第31話トラウト王国滅亡 前半

「終わった…」


 青龍は青ざめ上を向く。


「まっいっか」


 青龍は闇雲に歩き始めた。 一時間後青龍は王都らしき場所に見つけたが、 青龍は虚ろな表情を浮かべる。


「やっと着いた…」


 青龍は杖を突きながら王都に向かう。 王都に着くと青龍は驚愕する。 何故なら王都は廃墟の様な様相を呈しており粗悪な酒や薬物の様な臭いが立ち込める。 王都の庶民全てが粗悪な酒に溺れ、 依存性の高い薬物に侵され動けない状態になっている。


「おいおい嘘だろ…俺らが居た国より酷いぞ…」


 青龍は片手で口と鼻を押さえ先へ進む。 進んでいる途中、 食品市場を見つけたがどれも腐っており強烈な腐敗臭を放っている。 中には緑色のカビが生えている物や蛆虫が湧いている物まで並んでいた。 青龍は逃げるかのようにしてその場を去り、 離れたところで嘔吐した。


「腐りすぎている…」


 青龍は苦しそうな表情で城に向かう。 城に着くと門番二名が槍を構えたまま青龍に近寄る。


「止まれ何者だ!」


 右側の門番がそう言うと青龍は毒々しい色の殺気を放つ。


「できればそこを開けてください」


 青龍は門番に笑顔でゆっくり歩くと二人の門番が槍で青龍を突き刺そうとする。 だが青龍は高く跳びあがり仕込み刀を抜刀、 一瞬で二人の首を刎ね飛ばす。


「空気がマズイ」


 青龍はその場でまた嘔吐する。


「お邪魔します~」


 青龍は門を開ける、 門の内側に何万人も収容できそうな大広間があり、奥の方に扉がある青龍は急いで扉を開け中に進む。 扉の先には四つ別の扉があり青龍は一つずつ開けていく。 一つ目と二つ目の扉には何もない行き止まりで三つ目の扉は奥の方に扉があり、青龍が警戒もせずノコノコと入ると強烈な風圧が左から吹き青龍を部屋の中央まで吹き飛ばす。 青龍が中央に着くと全方位の壁から無数の長い槍が勢いよく発射され、青龍を貫く。 貫かれたと同時に槍が一瞬で腐食しボロボロとなり、 体内に残った物は液体となり吸収される。 青龍の傷口がグチュグチュと音を立てながら再生し完治すると奥の扉に向かい押し開ける。 扉の先は暗く、下へとつながる細い石階段だけであった。 青龍は何のためらいもなく進む。


(色はわからないが形はわかる)


 青龍は階段を下りていく。 階段を下りた先には部屋になっており、肉が腐った臭いが立ち込めた。


「柵の中に冷たい何かが…」


 青龍は火薬を探す。 すると木製の机の上に小さく四角い箱があり、 中に棒の様な物が入っている。


「この時代にマッチなんてな~異界の誰かが持ち込んだものだろ…」


 青龍はそう呟きながら壁にマッチを擦る。 すると火が付いたと同時に勢いよく爆発し青龍を吹き飛ばす。 一瞬だけだが牢屋の中には大量の女のエルフの腐乱死体が散漫していた。 爆破の影響で青龍は肋骨を骨折した。


「やばいな…これ」


 青龍は杖を突きながら階段を上り、 トラップ部屋に戻る。 部屋には街の人間と同じ表情の兵士が佇んでいた。


「お前大丈夫か…」


 青龍が兵士にそう聞くと、兵士は奇声を上げ、 気持ち悪い走り方をしながら奥の部屋に入って行った。


(なんだあいつ?)


 青龍はきょとんとした表情を浮かべながら部屋を出る。 部屋を出ると三人の兵士が槍を使い青龍に襲い掛かる。 青龍は頭部を瞬時に変形させ、 一瞬で三人を丸呑みにする。 三人を吞み込んだ後、 折れた肋骨が瞬時に再生。


「おえ変な味がする!」


 青龍は頭部を元に戻し、 城内を探索する。 探索中幾度も兵士に出会ったが仕込み刀を使い斬殺し先に進む。


「嫌な予感がする…」


 いつの間にか潜伏していた水蠆、 身を隠しながら青龍について行った。 少しすると青龍は巨大な扉のある部屋にたどり着き中に入る。 中には大理石で作られた長方形の巨大な机があり、 木製の椅子が並べられている。 一番奥の椅子に女王と思わしき人が座っており、 近くに剣を持った兵士が待機しており、 青龍を見つけるとすぐさま襲い掛かるも、 青龍に首元を浅く斬られる。 斬られた個所をもだえ苦しみながらかきむしる。


