第8話〈終〉【無銭LANを導入しますが、何か?】
──同時刻。
海を超えた先にある。
遥か向こうの、とある島国では……。
同じアパートに住む近隣住民達の迷惑も顧みず。
ひたすら、ギャアギャアと大声を響かせ続けている人物がいたらしい。
『──はいっ! またまた、GGぃ〜!』
その人物とは。
この見るからに素行の悪そうな。
一人の男子学生だった。
彼は暗い部屋で一人、電気もつけず。
一晩中、同じ大学のサークル仲間達とオンラインゲームに勤しんでいる様子である。
〈あー、マジで俺らの連携、最強過ぎっしょ!〉
〈いやぁ〜。よっちんの【近接】が、ビビるほど上手すぎんだわー!〉
どこかで見覚えのあるVRゴーグルを頭に装着しながら……。
胡座をかいて、ボイスチャット越しの賞賛に返答を見せる、彼。
「はん、あたりめぇだろ? ゲーセンでいくら溶かして、ここまで仕上げたと思ってんだよ」
その通り。
彼らこそが……。
不正行為に手を染めていた噂の悪しき輩達。
運営達が行方を追っていた。
例のチーター集団達の正体であったのだ。
見たところ……。
本日も順調に。
その連勝記録を伸ばしていたらしく。
現在の連続勝利数は、なんと。
今の戦いを含めて── 二十五連勝という見事な記録を叩き出している模様。
……しかし、そうにも関わらず。
そんな彼の表情には。
時折、苛立ちの様なモノが。
「……にしても、ムカつくな」
ポツリと呟かれるリーダーの言葉を聞いて。
「ん?」と、反応を見せる仲間たち。
〈え、なんで勝ったのにムカついてんの?〉
〈そうそう、別に勝ったからいいじゃんwww〉
納得がいかない様子の彼は。
口を尖らしながらも、その理由を語った。
「いやー、だってさ? あんな初心者丸出しの奴らに、秘密兵器のチートまで使わされる羽目になったんだぜ? 最悪だわ」
彼は、途中で近くに置いてあった飲みかけのペットボトルで喉を潤いつつ……。
その続きを。
「しかも、結構な至近距離で堂々と使っちまったし……。こんなんで運営にバレたら、マジで洒落になんねぇよ」
そう、チーターである彼らが。
最も警戒していた人物。
それは、この空間の神たる存在……。
──【運営局】である。
無理もないだろう。
いくら、チートで無敵の力を得ようとも。
【運営局】の人間にこの行いを検知されてしまえば、今まで培ったランクポイント達も全て。
水泡に帰してしまうのだから。
彼らからすれば、まさに。
天敵とも言える危険な存在。
出来るだけ。
目立つような行動は避けておきたいのだ。
〈まぁ、でもさ。アレは流石に仕方ねぇよ。……逆にあそこで使わなかったら、それこそ連勝記録も途切れてた訳だしな〉
〈そゆこと。……それに、目の前にいたのは、あのおさげちゃんの方だったろ? ケッコー上手かった銀髪ちゃんに見られてたならまだしも、アイツなら大丈夫じゃねwww〉
楽観的な仲間達の意見に対し。
「うーん」と、考えを見せる彼。
……しかし、普段からあまり物事を深く考えない人生を歩んでいるのか。
すぐに、脳ではなく……。
自身の指先のみで解決する道を選んだ模様。
「まぁ、それもそっか! ……お前らに免じて、今回は煽りメッセだけで許しといてやるわwww」
彼は、慣れた手つきで。
悪質な暴言メッセージを素早く作成すると……。
それを、先ほどの対戦相手の中で最もスコアが低かったユーザーに送りつける。
「はい〜、送信〜!」
〈よっちん、やばwww おもろすぎwww〉
〈マジでウケるわ(笑)〉
……側から見れば。
常識を疑いそうな遊び方に見えるだろうが……。
残念ながら、これが彼らの日常であり。
生き甲斐なのである。
どこかで、余程の痛い目を見ない限り。
今後もこう言った行為を続けていくだろう。
「うしっ。そろそろ再開すっかぁ〜」
〈あいよ〜〉
そして、三人は暫しの休憩を挟んだ後に。
ようやく、ゲームを再開。
新たな戦場へ向かおうと。
床に置いていたコントローラーを両手に伸ばす……。
まさに。
そのタイミングだった──
「……ん? なんだコレ?」
──そう、彼らの元に。
とある一通の通知が届いたのである。
よく見ると、それは……。
なんと、【リターンマッチ申請】であった様子。
リターンマッチ申請とは──。
直前に打ち負かした対戦相手から届く。
再戦の申し出のことだ。
加えて。
彼らが直前に戦っていたのは……?
