第17話少女の過去

 エメラルドは悪夢に魘されていた。


  〜・〜


「ここはどこ? 」


 私は辺りをキョロキョロと見渡した。 日本の住宅街のような場所だった。


「Emme, over here, over here.」


  浴衣を来た私の父が私を呼んでいた。何故か父の顔が思い出せない…


「Papa wait! 」


  私は急いで父の元に向い飛びついた。


「Emme, don't bother your dad!」


  奥から来た母が私にそう言う。 何故か母の顔も思い出せない。


「momma i'm sorry」


 私は母にそう言って、 私は父から離れる。


「Let's go.」


 父が母にそう言って歩き出すと、 母は笑顔で頷き歩き始めた。


「wait a minute!」


 私はそんな父と母を追いかけた。 それから少ししてとある坂を訪れた時。


「Papa, Mum, I'm tyred~ Hug me!」


 私は大声でワガママを言う。


「Endure! 」


 母が私を叱る。


「Momma doesn't get too angry」


 父は笑顔で母を慰める。


「ふぇぇ」


 私は嫌そうな顔をして両親の元に向かった瞬間、 一台の車が両親の所に突っ込んで来て両親を轢き殺した。 その際に父の頭から脳みそが出てきて辺り一面に飛散していた。 母の方は口から食道、 胃袋、 肝臓、 腸が口から飛び出た。


「lie…」


  私が呟いた瞬間、 車は逃走しさらに多くの人間を轢き殺した。


「Dad... mum... wake up! 」


  私は泣きながら二人の身体を激しく揺さぶった。


  その後日本の警察が来て取り調べを受けた後、 私を病院に送った。 病院に送られた後、 私はベッドの上でただじーっとしているだけだった。


「エメラルドちゃん、 イギリスの遺族の方々が来たわよ…」


  看護婦が私の親戚を病室に入れた。 スーツを着ているが顔は思い出せない。


「Emme, let's go back to Britain.」


  親戚は私を連れ戻そうとしたが私は首を振った。


「Why not?」


「I can throw paper and rocks at them...I don't want it anymore...because I'll be bullied when I go back over there...because of my eyes...」


 私は泣き始めた。 すると親戚が頭を優しく撫でた。


「Okay... see you later.」


 親戚はそう言うと、 私の部屋から出ていった。


「エメラルドちゃん…もう無理しなくていいから…」


  看護婦は私を慰めてくれた。


「うん…」


  少ししてから私は大型のモニターがある部屋に向かった。


「大きい…」


  私はそのモニターをたったままじーっと見ていた。


「速報です! ○○様が1人の少年に殺害されました」


  私がニュースを見ていると周りの大人たちがひそひそと話し始めた。話の内容は「殺された男は連続ひき逃げ犯だから、 殺されて当然」と言う声が多かった。 恐らく殺された男は私の両親を殺した男だと思う。 でも、 何故逮捕されなかったのか気になる。


「少年の名前は青柳 蛇之11歳、 現在逃走中です! 彼は国家反逆罪を犯したテロリストです! 繰り返します見つけ次第殺してください!」


  そこには蛇之の姿が映っていた。


「どうして…こうなったの?」


 私はため息をつき、 自分の部屋に戻った。


「エメちゃん! お人形さん作ってみない? 」


「作り方わからないからヤダ」


「じゃあ作り方教えるから一緒に作ろう?」


 看護婦がそう言うと私は頷く。 すると、 看護婦が急いで何処かに向かう。 彼女が私に優しくしてくれる理由がわからなかった。 私は考え事をしながら窓を見つめる。


「エメちゃんお待たせ!」


 看護婦は嬉しそうな表情で私の病室に入る。手には裁縫セットと白色の羊毛、 綿、 黒色のボタンを持って来た。 看護婦は近くにあった丸椅子に座る。


「糸は裁縫セットの中にあるから待っててね」


 看護婦は裁縫セットを開け、 針に糸を通した。


「ねこちゃん作りたい…」


 私がそう呟くと看護婦は私に作り方を説明して、 一緒に作ってくれた。


「可愛いね! 」


  看護婦は微笑みながらそう言う。


「thank you! 」


  私は笑顔で看護婦にそう返答した。


「私ね~子供の頃、 人形や子供用のお洋服を作りたかったんだけどね~家の都合で看護婦になったのよ…」


「そうなんですね~」


「でもね、 時々後悔しているの…」


 看護婦はそう言うと俯く。 そんな看護婦を私は撫でた。


「お姉ちゃんはまだやり直せますよ…」


 私がそう言うと、 看護婦が私に抱き着く。


「エメちゃんはいい子ですね~お姉ちゃん23歳だけど頑張ってみるね~」


 看護婦が頬すりをしながらそう言う。 私は正直嬉しかった。


 数ヶ月後、 最悪な出来事が起きる。


「君がエメラルドちゃんだね…君を我が孤児院に迎え入れる事になった」


  中年太りをした男が私の病室に入ってきた。 何故か顔は見えなかった。


「そんなの…聞いてない」


  私は嫌そうな顔をした。 すると男が一旦病室を出てある物を見せてきた、 それは乳房を切り落とされ両目を抉られお腹から腸が飛び出している看護婦だった。 それを見て私は黄色い液体を嘔吐してしまいました。 液体の中には溶けかけの人参、 じゃがいもが入っていた。


