第6話 たった一つの願い

 胸に、大きな穴が空いてしまったようだ。何をしても満たされない。眠ることも、食事をとることも、動くことさえできない。ただ孤独に、時の流れだけを感じる。きっとこの穴は、埋まることはない。誰も埋めてはくれない。この世界は、最後まで僕を救おうとはしなかった。何もかも、奪っていった。


 生きていても、何もない。


 だからこのまま、死が迎えに来るのを待とう。


 死んだらきっと、母上と兄上にまた会える。


 それなら、死んだ方がいい。


 こんな世界で生きていても、何の意味もない。


 早く、僕を兄上と母上がいるところまで連れていってください。


 これが僕の望みです。他には何もいらない……

…………だからどうか、最後くらいは、僕の願いを叶えてください。


 生きているときに幸せになれなかったから……

………死んだあとくらいは、僕に本当の幸せというものを…………恵んでください……………。

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