「おい、ちょっと待てwww さっきのワニ頭んとこから、まさかのリタマ挑まれたんだけどwww」
その通り。
それを申し出てきた相手は……。
たった今、まさにリアルタイムで話題に上がっていたばかりのチーム。
例のワニ頭であったのだ。
〈ははっ、マジ!? やっぱ、アイツら初心者だな! 不正されてることにすら気付けてねーのかよ!〉
……無論。
この申し出を引き受けるかどうかは。
勝者である彼ら側に、その全てが委ねられるのだが……。
果たして、彼らの選択は……?
「しゃーねーから! もう一回くらい、ボコボコにしてやっかーwww」
どうやら。
対戦相手に鬱憤を溜めていたこともあり。
今回は素直に、承認する道を選んだらしい。
彼らはウィンドウに展開された申請画面に。
許諾の意思を見せると……。
再び、元いた戦地へと強制ワープを開始。
先程と全く同じ戦闘舞台である……。
月面ステージの地に再召喚される。
続けて、流れるように。
ブリーフィングタイムへと突入。
この時間は、仲間同士で話し合いを交えて。
それぞれの【職業】を割り振りを決定する作戦会議の時間だ。
……とは言っても。
彼らはこのゲームがVR版に移植される前から。
既に、先行で実装されていたゲームセンターのアーケード筐体でやり込みを見せていた古参のプレイヤー達。
彼らにとって、この時間は。
お茶休憩も同然である。
目の前に召喚されし槍を素早く手にした学生。
──改め、槍術士は……。
ひと足先に、ステージ端にある自陣にて。
静かに待機。
すると、彼に続けて。
背後から、ナイフを持った盗賊の男と。
バズーカ砲を担いだ砲手の男も遅れて合流してきた。
「なぁ、コイツらはどんな編成で対策してくると思う?」
〈どーせアレだろ? 攻略サイトで調べただけの、テンプレ強キャラ編成www〉
〈ああ、いつもの定番パターンねっ!〉
そして、そんな他愛のない雑談と共に。
ブリーフィングタイムも終わりを迎えると。
ようやく、カウントダウンがスタート。
戦闘ステージの遥か上空にて。
浮遊する一枚のボードが出現し始める。
そのボードの名は──戦況ボードだ。
・試合の残り時間を表すタイマー。
・各チームの共有残機ストック数。
・プレイヤー達が選んだ【職業】の種類。
……など。
戦況に関する、ありとあらゆる情報を。
逐一、上空からステージ上で戦っているプレイヤー達に知らせ続けるという。
言わば、早見表のような役割を担ってくれる存在なのである。
ちなみに、情報の開示タイミングは。
ブリーフィングタイムを終えた後のスグ……。
つまり、まもなく。
相手側が選んだ編成パターンを、その場から確認する事ができるという訳だ。
「さーて、誰がどんな【職業】を選びやがったんだー?」
自陣から上空を見上げて。
ニヤニヤと敵の情報を確認しようとする、男達。
しかし、それを見た瞬間……。
彼らは揃いも揃って。
ポカーンと口を開けてしまったらしい。
〈……は?〉
……結論から言うと。
そこにいた三人は、誰一人として。
相手側のチームが選んだ【職業】を特定することが出来なかったのである。
何故なのか……?
その理由を知りたいならば。
あの戦況ボードの表記を見れば良い。
一目で理解できるだろう。
何故、ベテランであるハズの彼らが。
相手チームが選んだ【職業】を判別することが出来なかったのかを……。
以下、戦況ボード。
そのままの表記である──
赤チーム。残機数──○○○
【近接】──槍術士
【後衛】──大砲手
【補助】──盗賊
青チーム。残機数──○○○
【?】── Allランダム
【?】── Allランダム
【?】── Allランダム
──……。
お分かり頂けただろうか。
そう、驚くべきことに。
再戦を挑んできた相手チームは、なんと……。
揃いも揃って。
全員が『Allランダム』を選択していたという。
有り得ない行動に出ていたのだ。
『Allランダム』とは──。
選択画面に存在している数ある役職の中から。
いずれかの【職業】を自動で割り振られるという……。
その名の通り。
ランダム要素を含んでいる特殊な選択項目のこと。
つまり、早い話。
『何でも良い』──という様な気分の時に使われる、かなり適当な選択肢なのである。
……それを見た瞬間。
リーダー格である槍の男は。
その場で大きな舌打ちを鳴らした模様。
「余裕ぶっこきやがって……」
そう、対戦ゲームにおいてのランダム選択とは。
言わば、余裕の表れ。
視点を変えれば、これは。
対戦相手を『格下』と認識している時に使われがちな、『ハンデ要素』の強い選択肢でもあり……。
人によっては『煽り』や『舐めプ』として捉えられてしまうことも多いのだ。
