第12話ルキナの暴走

 「親父! 知り合いか! 」


 智和は慶喜にそう聞いた。


「数日前に知り合ったばかりでね…」


 慶喜はそう返答した。


「二人ともどうだった? 」


 パストはフェザーとクラブにそう質問する。


「まだ回収してないけど白鯨見つけたよ~」


 クラブは笑顔でそう返答した。


「了解~”他の四人”と合流して回収してきてね! 」


 パストがそう言うと、 二人はその場で瞬間移動をした。 


「お前ら誰だ? 」


 麒麟は起き上がった。


「俺は徳川智和、こっちは親父の徳川慶喜だ…」


 智和は丁寧に説明した。


「んで私はパスト! 」


 パストはハイテンションだった。


「はぁ…めんどくさいな…『神の一手』」


 麒麟がそう言うと、 その場に居た三人は別の場所に飛ばされた。 智和と慶喜は会議室と思わしき場所に、 パストは青龍達のいる場所に飛ばされたが、 ルキナが逆に飛んできた。


「お兄ちゃん誰? 」


 ルキナがそう言うと麒麟はルキナのおでこを軽く叩いた。


「とりあえずお前にはこいつを運んでもらおうか…」


 麒麟がそう言うとルキナは首を傾げた。


「どこに? 」


 ルキナはツッコミを入れる。


「とりあえず現地に着いたらわかるから…『神の一手』」


 麒麟がそう言うと、 グラスをルキナに持たせて、 瞬間移動させた。 ルキナが飛んだ先は、 高級ホテルのロビーの様な場所だった。


(何で私、この場所知ってるの? 意味わかんない…)


 ルキナは混乱していた。


(とりあえず、 この人運ぼう…もう! 後でとんでもないお願いするんだからね! )


 ルキナはグラスを指定された場所に運んでいた。


(この人重い…)


 ルキナは必死にグラスを指定された場所に背負って運んでいた。


「ルキナ様ですか?」


  一人のウェイターがルキナに話しかけてきた。


「うわ! ビックリした…そうだけど何で私の名前知ってるの? 」


「お教えできませんが…その方は私がお持ちしますので、 ルキナ様はごゆっくり…」


 ウェイターがそう言うと、 ルキナはグラスをウェイターに渡した。ウェイターは、 グラスを抱えて運んで行った。


「さて! 冷たいミルクティーでも飲みに行こ! 」


  ルキナはカフェを探した。


「おいルキナ」


 麒麟がルキナの後ろに突然現れた。


「うわ! ビックリしたもう驚かさないで! てか何で名前知ってるの? 」


 ルキナは驚いた後、 麒麟にそう質問した。


「悪い! ルキナ…グラスはどうした? 」


「ウェイターさんが運んで行ったよ~てか! 人の話聞いてる!? 」


 ルキナはツッコミを入れた。


「マズイな…あいつアサシンか! 」


 麒麟とルキナは走って、 ウェイターを追った。


「どうしてウェイターに渡しちゃいけないの? 」


 ルキナは興味本位で麒麟にそう聞いた。


「面倒臭い奴が紛れ込んだ」


 麒麟はウェイターに指を指した。


「よくわかんないけど…お兄ちゃん、 あれ! 」


 ルキナがグラスを抱えたウェイターに指を指した。


「サンキュー! 」


 二人がウェイターを見つけた瞬間、 ウェイターがポケットから毒々しい色の液体が入っているポーションを取り出しグラスに飲ませようとした。


「麒麟さん大変! 快眠薬を飲ませようとしてるよ! 」


 ルキナははしゃいでいた。


「どっからどう見ても毒薬だろ! 」


 麒麟はツッコミを入れた。


「えーじゃあどうするの? 」


「俺に考えがある。 お前は言うことを聞いてくれ! 」


 麒麟はルキナの耳元で囁く。


「そんなことしたらお尻見えちゃうよ! 」


 ルキナは頬を赤らめた。


「大丈夫、 データファイルの部分変化は自分が着ている服とかには訳あって影響ないから」


「もう! 嘘ついてたらこの服弁償してよね! 」


 ルキナは気に食わぬ顔で、 尾骨辺りからサバンナモニターのような尻尾を出した。


「麒麟さん! 尻尾生えたよ!」


 ルキナは笑顔ではしゃいだ。


「よし、 じゃあ作戦通りにね」


「うん! 」


(新しい技かなんか知らんけどやるか! 『狂った時間軸クロックワールド』)


