涙のキセキ

エピローグ

「遂にテレビ初公開かー」

　ソファーに身体を投げ出した女性の言葉で、皆がテレビに注目した。

「テレビ出演はあったけど、これは初めてだよね」

「やばいっすよね」

　身体を寄り添わせた若い男女が顔を見合わせた。

「ユーチューバーの作ったドラマがテレビで放送されるなんて、誰も予想しねえよな」

　目付きの鋭い青年が口の端を緩めた。

　それは、『ヨナス』が初めて一億回再生を突破した作品だ。

　この作品は、色々な意味でターニングポイントとなった。本名の公開、メンバー内恋愛の発表など、この作品を機に本当に多くの物を公にした。それは、全てを賭けてユーチューブ活動に向き合う、という健介達の覚悟だった。

「いよいよだな」

　ソファーに座る女性の姿勢を強制的に正しながら、精悍な顔立ちの青年がテレビを見た。

「楽しみだね！」目付きの鋭い青年に寄り添うように立っている少女が言った。「私達の初めての長編ドラマ、『涙のキセキ』の公開！」