故に、曲がりなりにも上級者である彼らが、これに強い怒りを覚えてしまうのは、至極当然の出来事なのである。
〈……はぁ? うざっ、何アレ?〉
〈舐めてんなぁ、初心者のくせによぉ〜〉
「はん、ソッコーでぶっ潰してやるぜ」
そして、そうこうしている内に。
間も無く、試合開始のファンファーレが。
ステージ全体に大きく鳴り響いた。
その合図と共に。
槍の男が号令を。
「よし! いつものフォーメーション行くぞ!」
すると、その号令に合わせて。
仲間達は、一斉にそれぞれの持ち場に移動。
あっという間に。
普段からよく使用している陣形が完成する。
そう、この陣形は。
彼らが試合開始直後に必ず行う。
独自のフォーメーションだ。
槍の男を先頭とした。
直角三角形の形をした布陣であり……。
主に、敵プレイヤーからの奇襲攻撃を抑制する効果がある。
敵プレイヤー達と遭遇するまでの間は。
おそらく、この鉄壁の陣形を中心に動くことになるだろう。
「うっし、行くぞ〜! 敵を見かけたら、いつもみたいにすぐ知らせろよ〜!」
……しかし、そう思った矢先。
「ん?」
何やら、敵陣の方角から。
小さな何かが、コチラに向かってトコトコと走ってきている姿が……。
そう、その人物とは。
いつか見た、訳の分からないワニ頭のチビであった。
「……あのワニ頭。なんで、また開幕から敵陣に突っ込んできてんだよ……」
〈え、マジ!? ……うわっ、ほんとだ〉
その通り。
なんと彼女は、またしても。
開幕から槍の男達が組む防御陣形に、単騎での突撃を試みてきたのである。
ただ、本ゲームのコンセプトは。
数の利を活かして戦おうというモノだ。
もし、単騎で敵陣に飛び込もうモノならば……。
即刻、この様に──
「ははは! マジで馬鹿じゃねぇの?」
〈はいー、雑魚おつー!〉
──軽々と打ち負かされてしまうのは。
ほぼ必至である。
またしても、開幕早々。
〈ひぇぇぇ……!?〉と、天に召されてゆく。
哀れなワニ頭の幼女。
加えて、そんな彼女の退場と共に。
上空に存在する戦況ボードが、ピッと音を鳴らしたようだ。
……そう、相手プレイヤーの体力ゲージを全て削り切ったことにより。
相手チームが保有する残機ストック数が減少したのである。
……。
上空を見上げながら……。
無言でその場で立ち尽くしてしまう。
赤チームの三人。
「な、なんだこれ……? 何か作戦でもあるのかと思ってたけど、さっきとやってる事なんも変わんねーじゃん」
〈それな? 無駄に警戒して損したわ〜〉
すると、次第に彼らは。
張り詰めていた空気を徐々に綻ばせ始めた模様。
〈どーせ、ツマンナイ試合になるだろーしさ。……なんか賭けでもやろーぜ〜。リザルトスコアが一番低かったの奴が罰ゲームで!〉
それどころか。
中には、ふざけだす者まで現れる始末。
〈それ、いいねぇ!! やろうぜ!!〉
【後衛】役のバズーカ砲を担いだ砲手の男が。
その様な提案を口にすると……。
【補助】役のナイフを持った盗賊も。
隣で指を鳴らして、ヘラヘラと同意を示す。
〈負けた奴は今度、メシ奢りなっ! ……はい、用意どーんっ!〉
一人で走り去る。
盗賊の男。
〈……あっ!? ズリィぞ、お前! フライングじゃん!〉
そして、足の速い盗賊の男に続き。
重いバズーカ砲を担いだ砲手の男もまた。
その後を必死に追いかけていくのであった。
そんな騒がしい仲間達の姿を見て。
楽しそうに笑う、残された槍術士。
「ははっ! アイツら、ほんと馬鹿だなwww」
おそらく、彼は。
先ほどのワニ頭を討ち取った分のスコアを帳尻合わせしているのであろう。
その場で、少し時間を置いているようである。
暫く。
自陣の前で佇む、彼。
「……さーて、そろそろオレも参戦すっかなー」
すると、丁度そのタイミング。
……何やら。
ボイスチャット越しに。
離れた味方からの。
この様な、謎の声が……──
〈はっ……!? ちょ、やばっ!?〉
──間違いない。
この声は、先陣を切っていった盗賊の声だ。
「ん? ……どしたん?」
加えて、その仲間の焦り声と同時に。
上空の戦況ボードにも、何やら異変が……。
「……えっ?」
その通り。
なんと、コチラ側の残機ストック数が……。
先ほどのワニ頭を倒した時と同様に。
突然、その数を減らし始めてしまったのである。
そして、自身の背後にある自陣ゾーンにて。
間も無く、光の柱が出現。
先程、前方に走り去って行ったハズの彼が。
ゆっくりと戦場に舞い降りてくる。
「……え? なにやってんだよ、お前www」
〈……〉
俯いたまま、無言を貫く盗賊の男。
一体、何があったのだろうか?