「じゃあ行こうか」


  男は私をスタンガンで気絶させて何処かに持ち去った。 私は目覚めるとそこは独房のような部屋だった。 綺麗なベッドは一つあるだけで後はコンクリートの壁と鉄の扉だけだった。


「よかった…」


  幸いな事に私が作ったぬいぐるみは近くにあった。


「エメラルドちゃん〜おじさんと一緒に遊びましょ〜」


  私を誘拐した男が私を強引に連れ出した。


「は…離して! 」


  私は必死に抵抗したが全く歯が立たなかった。


「君は悪い子だね…お仕置きが必要だ…」


  男は私のお腹を思いっきり殴ってきた。 私は殴られた後、 粘々とした血液を吐いてその場で俯いた。


「ほらほら拭かないと…」


 男は私の髪を強く握って、 私の顔で血液を拭き始めた。 私はとても辛くて死にたいと思った。


「ごめんなさい…ごめんなさい…」


 私は泣きながら謝ったが男の耳には届かず楽しそう私をいたぶり、 更には楽しそうに私の首を絞め始めた。


「エメラルドちゃんは可愛いねぇ~」


  男は気持ち悪い声でそう言うとさらに強く締め始めた。 私は泡を吹いて気絶しかけた。


「エメラルドちゃんにはもうこれは必要ないね~デュビデュビデュビア! 」


  男は私が作った人形を目の前で破きやがった。 私はすぐさま自分の部屋に飛び込み、 鍵をして大声で泣き喚いた。


  それから一日が経ち私の所に嫌がらせに来る人が数名現れた。 どんな嫌がらせをされたのかと言うとバールでドアを叩かれたり、 罵倒する声が聞こえたりしたが、「ごめんなさい…ごめんなさい…」と罵倒していた人たちが泣きながら私に謝っていた。 なぜなら、 罵倒していた人たちは私を部屋から出さないと暴力を振るわれ、 最悪殺されてしまうからだ。


 次の日、 あの男が私の部屋に入り込んで笑顔で顔を殴り始め、 私の頬を舌で舐め始めた。 私はあまりの臭さと気持ち悪さ近くのトイレに逃げ込んで嘔吐した。


「こらこら逃げちゃだめだよ! エメラルドちゃーん」


 男は過呼吸をしながら私を探している。 私は息を殺しその場にとどまった。


「隠れても無駄だよ…デュビデュビデュビア!」


 男は私のいる個室を何度も何度も叩いてきた。


「fuck you die! おえっ…」


 私はまた嘔吐した。


「もういい飽きた…」


  男はその場を離れた。 私は恐る恐る外を見てトイレの水を流して個室を出て、 水道の水で手を洗い、 次に頬を洗った。 私は辺りを見渡して脱走しようとしたが男に使ってしまった。 その夜多くの孤児たちが食堂に集められた。 孤児達は何か怯えているようにも見えた。


