第24話一休み

「ただいま! エ…メ…」


  青龍は吐血した後、 怪物化ファイル化を解除した。 解除した場所が空中だったため頭から落下し地面に叩きつけられた。 エメラルドは堡塁から飛び降りて青龍の元に向かう。 エメラルドが見た物は頭が割れて中から脳みそが見えていて眼球が飛び出している青龍の姿だった。


「早く再生させなさい! 」


 エメラルドは青龍にそう言いながら肩をポンポンと叩く。 すると、 青龍は身体を再生させた。


「おはよう」


  青龍が起き上がりエメラルドの頭を撫でる。 エメラルドは笑顔で頷く。


「ねぇねぇ一緒にお風呂入ろ!」


  エメラルドは青龍に顔を近づけてそう言うと青龍の顔を赤らめ焦り始めた。


「おーい蛇之、一緒に温泉入ろ!」


  玄武が青龍を誘う。


「ダメ! お兄ちゃんは私と一緒に…」


「いいよ!」


  青龍がそう返答するとエメラルドは虚ろな表情で「あ?」と言い青龍を見つめる。


「んじゃで!」


  玄武は足早に去って行った。 玄武が去った事を確認するとエメラルドは青龍の胸ぐらを掴む。


「おいお前…」


  エメラルドは青龍に圧力をかけながら首を傾げ質問する。


「また今度でいい?」


「…うん! 」


 エメラルドは笑顔で頷く。


「抱っこして!」


「えー」


  青龍はそのままエメラルドを抱きかかえ、 翼を生やし豪邸の入り口で舞い降り、 玄武と合流する。 合流すると翼を灰の様な物にした。


「お待たせ!」


「遅かったな! 何かあったの?」


  玄武がそう聞くとエメラルドは頬を膨らまし、 青龍を見つめる。


「何もないよ早く行こう! 」


  青龍は足早に豪邸内に入る。


(蛇之の奴…とんでもない怪物を拾って来たな…)


  玄武も豪邸の中に入って行った。


「そういえば俺達っておかしいのかな~?」


  玄武は青龍にそう聞く。


「おかしくないよ…むしろ普通の奴らの考えがおかしい…」


「そうか…気にしすぎか…」


  玄武は嬉しそうに軽く笑う。


「そういえばあの二人誰?」


  青龍は玄武にそう聞く。


「また明日話すよ…」


  玄武は目を瞑り、 顔を赤らめた。


「てか温泉ってどこだよ!」


「通りすぎてるよー」


「え?」


  青龍は足を止め振り向くと玄武が「ここだよ」と指を指す。 玄武が指を指した場所は木製の引き戸に、 白字で男湯と書かれている青色の暖簾が吊り下げられている。


「女湯は?」


「そこの通路を右に曲がると女湯だよ…蛇之お前行くなよ」


  玄武は青龍をじーと見つめる。


「行きたいけど行けねーよ」


  青龍はしれーと行こうとしている。


「いや行こうとするなよ!」


  玄武がツッコミを入れると青龍はつまんなそうな顔をして玄武の所に向かった。


「じゃあエメまた後で!」


  青龍がエメラルドを降ろすと奥の方からドレスの少女が走って来て玄武に抱き着いた。


「亀ちゃん!」


「ハイハイ…どうしたの?」


  玄武が少女の頭を撫でる。


「一緒にお風呂入ろ!」


  少女がそう言うと玄武は険しい表情をする。


「また今度ね……」


  玄武は少女を降ろして青龍を連れて行った。


「カメキチアゲナイ!」


「ヘビユキアゲナイ!」


「「喧嘩するな早く入れ!」」


  エメラルドと少女が言い争っていたので青龍と玄武が注意をする。


「「ハーイ…」」


  二人は女湯の方に向かって行った。


「俺も行きたかったな~」


  青龍がそう言うと玄武は青龍の頭を軽く叩き男湯に連れ行った。


「やっと休める…」


  玄武はため息をついて服を脱ぐ。


「そんなに疲れたのか?」


  青龍が服を脱ぎながらそう聞く。


「色々と大変だったよ…気候変えたり、 敵国滅ぼしたり…」


「あーそう」


  青龍が下着を脱いで腰にタオルを巻くと玄武が下半身を見つめる。


「なぁお前のアレ見せろよ! 」


「はぁ? バカ!」


  青龍と玄武が取っ組み合いをする。


「俺のも見せるから…」


「え?」


「同じくらいだね」


「だな…てか早く入るぞ」


  二人は引き戸を開け辺りを見つめる。 公衆浴場は露天風呂の様になっていて濃い湯けむりが立っていて奥の方は見えない、 竹で作られた仕切りがあって女湯は見られない。 端の方にシャワーがいくつかあってそこで青龍と玄武は体を洗う。


「猫都お姉ちゃんのお毛々無い!」


  女湯の方からルキナの声が聞こえた。


(え?)