「……?」
何はともあれ。
明らかに、彼の様子が少しだけおかしい。
その姿を怪訝に感じていると。
同じく通信を聞いていた砲手の男も、帰還。
〈よ、よっちん!! やべぇ!! マジでやべぇよ!?〉
おそらく、彼もまた。
この事態に違和感を感じたのだろう。
異様な気配を察知して、すぐに自陣へと引き返してきてくれたようだ。
「ああ、分かってるよ。……丁度、オレも今からコイツに詳しく聞こうと──」
しかし、振り返ると。
そこには……。
「──って、はぁ……!? なんでお前、そんなに体力減ってんだよ!?」
どこかで体力を大きく失ってきてしまった。
既にボロボロ状態の仲間が……。
彼は、滑り込む様に。
自陣エリアに存在している回復床へと侵入。
息を切らしながら、その場で膝をつき始める。
「ど、どうなってんだよ……、コレ……」
途端に蔓延する、異様な空気。
槍の男は、その場でゴクッと喉を鳴らし。
とりあえず、彼らから事の詳細を聞かせて貰うことにした。
まずは、最重要となる。
『アレ』についてから。
「……え? と、とりあえずさ! 相手チームの三人は、どんな【職業】だったわけ?」
そう、それは。
敵チームのパーティ編成についてだ。
敵チームが三人揃って、同じくランダムを選択しているということは……。
少なからず、そのパーティ編成にも酷い偏りが生じているハズ。
つまり、そこを突けば。
簡単に相手の戦法を打破することが可能なのである。
幸い。
彼らもまた、自分と同じように。
このゲームで遊んでる期間は長い……。
使用武器や攻撃エフェクトなどから。
簡単に、その【職業】を割り出せるだろう。
そう考えての質問であったのだが……。
〈いや、それがさ……。全く分かんなかったんだよ……〉
「は? そんな訳ないじゃん。だって、敵と対峙してきたんだろ?」
その質問に対し、盗賊の男は。
その場で首を振り続けるばかり。
〈いや、マジなんだって!? な、なんかさ! 背後からいきなり誰かに攻撃されたと思ったら、周りに誰もいねぇの……! そんで気がついたら、いつの間にか体力無くなっちまってて……〉
盗賊の言葉に。
回復床の上からコクコクと賛同を見せる、砲手。
〈オ、オレもそんな感じだった……! なんてゆーか、幽霊から攻撃されてるみたいな!? ……気味悪くて、慌てて引き返しちまったよ……!〉
「なんだよそれ……? マジで意味わかんねぇ……」
二人の証言に。
槍術士は、ますます混乱してしまったようだ。
しばらく。
静寂に包まれる、自陣エリア。
そして……。
結局、そんな彼らの話し合いは……──
「と、とりあえず! 賭けとかはもう辞めとくか!」
〈お、おん! そうだな!〉
〈……だ、だなっ! いつも通り、真剣にやろう!〉
──『安定行動で様子を見る』という。
あまりにも保守的な選択で終わりを見せたらしい。
仕方がない。
なにせ、彼らには少なすぎたのだ。
「よし、行くぞ……! どっから何して来るか分かんねーから、マジで油断すんなよ!」
対戦相手達に関する。
有益な情報が……。
……こんな事なら、ワニ顔の幼女の【職業】だけでも判別しておけば良かったと。
そう思ってしまうほどに。
気を取り直して。
防御陣形を完成させた彼らは。
そのままの状態で進軍を再開。
どこから襲ってくるか分からない相手に。
恐怖を感じながら、ゆっくりとステージを進み続けてゆく。
〈な、何だよこれ〜……! 対戦ゲームなのに、なんかホラーゲーやってる気分だわ……!〉
「う、うるせぇな! 初心者相手にビビってんじゃねーよ……!」
そして、そうこうしてる内に。
いざ、仲間がやられたという。
噂の撃墜ポイント付近まで到達。
よく見ると、そこは。
自陣と敵本拠を結ぶ……。
丁度、戦闘ステージの中央部付近であった。
〈……確か、ここら辺だよな?〉
〈そうそう! ……この辺だわ!〉
息を呑んで。
慎重に、足を前に出す三人。
「よし、行くぞっ!」
……しかし、そこから先は。
地獄の入り口であった模様。
戦闘ステージの半分より向こう側……。
つまり、敵陣に接近するにつれて。
どこからともなく。
敵が繰り出しているであろう、攻撃の嵐が降り注ぐ。
〈うおっ!? な、なんだ……!?〉
時には、前方。
時には、真横。
時には、背後。
