第23話爬虫類集合

 青龍達の任務終了後、 麒麟たちは新しい作戦を考えていた。


「うーんどーしよかな~」


 麒麟は楽しそうな表情を浮かべる。


「竜馬! 何人か避難させろ!」


 朱雀が麒麟を呼んだ瞬間少し大きめの火球が降って来た。


「『二人は反逆者ペアトレイター』!」


 朱雀を中心に円形の薄黒い壁が出てきて火球を跳ね返した。 麒麟は普通に回避したが、何人かの兵士に直撃、 表面の肉がドロドロに溶けた者もいれば、 あまりの激痛にショック死した者もいる。


 麒麟は肩甲骨辺りからフィリピンオオコウモリの様な翼を生やしそのまま飛び飛び立ちそのまま智和の元に向かう。 麒麟が空から戦場見渡してると、 慶喜が前線で敵兵を斬り殺しているが、 城壁の弓兵は負傷者が多いため、 麒麟は朱雀に「弓兵もう帰して」とテレパシーで伝える。


「動ける者は負傷者を運んでここから下りて~」


 即座に健康な弓兵に負傷した弓兵を運ばせ、 全員撤退させた。


「さぁ~て久しぶりの火遊びだ~」


 朱雀は楽しそうな表情を浮かべ、 下を見る。 その頃、 麒麟は上空から智和を眺めていた。 智和はとても疲弊している。


「おーい大丈夫か?」


「大丈夫じゃねぇ! 早く助けろ!」


 智和が過呼吸しながら麒麟に助けを求める。 麒麟は急降下し智和を魔法で治療した。


「しょうがねぇなぁ」


 麒麟は空を飛び「フェーズ トゥー」と呟く。 黄緑色の巨大な時計の様な魔法陣が出現。 そして、 魔法陣にガシャン!という音とともに亀裂が入りそこから赤い液体が噴出、 液体を浴びて変身する。 変身した麒麟の姿はオヒキコウモリの翼と枝分かれした金色の角が生えているコモドドラゴンの様だった。 全長約20m。


 麒麟が着陸すると下に居た10人の兵士は押し潰されてしまった。 押しつぶされた死体は全て横腹から内臓を露出させている。


「動けるか智和?」


 麒麟が智和にそう聞く。


「槍とか剣が刺さってチクチクして動きにくい」


 智和がそう返答すると10人の兵士が智和を槍で突き刺す。


「針治療ならぬ槍治療じゃん、 よかったな」


「いいわけねーだろ! てかこんな時にしょうもないネタ言うな!!!」


 智和がツッコミを入れると麒麟は魔法で智和に突き刺さっている槍や剣を除去した。 その直後、 麒麟も剣や槍で刺される。


「おー軽い軽い」


 智和はゆっくり前に進みながら敵兵をプチプチと潰していく。


「少し時間稼ぐから手伝ってくれ」


 麒麟は翼を羽ばたかせて宙を舞う。


「任せろ!」


 智和は前方にいる敵を尾による薙ぎ払いで殺していくが体力スタミナが尽きる。


「おい竜馬! キリがねえぞ!」


 疲れた表情を浮かべる智和。


『流星群』


 大量の小型隕石が戦場に降り注ぐ。 それにより、 2000人の兵士が蟻に様に押しつぶされ、 帰らぬ人となる。


「隕石ってすげぇーな」


 麒麟がそう言った瞬間、 前の方の武器を持っていない兵士がこちらに向かってきた。 その兵士達は、 何やら怯えている様だった。 まるで、 怪物を見た子供の様に。逃げている兵士は「逃げろ!」や「助けて!」、 「ママァ!」と叫びながら逃げている。


「どゆこと?」


 麒麟は智和にそう聞く。


「あーたぶん親父の能力」


 智和はキョトンとした表情を浮かべた。 2人は半信半疑で逃げている兵士を追った。


「止まれ竜馬」


「どうした急に?」


「何か来る!」


 智和が警戒して麒麟を止める、 すると、 2人の頭上に巨大な火球が雨の様に降り注ぎ、 2人に命中。


「やったぞ!」


 1人の敵兵がそう言うと多くの敵兵が喜び始めたが2人は大火傷を負っただけで済んだ。 2人の火傷は徐々に治って行った。


(めんどくせー)


 麒麟が考え事をしている。


「そんな事より向こうの奴らの方が厄介そうだな」


 智和は奥のほうに指を指す。 指を指した方には赤いローブマントを纏い、 杖を持った人間が10人ぐらいいた。


「麒麟! で何とかできないのか?」


「これ以上使ったら大きな反動が返ってくる!」


 麒麟は深刻そうな顔をする。


「でも向こうは何とかなるな……」


 麒麟は舌をチョロチョロと出した。


「近くに蛇之と亀吉がいるな……」


 麒麟は2人の事を察知したが浮かない顔をした。


(蛇之の方は疲弊している感じか……だったら!!)