 麒麟はその場から瞬間移動し、 ウェイターの背後に回り、 それに気づいたウェイターが後ろを振り返ったが、 時すでに遅し麒麟はウェイターをルキナの方に蹴り飛ばした。


「『ニュークリアストライク』! 」


 ルキナは飛び跳ねて、 飛んできたウェイターを尻尾で地面に叩き落した。


「やったか? 」


「まだだよ! この人変な動きしてる!」


 ルキナがそう言うと、 ウェイターはルキナに向かって水属性の魔法攻撃を仕掛けた。 幸いな事に頬に軽い切り傷を負い、 そこから流血し始めた。


「大丈夫か?」


 麒麟はルキナを心配した。


「大丈夫だよ! 」


 ルキナの傷がグチュグチュと音を立てながら再生した。


「お前は何者だ! 」


 麒麟はウェイターに向かってそう聞いた。 するとウェイターは魔方陣を使って姿を変えた。服装はフードを被っていて楔帷子と黒いズボンを着服している。


「私はトラウト王国暗殺部隊隊長 ラックスであーる」


 アサシンは自己紹介をした。


「キッショ! 頭悪そう」


 ルキナが嫌悪の表情を浮かべる。


「お前の目的は?」


 麒麟はラックスにそう聞いた。


「この村を内側から破壊しに来た、 それとそこにいる愚か者を殺しにな! 」


 ラックスは調子に乗っている。


「嘘臭いな…本当にそれが目的か?」


 麒麟の表情が変わった。


「どういうことだ?」


「バレバレの嘘をつくのはやめておけ」


 麒麟は軽くラックスに圧力をかける


「フッフハハハハ」


 急に笑い出すラックス。


「どうした?」


 麒麟はさらに圧力をかける。


「もしかして! お兄ちゃんが言ってたデータファイルが関係してるのかも! 」


 ルキナが驚いた表情で麒麟に聞くとラックスが笑うのをやめた。


「正解だ! 小娘」


 ラックスはニヤニヤしながら指を二人に指してくる。


「うわ…きっしょ死ねや」


 ルキナが中指を立て、 顔をしかめる。


(あっなら対処は簡単だわ)


 麒麟はルキナに大型のサバイバルナイフをこっそりと渡した。


「麒麟さんどういうこと? 」


 ルキナが小声で質問する。


「これ使ってあいつと戦ってこい…援護するから」


 麒麟はルキナにそう囁く。


「私、 人なんて殺したくないよ! 」


 全力で拒否をするルキナ。


「大丈夫あいつ人間じゃなくて蠅だから」


 麒麟はルキナに活を入れた。


「わかった! 」


 ルキナはそう言ってるが、 足が震えている。


「大丈夫だ…ゆっくり息を吸って吐き出せ…」


 麒麟はルキナの背中を優しく摩った、 するとルキナは大きく息を吸いゆっくりと息を吐きだした。


『神の一手』


 麒麟はルキナの頭を触った。 するとルキナの脳内に、 ある映像が流れた。 その映像はルキナがとある少女と仲良くしているが、 その少女が目の前でラックスに殺される映像であった。 映像が終わった瞬間、 ルキナは猛スピードでラックスに突撃した。


「この素人が! 俺に勝てると思ってんのか? 」


 ラックスは腰につけてあった短剣を左手で抜いて攻撃態勢に入ったが、 ルキナに左手首をサバイバルナイフで切り落とされた。


「嘘だろ…こんな小娘に…」


 ラックスは苦痛に耐えていた。


「お前だけは絶対に許さない…」


 ルキナは赤黒い殺気を放っていた。


(やりすぎたかな?)