「物騒な客だな…」


 青龍を睨む女王。


「何かのジョークか? 物騒な歓迎ご苦労様です」


 青龍は刀を女王に向ける。 すると女王は左ポケットから錠剤瓶と水筒を取り出す。


 錠剤瓶にはbacterial activatorと書かれていた。


「どうする私を殺すのか? 殺すなら殺せ! 」


 女王がそう言うと水蠆が侵入し、 兵士の首をへし折る。


「蛇之! そいつから錠剤を取り上げろ! 」


 水蠆がそう言うと青龍が女王の左手首を斬り落とそうとする。 その刹那、 女王は蓋を開け全ての錠剤を飲み干すも手首は斬り落とされた。 手首からは黒く粘々した液体がだらだらと出る。


「『破龍砲』」


 水蠆は女王に指を指す。 指先に滅紫色の小型の球体が出現、 高速で発射され女王のした顎から上が爆散する。 爆風で水筒が倒れるも中身は空っぽだった。


「水無しで飲めるタイプの錠剤か…一体どこで…」


「なんでもいいが早くしないと! 」


 青龍が水蠆を連れて全力疾走で逃げる。


「てかいつから居たの?」


 青龍が水蠆にそう聞く。


「さっき来た。 少し早めに書類を回収したらいい情報が手に入ったから調子乗って過去と百合に迎えを頼んだ」


 水蠆が走りながら淡々と話していると頭部が欠落している死体が動き始めた。 二人は死体を蹴り飛ばし先進む、 もう少しで出口だがそこで災難が訪れる。 なんとドラップ部屋から巨大な四足歩行の腐った肉の塊が扉を突き破って二人を追いかける。


「ゴチソウ…オイ…シ…ソ」


 肉塊はうめき声をあげるも二人に相手にされない。 二人が城から出るとそこには死んだはずの女王が佇んで居た。 よく見ると女王の右手首が切り落とされている。


「オチル…サイ…ガラス…テクビ…キッタ…ユルサナイ…フクシュウ…コロス!!」


 女王の頭部から禍々しく巨大な口が出現し、 二人を喰らおうとするも二人は回避したが肉塊が女王の口の中に飛び込み喰われてしまった。 女王の捕食後、 女王の体に異変が起こる。


「おいおい嘘だろ…もうしやがったか」


 水蠆はそう言うと、 青龍に合図して脱出を試みるも門の前には数名の人間が群がっている。 後ろからは女王が迫ってきている。


「オッサン! こっから入れる保険ある?」


 青龍は軽いジョークを言うと水蠆が「ある」と言い青龍を担いで門を蹴り破る。 蹴り破った門が斜めに倒れ、 坂となる。 その坂を上り屋根の上に登る。


「保険料たんまりと払ってもらうからな!」


「はいはい」


「てか自分で歩け」


 水蠆は青龍を降ろす。


「行こう!」


 青龍がそう言うと二人は走り出す。 後ろの方から金属や人間がバキボキと食される音が聞こえる。


「まさかこんな結果になるなんてな…」


 青龍はしょんぼりとした顔を浮かべる。


「喋る暇があったら走れ!」


 水蠆がそう言うと後ろからトカゲの様な何かがこちらに迫っている。 二人が街の出口に差し掛かった時トカゲの様な物が二人を下から突き上げられる。 トカゲの様な物は皮膚が死蝋の様になっており、 頭部は楕円形となっている、 目玉がついているが瞼が無くそのうえ手足が人間の腕の様な形をしておりさらに肉片をツギハギされた様な尻尾も生えている、 恐らく女王の成れ果てだと思われる。


「クエスト…失敗か…」


 青龍が悲しそうな表情を浮かべる。


「俺らは詰んだ。 後はあいつらに任せる」


 水蠆がそう言うと、 二人はトカゲの様な物に尻尾で斜め線状に叩きつけられる。 地面に叩きつけられる際、 二人は人影を目撃した。 その人影はパストとノワールである。


「何で避けなかったんだろ?」


 パストが呆れた表情を浮かべる。


「バカだからでしょ」


 ノワールが棒状のお菓子を食べる。


「コムスメ…ジャマ…コロス…」


 トカゲの様な物が二人に近づこうとしている。


「おー怖い怖い」


 パストがそう言いノワールに手話で「少しの間喋れなくなる」と伝えるとノワールは手話で「わかった」と伝えると、二人の足元に魔法陣が現れる。 パストの方は白色でノワールの方は黒色だ。


「「フェーズワン」」


 二人がそう言うと、 二人の足元から魔法陣にひびが入る。

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