「どうした小娘! 元気がないぞ! オラ!」


 男は笑いながら私の髪を持って引きずりながら孤児たちの方に向かって行った。 長い間引きずられたため膝の皮が剥げ、 白い肉が見え、 透明な汁が傷口から流れ出た。


「えーこの子が例の問題児なので私がお仕置きをしました…」


「嘘つくな! ゴキブリ野郎が! 」


 私が大声でそう言うと男は私の首を掴み宙に上げ、 私のお腹を殴り壁に激突させた。 私は失禁と嘔吐をしてしまい、 鼻と口と涙腺から大量の血液が流れ出た。


 男は私の顔を痣ができるまで何度も殴り続け、 乳房を強くつねる。 私は痛さのあまり絶叫してしまった。 ボロ雑巾になった私は手当もされずその場に放置された。


 幸いな事に警備員が居なかったので孤児院という名の収容所から抜け出した。 その際スタンガンが落ちていたので、 すかさず拾った。


「に…逃げないと…」


  私は血反吐を吐きながらひたすら歩いて行った。 水分は川から摂取して食べ物は様々な物を食べた。


  ある日、 私は森の中で蛇之を見つけた。


「何で世界はこんなにも理不尽なんだ!!」


  突然、 蛇之が急に叫びだすからビックリした。 私は素早く移動し手で目を隠し耳元で、 英語で優しく歌う。


「君は一体…」


  蛇之がそう言うと、 私は「元気出してね」と思い付きで言ってしまった。


「君は誰だ! 」


  蛇之そう言ったので私は「生きてお願い! 」と真剣な表情でそう言って、 スタンガンで気絶させ、 素早くその場を去った。


「やった! うまくいったみたい! 」


  私はとてもはしゃいでいた。 その後、 私は蛇之と同じ児院に入った。 初日に孤児院の皆に自己紹介をさせられるが、 私は院長さんの後ろに隠れていた。


「は…初めまして…エメラルド・メイデンヘアー・ツリー・ボアです…」


  私は怯えながらそう言うと、 その場に居た全員が拍手をしてくれた。


「みんな~仲良くするように! 」


 院長さんがそう言うと他の孤児たちが「はーい」と返事をする。


「エメラルドちゃん一緒に遊ぼ! 」


 猫都ちゃんが話しかけてきて、 雀ちゃんが後ろから頬をぷにぷにと触ってきた。


「小動物みたいで可愛い! 」


 雀ちゃんが頬をすりすりする。


「今はそんな気分じゃない」


 私がそう言うと、 雀ちゃんはすりすりを止めた。


「おーい猫都~雀~何してるの?」


 蛇之が竜馬くんと亀吉くんを連れて来た。


「外国人? 珍しいね~」


 亀吉くんが私の頭をなでなでしてきた。 私は思わず首を振った。


「嫌か~」


 蛇之がそう聞くと私は頷く。


「君どこ出身? 」


 竜馬くんがそう聞いてきたので私は「ブリデッシュいやイングランドです! 」と堂々と宣告すると、 「あーイギリスか~」と返答してきた。


「私の国はそんな名前じゃない」


 私は不満そうな態度を取った。


「エメラルドちゃん? であってる? 」


 蛇之がそう聞くと私は頷く。


「俺は蛇之、 よろしくエメちゃん! 」


「うん! 」


 私は蛇之に抱き着いた。 それから月日が経ち、 私は蛇之の部屋に招かれた。


「こんな部屋でごめんね~」


「いいよ~」


 蛇之の部屋は普通だったが、 本棚には日記が置かれていた。 私は何の躊躇もなく日記を手に取り、 読み始めた。


「エメちゃん日本語わかる? 」


「日本に来る前に勉強したからわかる」


 私は日記をペラペラとめくって読んでいた。 日記の内容は植物や動物の事だけだった。


「日記と言うよりかは図鑑だね…」


「そうなんだよね~」


「借りていい? 」


「いいよ~」


 私は自室でその日記を一日で読破したが、 返すのを忘れていたため、 自室の机の中にしまった。それからも蛇之とよく遊んだり、 楽しい話や童話の読み聞かせなどをしてくれた。 ある日、 私は家族が欲しいと思い、 蛇之の部屋を訪れました。


「あらエメちゃんどうしたんですか? 」


 蛇之はベッドの上で本を読んでいた。 私は蛇之に近づき、 抱き着いた。 すると、 蛇之は私の頭を撫でてくれた。


「ねぇねぇ蛇之~お義兄ちゃんおにいちゃんになって~」


「えっ!? 近所のお兄ちゃん的ポジションてきな? 」


「違う! 家族の方! 」


 私は蛇之の胸をトントンと叩く。


「いや…なんでなの? 」


 蛇之は私の頭をポンポンと叩く。


「家族の方が落ち着くから…」


「どうしてだよ…」


「了承しないと蛇之の事、 無視する。」


 私がそう言った瞬間、 蛇之はため息をつき私の頭を再度撫でる。


「はいはいわかりましたよ…」


「よろしくね! お兄ちゃん! ラ~ブ」


「ラブじゃないのよ…」


 その日以来、 私は蛇之の事を”お兄ちゃん”と呼び始めました。 12月31日に私とお兄ちゃんが引き取られるはずだったが、 まさか引き取り手が実験施設とは思わなかった。 お兄ちゃんに日記を返そうと思い、 自室の机の中から日記を取り出し返そうしたが、 同じ日記が二つあった。 しかし、 急いでいたので片方だけ持ち出し、 お兄ちゃんに返しました…


  〜・〜


「エメ! しっかりしろ! 」


  青龍がエメラルドを必死に起こす。 すると、 エメラルドは目覚め、 青龍の頬にキスをする。


「過去の夢を見ていたの…」


 エメラルドはふらつきながらそう言う。


「ハイハイ…」


「龍さん大変です! 」


  スーツを着たベリンが青龍の部屋に入って来た。


「どうした? 」


  青龍がベリンにそう聞く。


「この村の西側に大量の軍勢が! 」


「わかったすぐ行く…ベリンお前は先に迎え! 」


  青龍がそう言うとエメラルドはルキナを起こし着替え始めた。 ベリンは『転移』と呟いた。


「お兄ちゃん何があったの? 」


  着替え終わったルキナが青龍にそう聞く。


「話は後だとりあえず着替えろ」


  青龍はルキナにそう返答すると着替え始めた。


「お兄ちゃん見て! 」


  着替え終わったエメラルドが青龍にそう聞く。


「いい感じだ! 」


  青龍はエメラルドの頭を撫でた。


「二人とも準備はいい?」


  着替え終わった青龍が二人に聞くと二人は頷き、 三人とも転移と呟いた。

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