予定です。これ以上は、ちょっと出すぎかなって思ってます。


▼ 作  なるほど。今後、メイン三人の関係がどうなるか、気になるところですね!



(2)に続く

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