  青龍が体を洗いながら困惑する。


「雀お姉ちゃんはお毛々生えてる!」


「やかましいわ!」


  朱雀がルキナを叱る声が聞こえた。


「おいおい」


  青龍は髪の毛を洗い始めた。


「亀吉、 あの子の名前何?」


  青龍は玄武にそう聞く。


「アクーラ」


  玄武はそう言うと髪を洗いだした。


「へぇーじゃあもう一人は?」


「キャビア」


「高級食材!」


「怒られるからやめなさい!」


「亀ちゃんもお毛々生えてたよ!」


  アクーラがそう言うと女湯から殺気が飛んでくる。


「お兄ちゃんは生えてなかったよ!」


  エメラルドがそう言うとさらに強い殺気が飛んできた。


「どうする!?」


  玄武は青龍にそう聞く。


「早く着替えて自室に戻る」


  青龍は焦りながらそう返答する。


「それもそうだけど…せっかくだし温泉に浸かるか…」


「まぁせっかくだしな…」


  二人は同時に湯船に浸かる。 二分ぐらいすると二人は湯船から出て身体を拭き近くにあった浴衣を着る。 玄武は浴衣を持って来ていたが青龍は持って来ていなかった。


「あっやべ、 浴衣持ってくるの忘れてた」


「蛇之、 竜馬がお前に」


 玄武はそう言うと蛇之に下着を渡す。 すぐさま、 青龍は穿き、 服を回収して自分の部屋に戻った。


「蛇之の奴大丈夫かな?」


  玄武は近くにあったコーヒー牛乳を購入、 それを開けて飲む。


「お! 亀吉どうした?」


  急に麒麟が玄武に話しかけた。 すると玄武はコーヒー牛乳を吹き出し咳き込む。


「脅かすな!」


「悪い悪い」


  麒麟はヘラヘラしている。


「亀吉お前早く部屋戻った方がいいぞ」


「どうして?」


「雀と猫都が風呂から出てくる」


  麒麟がそう言うと玄武は服を回収して急いで部屋に戻った。


「まぁでも蛇之の方が大変だと思う」


  麒麟は大きい欠伸をした。 その頃青龍は浴衣を着服する。


「せっかくだし飲み物でも買いに行くか」


 青龍は部屋を出る。


「おーい蛇之」


 浴衣を着た玄武が青龍を呼ぶ。


「どうした? 」


「飲み物買いに行こうぜ!」


「いいね! ちょうど俺も買いに行くところだったんだよな~」


 青龍がグットサインをすると二人は飲み物を買いに行く。


「おーいお前ら~」


 麒麟が二人に話しかける。


「竜馬じゃん! どうした? 」


「蛇之~お前にお金渡すの忘れてた~」


 麒麟は青龍に20万円を渡す。


「今渡すって…もしかしてお前…」


「そう! 飲み物奢って」


 麒麟はそう言いながら頼みごとをする。


「はぁ…仕方ないな~」


 青龍はお金を受け取る。


「てか、 ここ売店あるの? 」


 青龍が麒麟にそう聞く。


「あるよ~大浴場の隣に」


「急いでたから気付かなかった…」


 青龍は少し落ち込む。 それから三人は話しながら売店へと向かった。


「竜馬、 ここに飲食店ある? 」


 玄武が麒麟にそう聞く。


「エントランスを曲がった先にあるよ、今は閉まっているけど」


 麒麟は真顔でそう言う。


「お兄ちゃん! 」


 浴衣を着たエメラルドがそう言いながら青龍に抱き着いてきた。


「はいはいどうしたんですか? 」


 青龍は首を傾げる。


「あれ買って」


 エメラルド売店にあるお酒に指を指す。


「え…ちょっとあれは…」


「おい蛇之! 」


 大浴場から浴衣を着た智和が出てきた。


「おーマジか…」


「蛇之! ビール奢ってくれ!」


「何でお前まで酒を? 」


「焼肉奢ってあげたのに? 」


「わかったよ…買ってやる…」


 青龍はそう言うとため息をつく。


「ねぇ」


 浴衣を着た白虎と朱雀が青龍に近寄る。


「飲み物奢って」


 白虎が真顔でそう言う。


「ヤダ! 」


「私はお前に昼飯を奢った」


「はい…わかりました」


「おい、 私にも奢れ」


 朱雀が青龍にそう言う。


「もしかして…病院代? 」


「そのもしかしてよ! 」


「終わった…」


 青龍は顔を上に向ける。


「わかったよ! 今日は俺の奢りだ! 」


 青龍は大声でそう言うと、 その場に居た全員、 売店でスポーツドリンクを購入。 もちろん代金は青龍が払った。購入した後、 全員自分の部屋に戻り、 スポーツドリンクを飲んで床に就く。 ルキナとルナが青龍の部屋に入り、 二人は青龍のベッドの中に入り、 床に就く。 キャビアとアクーラが玄武の部屋に入ると、 玄武と同じベットで床に就く。

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