次々と。
何かによる謎の攻撃を浴びせらてしまうのだ。
共通しているのは……。
必ず、こちら側が『背中を向けた瞬間に、綺麗に撃ち抜かれる』ということ。
「な、なんだよ! これ!? どっから狙ってきてやがんだ!?」
おそらく。
周囲に点在している障害物を駆使して。
何人かがコソコソと交代で動き回っているのだろう。
しかし、いかんせん。
一向に、その姿をいつまで経っても目視できない。
〈こっち!? いや、あっちか!?〉
姿を確認できない敵達からの。
鳴り止まぬ、猛攻。
振り返ろうとも。
そこには残影しか残っておらず。
チーム全体の体力が。
徐々にジワジワと削られていく。
〈一旦、退くぞ!! 違うルートから攻めろ!〉
何度か撤退して……。
違う進路から再突入を試みるが……。
「うわぁ!? こ、こっち側もかよ!?」
敵はコチラの動向を。
完璧に予測し切っているのか。
一挙手一投足の単位で、新たな配置へと先回り。
実にいやらしい波状攻撃を。
再び、執拗に繰り返されてしまうのだ。
〈やべっ、また体力削られた! 自陣に戻るわ……!〉
仲間たちとローテーションを組んで。
交代で自陣へと回復しに戻るのだが……。
次第に、そのもどかしさと苛立ちにより。
チーム全体の伝染し始めてしまった様子。
リーダー格である槍術士の男が。
たまらず、その場で大きな叫び声をあげる。
「お前ら! ちゃんと真面目にやれよ!」
〈やってるって! お前こそ、役割ちゃんと守れよっ!〉
ただ、雰囲気の崩壊をひとたび許してしまえば。
当然、目の前の戦況にも。
少なからずの影響が……──
〈やばい、やばいやばいっ!? ……うわぁぁぁ〜!?〉
──その通り。
その隙を見逃さまいと。
敵チームの見事な集中放火により。
遂に、もう一人の仲間である。
砲手の男の体力が底を見せてしまったのだ。
光の粒子となって。
その場から消えゆく仲間を見て。
次第に手を振るわせ始める、槍の男。
「あ……、あぁ……!」
コチラの残機ストック数は。
残り──たったの一つ。
つまり、ここから先は。
チームの誰かがもう一度倒れてしまったその時点で、コチラの敗北が決定するということである。
そして、ギリッと歯を鳴らした槍の男は。
隣にいた盗賊の男に対し……。
慌てて、この様な叫びを──
「──……おい、チート使えっ!!」
そう、彼が下したのは。
反則の扉である悪魔の禁じ手……。
チートの使用命令であった。
〈は!? いいのかよ!? こんな場所で堂々と使っちまったら、流石に言い逃れできねぇぞ!?〉
「わかってるよ、そのくらい!! でも、こんな舐めた奴らに負けるより百倍マシだろうが!? 早く起動しろ!!」
そもそも、リターンマッチ申請をドヤ顔で引き受けてしまった手前……
彼らには、勝つ道しか残されていなかったのだ。
ましてや、【Allランダム】などという舐めた真似まで披露してきた相手に負けてしまうなど、言語道断。
「急げ!! これ以上はもう、体力がもう持たねぇぞ!」
〈わ、わかったよ!〉
彼らは、魂を売るかの如く。
サブウィンドウのデータファイルから。
素早く非公式のダウンロードデータを起動。
すると、その直後。
彼らの体力ゲージやスタミナゲージ。
ガードの耐久力、必殺技のクールタイムといったありとあらゆる項目に……。
異常が発生し始める。
なんと、その数値達の全てが。
グングンと最高値にまで上昇しただけでなく。
更に、その数値達が揃って。
今後は決して変動して見せまいと言わんばかりに……。
ピタッとその状態を維持してしまったのだ。
「へへっ、どうだ!? これで俺たちの体力は、もう二度と減らすことは出来ねぇぞ! 必殺技やスタミナゲージだって、湯水のように使い放題だっ!!」
これでは。
彼らの体力ゲージを減らすことは愚か……。
もう二度と、赤チームから残機ストックを奪うことが叶わなくなるだろう。
そして。
そんな槍術士の声に反応するかのように。
敵チームは。
ようやく、嵐のように繰り広げていた攻撃の手をピタッと停止。
ステージの岩陰から。
ゆっくりとその姿を現し始める──
『あら? もうお終いですの? もう少し貴方達の逃げ惑う姿を楽しみたかったのですが……、残念ですわ』
──彼らの前に現れたのは。
二人の少女であった。
