第18話戦争開始

 三人は麒麟がいる場所に転移した。 転移先は西側の堡塁の上で数百万人の敵兵の姿が見える。 奥の方に禿げた山が一つだけそびえ立っている。 その山の頂上付近に一つキャンプがあり一段下には三つキャンプがありさらに一段下にキャンプが五つある。


「どうしようかな~」


  麒麟は楽しそうに考えていた。


「何考えるの~?」


  青龍が麒麟にそう聞く。


「簡単な作戦さ! 」


  麒麟は気楽な態度でそう返答した。


「どんなの? 」


  青龍は首を傾げながら麒麟にそう聞く。


「蛇之、 猫都、 エメラルドに本陣の近くにあるテントを襲撃してもらって、 ルキナに大将首を取らせようかな~と考えてる」


  麒麟は気楽そうにそう返答する。 走行しているうちに慶喜と智和が後ろからやって来て、 朱雀と白虎が転移してきた。


「とりあえず時間が無いから俺の言う通りにしてね。 青龍、 白虎、 エメラルドは敵本陣の周りのテントを攻撃してくれ、 徳川親子は前線で派手にやって朱雀は俺と一緒に上から下の兵士の援護を頼む…そしてルキナお前はてっぺんのアレを狙撃しろ…」


  麒麟は説明すると行動開始と言う合図を送った。 作戦を聞いた全員は行動を開始した。


「あの山に敵の本陣があるんだけどな~まぁいっか! 」


  麒麟が自分の頭を撫でる。


「じゃあ行ってくる! 」


  徳川親子は堡塁から飛び降り味方の兵隊に命令を下す。


「全員、 堡塁の上に行け」


  智和がそう言うと兵士達は堡塁の中に入って階段を使って上に上った。


「智和! 準備はいいか? 」


「もちろんだ! 」


  二人は武器を転移させた。 慶喜の武器は綺麗な装飾が入った大太刀で智和の方はかなり重そうな西洋の十字槍で石突の方には長い鎖がついておりそれを智和は自分の手に巻き付けた。


  その頃ルキナは堡塁の上を走りながら狙撃定点を探していた。


(王様みたいな奴がいる…もしかして! )


  ルキナは一番上のキャンプに目をつけた、 そこには王冠を被った男と杖を持ったルキナより少し小さいショートの目隠れの少女がいた。狙撃銃を転移させ、 構えながら急ブレーキをかける。 ブレーキをかけた際火花が散った。


「Tschüss!」


  ルキナはドイツ語でそう叫ぶと同時に引き金を引いた。 弾は見事に命中、 ルキナは射たれた王の所に転移して真っ先に少女の所に向かった。


「Hey! Sei meine Schwester!」


  ルキナはドイツ語で「ねぇ! 私の妹になって!」と言いながら少女の手を握ってはしゃぐ。


「De quoi parles-tu! ?」


  少女はフランス語で「何を言っているのですか!? 」と言い困惑する。


「ちょっと待ってね! 」


  ルキナは王の首をもぎ取り少女の手を握って堡塁の上に転移した。


「あなたは一体…」


  少女はルキナにそう聞くがルキナは狙撃銃を自身の元に転移させた。


「私ルキナ! 君は? 」


「私は…ルナ…ルナ=アンフェルノ! 」


  少女は恥ずかしそうにそう言う。


「よろしくルナちゃん! 」


 ルキナは漫勉な笑顔でルナの手を優しく握ると同時に、 ルキナの弾丸が爆破しキノコ雲を立ち上げた。 爆音はさほどなかったが頂上は一瞬で黒い液体と化してしまいいたるところに青みを帯びた炎が立ち上がっていた。


「一体何が…」


  ルナは爆破の威力に驚愕していた。


「核装薬銃弾っていう弾丸なんだけどね! 結構威力高いらしいよ」


  ルキナはニヤリと笑いながらルナを見つめる。


「見ればわかりますよ! 」


  ルナがツッコミを入れる。


「まあ味方には放射線の影響を受けないと思う! 」


「どうしてですか? 」


「なんとなく! 」


  ルキナは自信満々にそう言う。


「危険物質ですよ! そんな言葉で済ませないでください! 」


  ルナはツッコミを入れる。


「ねぇねぇルナちゃんは何が欲しいの? 」


  ルキナは首を傾げる。


が欲しいです…」


  ルナはニヤリと笑った。 その頃青龍たちは突撃の準備をしていた。


「青龍、 白虎、 エメラルド、 今だ行ってこい! 」


  麒麟がそう言うと青龍は肩甲骨辺りから翼を生やした。 その翼は蝙蝠の様に見える翼だが皮膜の部分がドクダミと言う植物の様な形をしている。 青龍はエメラルドを抱えて山の方に向かった。


「はぁ…」


  白虎は自身の腕をもぎ取り金属製のスノーボードに変えた。 そのスノーボードは、 浮力があるため空を飛べる。


「お前はゆっくりでいいぞ! 」


  麒麟が白虎にアドバイスをする。


「余計なお世話よ…」


  白虎はそう言うと腕をグチュグチュと音を立てながら再生させスノーボードに乗り山へと向かった。

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