第34話会議

 ― 午前 11時50分 晴れ 先ほどより少し暖かい。―


 会議開始十分前、 会議室の机を囲んでいる。 机の右側の上からブロン、 シルバー、 アルファ、 水蠆、 ホロ、 パスト、 ノワールの順に座っており、 左側にはジョーカー、 カカオ、 空席、 大蛇、 シルク、 マキとなっている。 他のメンバーは別の部屋からパイプ椅子を持って来て、 座っているがルフナ、 酒井、 スダチは壁に背を当て立っている。


 とある任務に向かっていたメンバーが会議室に到着した。 到着したメンバーは四人で全員、 女で関雷雨の外套を着服しており胸は普通位、 右から黒髪ウルフロングで狼の耳が生えており、 目の色は黄色、 名前はフレーク。 二人目は、 金髪ショートでフェネックの耳が生えており、 目の色は青色、 名前はヤヨイ。 三人目は、 髪型はロング、 髪色は水色のエルフで、 目の色は黄色、 名前はカスミ。 四人目は、 髪型はお団子ツイン、 髪色は橙色で目の色は黄緑、 名前はツバキ。


「あれ何でドア、 壊れているのですか?」


 ヤヨイがそう質問する。


「ガラナが壊した」


 大蛇がそう返答する。


「早く座りなよ」


 ノワールが四人にそう言うと、 フレークがカカオと大蛇の間に座り、ヤヨイがマキの後ろの椅子に座る。


「ライム、 レモン見張りを頼む」


 水蠆がそう言うと、 二人は会議室を出て扉の横に立つ。


「簡潔に終わらせるぞ…フレーク報告を頼む」


 水蠆がフレークにそう聞く。


「戦争の方はすぐ終わったよ。 面倒な奴が二人…」


「誰だ? 」


「もう殺したけどマリーナの聖騎士クルセイダー


「まぁ相手にならないですけどね! 」


 ヤヨイが緩い感じでそう言う。


「葛籠菜が出たときは逃げろよ、お前ら…」


 水蠆は二人の事を心配している。


「まぁ今、 葛籠菜とドンパチしても勝てるのはホロ先ぐらいだからね」


 大蛇が真顔でそう言うと、 アルファ、 パスト、 シルバーが大蛇をガン見する。


「こっち見んな」


「でも何とかなるでしょ! 」


 酒井が調子に乗る。


「話聞いてた!? 」


 ルフナが酒井にツッコミを入れる。


「おろちん、 港の方はどうなった?」


 水蠆が大蛇にそう聞く。


「あたしたちを使えばあっという間に制圧できるわ」


「OK。 ”その時”は頼んだ」


「水蠆ーそろそろグループ名変えない? 」


 ココアがめんどくさそうにそう言う。


「えーヤダ」


「ダッセー名前付けやがって! 」


 ココアがそう言った瞬間、


「ダッセー! 」


「ダッセー! 」


「ダッセー! 」


「ダッセー! 」


 アルファ、 スペード、 マロン、 フェザーの順に水蠆を罵倒する。


「おろちん助けて! 」


「素直に名前変えなさいよ」


「水蠆ーこれでいい? 」


 アルファがアビスと書かれた紙を水蠆に提出する。


「レモン、 ライム入って来て! 組織名これでいい? 」


 水蠆が紙を全員に見せるとメンバーは頷いた。


「前よりマシになった」


 スペードが真顔でそう言う。


「ちょっとココーア目薬持ってないかしら? 」


 大蛇がココアにそう聞くとココアは目薬を渡す。 目薬を受け取ると一瞬で目薬を両目に点す。


「ココア目薬ありがとう」


 大蛇の充血がひき真っ白の白目になる。


「水蠆ーそろそろ本部移した方がいいと思う」


 フレークが水蠆にそう提案する。


「そのつもりだ、 なんならここの隣に作ってもらった」


 水蠆がそう言った瞬間、 麒麟が会議室に入ってくる。


「叔父貴、 便利機能の付いた本部作ったよ~緑化は自分たちでやってね~」


「おうわかった! 」


 水蠆が嬉しそうに返答する。


「後、 今日宴会する予定だったけど予定が入って明日に変更。 ところで、 フェンリルのガイドストーンいる? 」


 麒麟がそう言った瞬間、 フレークが飛び上がり嬉しそうに手を上げる。


「はいどうぞ」


 麒麟が注射針の付いた注射器とガイドストーンをフレークに渡す。


「叔父貴、 コレ」


 麒麟が水蠆に地図を渡して会議室を出る。


「後はマロンだけだね」


 ライムがマロンにそう言うとマロンは落ち込んだ態度を取る。


「なんか置いていかれた感が…」


「大丈夫だ、 もう見つけてる」


 水蠆がマロンを励ます。


「え! マジ!? 」


 マロンが嬉しそうな態度を取った瞬間、 フレークが汚い声を上げた。


「水蠆ー引っ越しするなら今のうちにした方が良くない? 」


 カカオが水蠆にそう提案する。


「そうだな…お前ら今から引っ越しだ、 早く終わらせろよ。 アルファ書類と金銭よろしく」


 水蠆がそう言うと、 最高幹部はまず先に転移した。


「ハート、 ダイナマイトよろしく」


「OK! 」


 ハートがそう言うと、 水蠆以外のメンバーは転移した。


「さて、 俺は新しい事務所でも見に行きますか! 」


 水蠆は地図を右手に持ち、 会議室から出る。

「あー“どこでも“転移が使えたらな~」


 水蠆は何かを考えながら、 豪邸を出る。


(道こっちで合ってる?)


 水蠆が地図を見ながら目的地へと向かう。


「明治辺りの建築物が多いな…絹産業か綿業でもするつもりか? 」


 水蠆はそう呟き、 辺りを見渡しながら目的地に向かう。


「思った以上に綺麗だな、 耐久面は心配だが何とかなるかな? 」


 目的地に到着した水蠆は新しくできた本部に関心を抱く。 新本部の特徴は5階建てのレンガ造りの建築物。


「ここが新しい本部? 思った以上に普通だね」


 酒井が水蠆に声をかける。


「そうだな。 てかお前、 荷物整理終わったの? 」


「持って来てないけど終わったよ」


「じゃあ行くか」


 水蠆と酒井が本部に入る。 玄関は普通だが一階は大広間となっており、 厨房もついている。 照明はLEDライトで光も強い。 奥の方に扉があり、 扉の先には螺旋階段がある。


