27話休めない

 1月2日 午前6時00分 晴れ 1月なのに日の出が早い。


「よく寝た…」


 ノワールが起き上がり辺りをキョロキョロと見渡す。 ブロンが居なくて下着姿のシルバーが寝ている。


「おはよう…この姿で寝てたの?」


 シルバーが起きてノワールの服を軽く引っ張る。


「いや寒いから」


「寒がりなんだね!」


 シルバーがそう言うとまた布団に潜る。


「はぁ…歯磨きしてくるね…」


 ノワールがそう言ってその場から転移した。


「あの国どうなったんだろう…」


 シルバーは窓を見つめる。


「ただいまー」


 ブロンが疲れた表情で帰って来た。


「おかえりどうしたの?」


 シルバーが首を傾げる。


「百合がまたやりやがった! 報告がめんどくさくなる 」


 ブロンが焦った表情でそう言うとシルバーが首を傾げる。


「ブラックホール?」


 シルバーが首を傾げるとブロンは頷く。


「まぁ王都だけだったから問題ねえけど…」


 ブロンはベッドに座った。


「この後どうする?」


 ブロンがシルバーに聞く。


「宿代払ってどっか三人で食べに行こ…」


 シルバーが起き上がり外套を着服した。 それと同時にノワールが帰って来た。


「じゃあ私行くね! 」


 シルバーが転移した。


「おい百合! またお前やったな!」


 ブロンがぷくーと頬を膨らます。


「ごめんごめん」


「まぁ王都だけだったからいいけど」


 ブロンは後ろを振り向く。


「ただいま」


 シルバーが顔を赤らめて帰って来た。


「どうしたの?」


 ノワールが首を傾げる。


「過去ちゃんの仕事手伝う事になった! 」


 シルバーはペコペコしだした。


「ほんと、 過去の事好きだな…」


 ノワールがそう言うとシルバーがルンルンで手招きをした。 二人は首を傾げる。


「久々にな料理が食べれるね!」


 シルバーは楽しそうな声でそう言う。


「まあね…」


 ブロンが苦笑いする。


「虫と激マズはもう勘弁…」


 ノワールはため息をつく。 そうこうしているうちに三人は食堂につく。 食堂はファンタジー世界定番の酒場みたいだ。 厨房には料理を作っている女性がいて、 奥の方でメガネをかけていて緑のジャージとブルーのジーンズを着服していてホワイトシチューを食べている。 三人は手前の席に座りメニューを眺める。


「僕時間無いからシチューにするね!」


「他にいいのなさそうだし…ユリもそれでいい?」


 ノワールがブロンにそう聞くとブロンは頷く。


「すみませーんシチュー三つお願いしまーす」


 ノワールが店員を呼ぶと厨房から女性の声がした。


「本部今虫無いから向こうで食べたくない…」


 ノワールが疲れた表情を浮かべる。


「あいつ何で虫しか持ってこないんだろうね! たまに川魚持ってくるけど」


 ブロンが苦笑いをする。


「お待たせしました!」


 女性がホワイトシチュー三つを円形で大きめのお盆の上に載せて持って来た。 ご丁寧に木製のスプーンが三つ付いていた。


「おいらコレ!」


 ブロンがはしゃぐ。


「どれも同じでしょ」


 ノワールがため息をつき呆れた表情を浮かべる。 それを見たシルバーはクスクスと笑う。


「いただきます!」


 ブロンが勢いよく食べると二人はクスクスと笑う。


「ねぇ銀竜この後どうするの?」


 ノワールがスープを飲みながらシルバーにそう聞く。


「僕が転移先教えるからそこに来て~」


 シルバーが緩い表情をする。


「ご馳走様!」


 ブロンが食事を終える。 ブロンの口の周りに白い液体がついていたのでノワールがポケットからハンカチを取り出しブロンの顔を拭く。


(親友なんだけど…恋人いや姉妹に見えるだよね~)


 シルバーが気楽そうな表情でシチューを食す。


「なぁ百合、 面白いもんはいってるにぇ」


 ブロンがそう言うとノワールが自分のシチューをスプーンで掬う、 すると中からコガネムシの幼虫が出てきた。 それを見た瞬間シルバーは口からシチューを吹きだす。


「ごちそうさま…」


 三人は会計を済ませる。 会計中女はクスクスと笑っていたためノワールは怒りの表情を浮かべ女を睨む。 三人は宿屋を出る。


「消し炭にしたるわ!!」


 ノワールがオリーブと同じサイズのブラックホールを投げつけようとしている。 ブロンが慌てて止める。


「百合! 落ち着けぇ!」


「僕行くね~」


 シルバーがその場から転移した。


「おい! 待てぇ!」


 ブロンが急に焦り始める。 その後ブロンの説得であの宿屋は消滅しなかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る