そう、とあるコラボ衣装を着飾った。
例の銀髪美女と……。
『……』
見るからに地味そうな。
おさげ髪の少女である。
すると、そんな彼女達の姿を視認した彼は。
その場で、ニヤけ顔を見せた。
「いや、ぶっちゃけ完全に見くびってたわ〜。……まさか、こんなに上手く一人称視点を上手く利用してくる奴がいたなんてな」
加えて、リスポーンしてきた砲手の男も。
少し遅れて、背後からコチラ側へと再合流。
「……でも、残念だったな! どれだけ上手かろうと、もうお前らに勝ち目はねぇぜ! ここからは、死ぬまでオレ達のターンだ!」
リーダーの言葉に従うように……。
揃って、その場で武器を構える仲間達。
「やっちまえぇぇーー!!!」
そして、三人は自身達の必殺技を。
彼女達に向かって、一斉に発動するのであった。
槍術士による、強烈な槍の突進攻撃が……。
大砲手による、ド派手な連続放射が……。
盗賊による、毒を纏った投剣攻撃が……。
それぞれ、目の前の彼女達へと。
無慈悲に降り注ぐ。
「まずは初心者のお前からだ! 地味女ぁぁ!!」
その中でも。
槍の男は、簡単に潰せそうだと判断した。
おさげの少女の一人に狙いを定めた様子。
しかし、その槍が。
少女の喉元を捉えようとした瞬間……。
終始、無言だった少女が。
静かに口を開いてきた──
『……あ? 潰すぞ、ガキが』
──彼女は、ドスの聞いた声でそう呟くと。
涼しい表情で素早く、適切な対処を見せる。
「……へっ?」
槍術士が繰り出す、必殺技の連発攻撃に対し。
絶妙な距離感を維持した回避行動や。
プロゲーマー並の連続ジャストガードを披露。
まるで、AIロボットのように。
次々と攻撃をさばいていく。
……そして、それは。
少女の隣側にいた銀髪の相方も。
全く同じであった。
〈……は、はぁ!? おかしいだろ!!〉
〈こんなに連発しまっくってんのに、なんで一発もあたらねぇんだよ!?〉
しかも、彼女は二人を相手に。
それを実現させていた様子。
……加えて、そんなチーター達に対し。
少女達は「ふっ」と、非常に挑発的な笑みをお見舞いする──
『当たり前だ。 切り札くらい、相手に悟られないように使ってみせろ』
『そんな事も知らないなんて……。まさか貴方達、初心者ですの?』
──非常に生意気な言動で。
本場の煽りを、ぶつけてる少女達。
これには、当然。
コチラも、怒髪天の怒りを見せてしまう。
〈う、ウゼェぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?〉
そう。
いくら必殺技を無限に使用できるとはいえ。
馬鹿の一つ覚えの様に無作為に攻撃を繰り出していては、まるで意味がないのだ。
それに気づいていたのは。
やはり、リーダーの槍術士だけ。
「バカかお前ら!? 連発できるからって、適当に出しまくってんじゃねぇよ! ちゃんと行動の後隙を狙え!」
すると、そう叫んだ彼は。
仲間達に手本を示すかの様に。
「ほら、ここだろ!!」
仲間達が作り出した攻撃に便乗する形で。
もう一度、彼女の回避行動後の硬直を狙った強烈な一撃を放つ。
その通り。
実は、このゲームの回避行動には。
必ず、暫しの硬直時間が発生してしまうのだ。
言わば、その状態は。
完全に操作不能。
『……くっ!? マズイですわ!』
どうやら、これには。
たまらず、既に二人の相手を引き受けていた銀髪の少女も、苦悶の表情を浮かべているらしい。
「ははっ!! ざまぁねぇな!? これで終いだぁぁぁー!!!!」
槍の男も、この……。
タイミングを遅らせた自身の必殺技に対し。
よほどの手応えを感じたのか。
その場で、一人。
ニヤッと確信の笑顔を見せている様子。
しかし、次の瞬間。
目の前にいた彼女は……──
『……なんてね』
──……と、どこで聞いた台詞を。
ボソッと小さな声でつぶやいてきたようだ。
そう、彼女の真横から……。
突然、とある人物が飛び出してきたのである。
『……甘いな』
その人物とは。
彼女の隣にいた敵メンバーの相方……。
おさげの少女であった。
少女は隣にいた硬直中の仲間に。
そっと自身の身体を寄り添わせるや否や。
すぐに、その場で。
回避ステップを繰り出し始める。
すると、目の前では。
信じられない出来事が……。
「……は、はぁ!?」