「なんかここだけ世界観おかしいね」


 酒井が水蠆にそう言う。


「前の本部の方がおかしいわ」


 水蠆は微笑む。


「古城に電気設備ついてたもんね」


「昔、竜人ドラゴニュート が住んでたらしいからな」


竜人ドラゴニュート文献、残さないからね」


「その代わり記憶力が異常だからな」


 水蠆がそう言うと、 大蛇が入って来た。


「あら、 あたし達だけかしら? 」


 大蛇が二人に話しかける。


「そうだよ」


 酒井がそう返答する。


「なんでここ電子機器ついてんのよ」


 大蛇がツッコミを入れる。


「竜馬に聞いてくれ」


 水蠆がそう返答する。


「いや誰やねん」


 大蛇がツッコミを入れた瞬間、 カスミが転移して来た。


「うーバリバリバリバリ! 」


 カスミがふざけた態度をとる。


「何しとんねん」


 すかさず大蛇がツッコミを入れる。


「何で電子機器ついてんの?」


 カスミが首を傾げる。


「お前も言うか! 」


 水蠆がツッコミを入れる。


「ただいま! 」


 ツバキが嬉しそうに玄関から入ってくる。


「おかえり、 ここが新本部よ」


 大蛇がツバキにそう言う。


「何で電子機器ついてんの? 」


 ツバキも首を傾げる。


「お前もか! 」


 大蛇がツッコミを入れる。 青龍が玄関を開けて入ってくる。


「おっちゃん竜馬が弁償してって」


 青龍が軽い態度で水蠆にそう言う。


「お前誰やねん」


 大蛇が青龍に話しかける。


「蛇之です」


 青龍はそう返答する。


「雰囲気がおろちんに似てる」


 酒井がボソッとそう言う。


「ホントだ、 似てる」


 ツバキはボソッと呟く。


「どこがやねん」


 大蛇が二人にツッコミを入れる。


「落ち着いたら払うって言っといて」


 水蠆が腕を組む。


「はーい」


 青龍がその場を去ろうとした瞬間、 エメラルドがドアを蹴り破る。


「蛇之、 相殺だチャラにしといて」


 水蠆が啞然とした態度を取る。


「…わかった」


 青龍も啞然とした表情をする。


「ちょっとエメちゃん! ドアを蹴って開けちゃダメでしょ! 謝りなさい! 」


 青龍はエメラルドを叱るとエメラルドは水蠆にお辞儀をする。


「お兄ちゃん帰るよ」


 エメラルドが青龍の腕を掴み何処かに連れて行った。


「あの子ココアに似てたね」


 酒井が大蛇にそう言う。


「あんなに可愛くないわよ」


 大蛇はサラッと返答する。


「お前ら、 上の階見てきて」


 水蠆がそう言うと、 四人は上の階を見に行く。


「さて、 これを直しますかね」


 水蠆はドアに近づき、 何処が故障しているか確認する。


「ぱっと見どこも壊れてないが…」


 水蠆はドアを動かすも全く異常は見られてない。


「あれ? おかしいな」


 水蠆は首を傾げる。 ウールが玄関の前で転移して来た。


「水蠆ーどうしたの? 」


 ウールが水蠆に話しかける。


「ドア壊された」


「どこも壊れて無いじゃん」


「…マジ? 」


 水蠆がウールにそう聞くと、 ウールは頷く。


「水蠆ーざっとだけど見てきたわ」


 大蛇が下りてきて水蠆に話しかける。


「どうだった? 」


 水蠆がドアから離れ、 大蛇に近寄る。


「二階からは部屋の構造が全部同じよ、 真ん中の部屋が大広間で他はマンションの部屋ぐらいの大きさで、 男子トイレと女子トイレがあったわ」


「部屋の数は? 」


「上から見て北と南が三つ、 東と西が四つ。 北側の右端に男子トイレがあって、 南側の左端に女子トイレがあったわ」


 大蛇が説明すると、 後ろからアルファが辛そうな表情で資料と金庫を持って来た。


