第6話 火を吹く

「岩島さん……。ふざけないで下さい……」

「別に私は、ふざけてなんて――」

「それで八作。犯人の武器は」

「これを見て」


 すると八作は、自分のスマホを俺に見せる。

 そこには銀行内で、一人の若い主婦を人質にしている、ショットガンを所持した二十代前半の男が映っていた。


「何で人質がいるんだよ! 聞いてないぞ!」

「さぁ? たまたま他の銀行が間に合わなかったんじゃない?」

「はじめさん! どうします!」

「これだ!」


 そこで、俺は、銀行内のある物に目を付けた。




「さっさとこの分厚いシャッターを開けやがれ! さぁもないとこの女を殺すぞ!」


「カケル。シャッタを開けろ」

「いいんですか?」

「いいもへちまもあるか!」


 俺がそう怒鳴ると、白馬は、慌てて、外の開閉ボタンで、要塞の壁の様な自動シャッターを解除する。


 ――ウィィィィーン。


 そして、徐々に、銀行の正面扉が明らかになったと思う間もなく、そのガラス扉は吹き飛んだ。


 ――ガシャーン!


 なぜなら犯人が痺れを切らして、ショットガンをぶっ放したからだ。


「きゃああああー。誰か助けてー」

「はぁはぁはぁ。やっと出れるぜ……」

「はぁ? 何言ってやがる? お前はこれから入るんだよ? 地獄へな?」


 しかし、次の瞬間、火を吹いたのは、俺の拳銃も同じだった。

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