なんと、後から遅れて繰り出された。
少女の回避ステップによって。
硬直中の相方の身体を。
その位置から微妙にずらす事に成功したのだ。
結果。
更に隣側にあった安全地帯へと運び込まれ。
槍による一撃が、ものの見事に避けられてしまう。
「……はぁ!? ……はぁぁぁぁ!?」
身体の物理判定を利用して仲間を救うという。
もはや、神業に近い見事なファインプレー。
これに対し。
赤チームのプレイヤー達も。
どうやら、激しい動揺を見せたようだ。
〈やばすぎだろ!! なんだ、今のっ!?〉
〈……ま、まさか……、狙ってやったのか!?〉
「そ、そんな訳ねーだろ! ただのマグレだ!」
そして、ここからは……。
決して捕まえられない鬼ごっこの始まり。
仲間達と共に。
何度も彼女達に立ち向かうが……。
コチラの攻撃は、一向に当たらず。
全てが全て。
彼女達に無力化させられてしまう。
それもそのはずだ。
回避やガードに専念されるだけならまだしも……。
先ほどのような神がかったプレイングで。
終始、互いの後隙をフォローされ続けているのだから。
〈──残り時間、あと六十秒です!〉
タイムアップまでの残り時間を知らせるアナウンスを背に。
次第に、赤チームの仲間達から。
焦燥の声──
〈やばい! やばいやばい! このままタイムアップになったら、スコア勝負に持ち込まれるっ!!〉
〈何でもいいから! 早く攻撃当てろ!! せめて、一人だけでも倒して……! 引き分けに持ち込めっ!!〉
──そんな仲間達の強い焦りに対し。
槍の男は冷や汗混じりの言葉をぶつける。
「落ち着けよ、お前ら! こっちは『数の利』をいかしてんだぞ!? 冷静に対処すりゃ、今からでもまだ……!」
……。
しかし、彼は。
自身が放った、その声により。
「……数の……、利……?」
ようやく、気付いてしまったようだ。
そう、実は彼ら……。
かなり長い間、この状況を作り出すことに成功していたのである。
三体二という……。
圧倒的な優勢状態を。
……では、何故。
こんなにも長尺の優勢を。
自分たちは維持することができていたのだろうか?
「……嘘だろ? まさか、お前らの狙いって……」
その通り。
待てど暮らせど。
この場に現れない人物が一人だけ……。
いや、一匹だけ。
ステージ上のどこかに存在していたからである。
それに気づいたと、ほぼ同時に。
次のようなアナウンスが、盛大に鳴り響く──
〈──赤チームの本拠点が陥落危機です。大至急、防衛に向かいましょう〉
……。
それを聞いた瞬間。
揃って絶叫をあげる、赤チームの三人。
「……ワ、ワニ頭ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーっ!?!?」
そう、実はこのゲーム。
『相手の残機ストック数を全て奪う』以外にも。
いくつかの勝利方法が存在していたのだ。
そして、その内の一つが。
この【敵本拠点の制圧】という手段である。
これは敵陣のド真ん中に。
暫くの間、ひたすら居座り続けるだけという。
非常に単純な勝利方法……。
……と、言いたい所だが。
実際にそれを狙うのは、かなり難しい。
本陣には回復床が常備されていることから。
敵の出入りが激しくなっている場合が多く。
その上、双方のリスポーン地点となっている為……。
そもそも、そんな場所に長く居座り続けるということ自体が、既に至難の業なのだ。
正直言って。
実用的な勝ち方とは口が裂けても言えないだろう。
……ただ、万が一。
もし、そんな奇跡的な機会に恵まれる瞬間があるとするならば……。
それは、おそらく……。
──『相手の全員が回復を必要としなくなる』ような状況か。
もしくは、『相手の全員が【無傷】を維持し続けられる』といった、あまりにも稀すぎる瞬間だけ。
……。
ようやく、気がついたのかと言わんばかりに。
その場で小さな笑いを溢す、銀髪の少女。
『だから、言ったではありませんか。……切り札は相手に悟られないように使いなさいと──』
そして、最後に。
目の前の彼女は。
この勝負について、こう語る。
『──手の内がバレている時点で、既に貴方達の負けなんですよ。……それが【不正行為】であったとしても、例外ではありません』
どうする。
今からでも戻る……?