「ちょっとあなた大丈夫? 」


 大蛇が苦笑いしながら資料を取る。


「金庫持ってくれ! 」


「ウールちゃん、 ちょっと酒井君呼んできて」


 大蛇がそう言うとウールは新本部の中に入って行った。


「コレどこに置けばいいの? 」


 大蛇が水蠆にそう聞く。


「とりあえず二階の大広間に」


 水蠆が返答すると酒井がやって来た。


「風太これ持って」


 アルファが酒井に金庫を渡す。


「ちょっと重いね」


 酒井は楽々と持ちあげる。


「腕とれるところだった」


 アルファが肩を回す。


「酒井君、 金庫置く場所教えるからちょっとついてきなさい」


「OK!! 」


 大蛇が酒井を連れて行く。


「事務室何個作れる?」


 アルファが水蠆にそう聞く。


「ニ階と四階の大広間を事務室にして、 三階をラボ、 五階を会議室にする予定」


「二階をラボにした方が良くない?」


 アルファが首を傾げる。


「…そっちの方がいいかも」


 水蠆がアルファの意見を受け入れる。


「と言うかあいつらまだ片づけてるの?」


 水蠆はアルファにそう聞く。


「そうですよ。 私もすることあるので」


 アルファはその場から転移した。


「おろちん、 酒井、 手伝って!」


 水蠆が大声で呼ぶと二人は二階から下りてきた。


「どうしたの? 」


 酒井が首を傾げる。


「本部から机を持ってくるから手伝って」


「「はーい」」


 三人はその場から転移して、 木製の長机を六つ持って来た。


「ツバキとカスミは荷物整理をしてるわ」


 大蛇が水蠆にそう言う。


「わかった、 パパっと終わらすぞ! 」


 水蠆がそう言うと、 二人は机を並べ始めた。


「荷物整理してくる」


 酒井が水蠆にそう言い、 その場から去る。


「ちょっと椅子とってくる」


 大蛇はその場から転移して、 木製のベンチチェアを二つ持って来て、 並べた。


「ちょっと水蠆ー手伝って」


 大蛇が辛そうな表情を浮かべると水蠆は転移し、 ベンチチェアを二つ持って並べ始めた。


「あー疲れた」


 大蛇はベンチチェアに寝転び、 眠りにつく。


「めっちゃ大変だわ、 コレ」


 水蠆もベンチチェアに寝転び、 眠りにつく。


「おーい、 水蠆ー起きて」


 ダイヤが水蠆の肩を叩いて起こす。


「どうした? 」


 水蠆が起き上がる。


「二人が寝ている間に終わらせたよ」


 ダイヤがそう言うと、 水蠆は辺りを見渡す。 いつの間にか机と椅子が全て揃っていて、 ココアが寝ている大蛇の頭を膝に乗せていた。


「お前らいつ来た? 」


「少し前ぐらいに来て、 ジョーカーとアラレとココアに手伝ってもらった」


 ダイヤは水蠆にそう言う。


「ありがとう! 」


 水蠆はグットサインをする。


「おろちん、 荷物整理終わった? 」


 酒井が階段から下りて大蛇に話しかけるが、 寝ているため静かに階段を上って行った。


「君はほんと、 おろちんの事好きだね~」


 ダイヤはココアをからかう。


「うるせぇペコ!」


 ココアは顔を赤らめる。


「まぁ無理もない。 おろちんは竜人ドラゴニュートの中でも珍しい方だからな~」


 水蠆はボソッと呟く。


「品種改良だっけ? 」


 ダイヤが水蠆に聞くと、 水蠆は頷き、 顎に手をそっと置く。


「これからどうするの? 水蠆ー」


 ココアは水蠆にそう聞くと大蛇の額を撫でる。


「全員の荷物整理が終わり次第、 任務を与える」


 水蠆はそう言うとその場から転移した。


「ゆっくり休んでね」


 ココアは大蛇の額にキスをする。


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