 麒麟がキョロキョロと見渡す。 すると疲弊している青龍に肩を貸して歩いているベリンがこちらに向かって歩いている。 赤いローブマントを着ている人間が麒麟たちに強力な魔法攻撃をしようとする。 だが、 何者かがローブマントの人間達を一瞬で氷漬けにしてしまった。


「間に合った!」


 濃い冷気の中から玄武とアーサーと2人の少女が姿を現した。


 1人目の少女は白髪ロングで黒いワンピースを着服している。 2人目は白髪の三つ編みで真珠がついているティアラを被っており白いドレスを着服していて手にはトライデントを持っている。


「アーサー!」


 ベリンが青龍を運びながらアーサーの元に向かう。


「ベリン! 久しぶりだな!」


「知り合い?」


 玄武が2人にそう聞くと2人は頷いた。


「無事だったか! 亀吉」


 青龍はそう言うとその場から崩れ落ちる。


「龍さん! しっかりしてください!」


 ベリンが青龍を起こそうとするが思った以上に重かったので中々上がらなかった。 アーサーも手伝って持ち上げようとするが中々持ち上がらない。


「俺がやる! お前らは帰ってろ! 『神の一手』!」


 麒麟はベリン、 アーサー、 ワンピースの少女とドレスの少女を城壁の方に転移させたと同時に体がふらつき吐血する。


「おい青龍~大丈夫か?」


 智和は青龍にそう聞く。


「見てわからんのか!!」


 青龍は死にそうな声を上げる。


「『神の一手』」


 麒麟は青龍を回復させる。 青龍が回復したと同時に玄武と青龍の足元に上昇気流を発生させ上空に舞い上げ2人を強制的に 怪物化ファイル化した。 変身した玄武は甲羅が濃く黒いが皮膚の方は薄い黒色のワニガメに枝分かれした金色の角が生えていた。 全長約16m。青龍は宙に浮いているが玄武は宙に浮けずそのまま落下している。 麒麟はよろめき鼻血と吐血する。


「蛇之! 止めて!」


 青龍は落下する玄武を止めようとしたが落下速度が思った以上に速かったため地面に激突してしまった。


「あー悪い」


 青龍は軽く謝る。


「お前反省する気ないだろ!」


 智和がツッコミを入れる。


「絶対ワザとだろ!」


 玄武も台パンをして青龍にツッコミを入れる。 玄武が台パンをした際、 1人の兵士が叩き潰されてしまった。


「何かごめん……」


 玄武は軽く謝る。


「気にすんな……蚊みたいなもんだから」


 智和が呆れた態度をとる。


「てかお前、 兵士に刺されてるぞ」


 玄武が指摘すると、 智和はブチギレて暴れだした。 それを見た青龍と玄武と麒麟は笑い始めた。


「あ……今戦争中だった……」


 智和がそう言った瞬間、 青龍と玄武はくるっと振り向く。


「亀吉! 終わらせるぞ!」


 青龍がそう言うと玄武は口から水色の吐息が漏れる。


『氷河の息』


 玄武は口から水色の光線を吐き、 兵士を氷漬けにした。 それと同時に、 青龍の『爆裂する劇毒オフィディオフォビア』が炸裂する。 今回は、 毒の成分が違うのか毒液ではなく毒々しい色の吐息を漏らしながら1分18秒間口の中に炎を溜め、 特大の火球を放ち、 大爆発を発生させた。 大爆発の後、 敵兵は跡形も無く消えたが黒く粘々した粘液と少しだけ錆びついた鎧が辺り一面に散らばっていた。攻め入ったトラウト王国の軍隊はあっけなく殲滅された。


「お疲れ~」


 智和がノコノコとやって来た。


「お疲れ~睡眠時間無くなるから帰るぞ~」


 麒麟が眠そうな態度をとると3人はしょんぼりとした表情を浮かべる。 青龍と麒麟は空を飛びながら帰り、 智和と玄武が歩いて帰った。


「明日は宴会?」


 青龍は麒麟にそう聞く。


「宴会は明後日でいい?」


 麒麟は青龍にそう聞くと、 頷く。


(こいつらとだったらどこへでも行けそうだな……)


 麒麟は軽く笑う。


「明後日は宴会だ!!!」


 麒麟がそう言うと3人は笑い始めた。


「もう少しで我が家につくからな」


 麒麟は楽しそうな雰囲気を作った。 壁の方ではエメラルドが青龍達に手を振っていた。


「エメちゃんから栄養摂取してくる」


 青龍は急いでエメラルドの元に向かった。


「おい待て!シスコン変態卿!!!」


 智和も負けじと走り始めた。 その頃、 村の中にベリンと接触した冒険者4人組が入って来ていた。


「たくあのバカ、 油断しやがって……」


 男の冒険者が嬉しそうにそう言いながら歩いている。


「ふーんなんだってー」


 4人の目の前にアルファが立ちふさがる。


絶対零度白雪姫!!」


 女の冒険者が警戒すると同時にアルファはため息をつく。 すると、 辺り一帯が一瞬で凍てつき冒険者4人を凍結させる。


「あー水飲みて―」


 アルファが不貞腐れた態度をとると同時に、 パストが派手に着陸。 凍った冒険者を一瞬で粉砕してしまう。


「アルちゃん終わらしてきてもいい? 」


「いいよ~」


 アルファがそう言うと、 パストは肩甲骨辺りからグンカンドリの翼を出す。 その羽は、 全て剃刀の様に鋭く、 まるで日本刀のようだ。


 この戦争が原因で世界情勢は動き始めた。 彼らにとって悪い方に。

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