いや、違う。
戻るしかない。
「戻れぇー!!! 自陣に戻れー!!」
三人は声を荒げて。
全力で自陣へと踵を返すが……。
二人の少女達に必殺技を当てようと。
調子に乗って敵陣側へと踏み込みすぎたせいか。
いつのまにか、かなりの距離が生じてしまっている様子。
だめだ。
どう考えても間に合わない。
ようやく、自陣が見えてきた頃には。
……自陣の中心でポツンと立っているワニ頭が、ほんの一瞬だけ見えたような気がするが……。
その頃には、もう。
彼らの目の前には、〈Lose〉の文字が浮かび上がっていたようだ。
*
舞台は戻って。
屋敷のレッスンルーム。
私達の耳元で。
大興奮を見せる華様の声が聞こえてくる。
『──凄ーいっ!? まさか、本当に勝っちゃうだなんて!』
私は一息つくように自らのゴーグルをそっと取り外して、現世へ帰還すると。
その隣には、嬉しそうに両手を上げているカノン様のお姿があった。
「うわーい! かった、かった〜っ!」
私は大金星をあげた彼女のゴーグルを取り外し。
その椅子から彼女を素早く抱き上げてみせる。
「本当にお手柄でしたわ、カノン様! 貴女のおかげで、無事に勝利を掴むことが出来ました!」
「カノンね! ふたりにいわれとおり! がんばって、ずっとはしったよ〜!」
嬉しそうな彼女の報告に対し。
私も心の底から嬉しそうな賛辞を返した。
「ええ! 本当に良く頑張りましたわ! これは……、そう! 俗に言う、『GG』というヤツでございます!」
「……じーじー?」
しかし、小首を傾げる彼女を確認した私は。
「はっ!?」……と、我に返り。
興奮しすぎたテンションを咳払いで鎮めることに。
そして、そっと彼女を床に下ろしつつ。
『GG』についての詳しい説明を。
「『Good Game』の略称ですわ。……頭文字のアルファベットを二つ並べて構成されたスラングで、仲間達と褒め称えあう時に使うオンラインゲーム用語の一種だそうです」
「おーっ! ……じーじー、すごい……」
そして、そんな私たちの傍らで。
カノン様が使っていたコントローラーをそっと回収する、ルーヴェイン。
何やら、画面共有がされっぱなしのモニター画面に目をやりながら、素早い動きでピッピとボタン操作を繰り返している様子だが……。
……一体、何をしているのだろうか?
すると、彼の近くにいた華様も。
同様に彼の動向を不審に思っていたのか。
首を傾げながら。
隣からルーヴェインへと話しかける。
「……ルーヴェインさん、さっきから何してるんですか?」
「ん……? ああ、最後に返信だけでも返しておこうと思いましてね」
画面に目をやると……。
どうやら、ルーヴェインは。
カノン様に届いた煽りメッセージに対して。
独自の返信メッセージを作成していた様子。
どこかで入手してきた謎の写真データを貼付しながら、本文にこのような日本語を記していたようだ。
以下、モニター画面に映された。
本文である──
〈件名 素敵な写真ですね〉
〈先程、SNSであなたの投稿を発見致しましたので、【いいね】を贈らせて頂きました〉
──加えて、貼付した写真データは……。
なんと、対戦相手の彼が大学の近くにあるファミリーレストランにて。
他の仲間達と仲良く働いている時の写真であった模様。
すると、その写真を視界に入れた華様が。
「うわぁ……」と、途端に顔を歪める。
「あちゃ〜……、また大炎上しそうな……」
そう、その写真とは。
今、巷で騒ぎとなっている【バイトテロ】の瞬間を捉えた、とある学生達によるおふざけ写真であった。
おそらく、この煽りメッセージを送ってきた人物のプロフィール欄からSNSのアカウントを探り。
それを元に、彼の裏アカウントを見つけ出して。
わざわざ保存してきたのだろう。
その様子を見ていた華様にそっと優しく微笑みを返しながらも、無慈悲にメッセージを送信するルーヴェイン。
「ネットとは便利である反面、ひとたび使い方を誤ってしまえば、この様に自らにも牙を向いてしまう恐ろしいツールなのです。……どうか華殿もネットリテラシーを十分に身につけてから、清く正しくインターネットをご活用くださいませ」
「は〜い」
そして、そんなルーヴェイン達の元に。
カノン様が元気よく走ってゆく。
「ねぇねぇ、るーびん! カノンね! いま、すごく【じーじー】なんだってっ!!」
すると。
それを聞いたルーヴェインが。
その場で大きく目を見開き始めた。
「なっ!? もしや、カノン様! ついに、Fの後に待ち受ける七つ目のアルファベット文字……。伝説の【G】をご習得なされたのですか!?」
「え? これが、『えふ』のつぎなの?」
そう、それは偶然にも。
カノン様が大苦戦なされていた……。
七つ目のアルファベット文字。
従者達の視線に囲まれながら。
カノン様は、今一度……。
本日の復習を。
「えー、びー、すぃー、でぃー! ……いー、えふ……──」
果たして、その結果は……?
私達が祈りを見せる中。
彼女は、元気よくこう答えた。
「──じーじー♪」
少し恥ずかしそうに。
私達に笑顔を見せてくる、カノン様。
「えへへ……! カノン、えふのつぎ……! やっとおぼえたっ……!」
私達は彼女に向かって。
パチパチと盛大な拍手を贈る。
……ふふっ。
わざわざ、月の上まで歩いてきた甲斐がありましたわね。
色々と先は長そうですが……。
今日のところは、ひとまずこれで良しとしましょう。
「流石でございますわ、カノン様」
──こうして。
カノン様は、初めてのオンラインゲームで。
チーターを相手に勝利を納めるという……。
しばらく界隈を賑わす偉業を果たすのであった。
日進月歩。
これからも衛星軌道のように。
カノン様の成長は。
いつまでも続いていくのだろう。
*
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