 麒麟は声を出さずに軽く笑う。


(クソ…この俺がこんな小娘に…小娘!? ああ…いい事思いついた)


 気味の悪い笑みを浮かべるラックス。


「今回はここまでにしようか…さて俺も本国に帰って魔法使いの小娘を殺しに行くか…」


 ラックスは揺さぶりをかける。


「揺さぶりだルキナ! 」


 警告する麒麟、 だがルキナには聞こえてなかった


「もう一回言ってみろ! 」


 ルキナは目から血液を流し肩甲骨辺りから蝙蝠の翼を生やした。


「何度でも、 言ってやるよ! 魔法使いの小娘を殺…」


 ラックスが挑発している瞬間、 ルキナは猛スピードで動き、 ラックスの腹を殴り吐血させ、 背後に回って背中を思いっきり蹴って背骨を骨折させて、 宙に舞ってラックスの頭目掛けてかかと落としをして地面に叩きつけた。


  ルキナはラックスの腹を数発殴り、 踏んずけて内臓を破裂させて、 ラックスを宙に浮かせて尻尾で思いっきり叩いて睾丸を破裂させ更にサバイバルナイフで切りつけた。 


「消え失せろ! この害悪蠅野郎が! 『神々の黄昏ラグナロク』! 」


 ルキナは手を広げたまま前にだして怒鳴る様に言うと、 中型の劣化ウラン弾が百発も出てきてそれをラックスに打ち込む。 劣化ウラン弾はラックスの体を貫通する。 それと同時に、ラックスの頭上に小型の核爆弾が出現、 一斉にラックス目掛けて降り注ぐ。


 発射した瞬間、 劣化ウラン弾が燃え始め核爆弾も爆発。爆発の影響が大きすぎたためほとんどが灰に帰した。


 幸い麒麟の魔法のお陰で味方の負傷者や建物への損害は無かったが、 グラスを除いて潜伏していた敵兵全てが蒸発してしまった。技を使用したルキナはその場に倒れて口から泡を吹き、 目は白目をむいたままの状態で失禁してしまった。


「よくやった…ルキナ…」


 麒麟の左半身が弾け飛び、 その場に倒れた。 それをうっかり見てしまったグラスはその場で漏らしてしまった。


「うわまじか!」


「起きた? 」


 麒麟が左半身を再生させながらグラスにそう聞いた。


「だ…大丈夫に決まってるでしょ! それより…見たの? 」


 グラスは恥ずかしがっていた。


「何を? 」


 麒麟はとぼけていた。


「何でもない」


 グラスは顔を赤らめた。


「あーお前カレーに媚薬入れるような奴だったからな!」


 麒麟が真顔で答えると、 グラスはゴミを見るような目で麒麟を見つめた。


「お前の辞書に気遣いという文字はないんか! 手か入れてねーよ」


 グラスは麒麟を殴った。


「ねーよ」


 麒麟がそう言うとグラスは思いっきし麒麟の頬に平手打ちをした。


「この変態! お前は一から常識を学びなおせ!」


 グラスはブちぎれていた。


「嫌だ! 」


 麒麟は笑っていた。


「このー! 」


 グラスは麒麟の金〇を思いっきり蹴った。


「全然痛くないよー」


 麒麟は煽っている。


「なぬー! この特殊性癖のド変態が! 」


「それは青龍と玄武だよ~」


 麒麟はジェスチャーをした。


「嘘つけ! お前も特殊性癖だろ! 」


 グラスはツッコミを入れる。


「証拠はあるの? 」


 麒麟は顔を近づけた。


「うるさい! 黙れ!」


 グラスは麒麟の胸ぐらを掴んだ


「まぁまぁそう怒らないの」


 麒麟がそう言うとグラスは深呼吸をした。


「さて本題に移ろう、 君には玄武の援護に向かってほしい」


 麒麟は真剣な表情でそう言う。


「玄武…どんな奴じゃ…どうせお前みたいなろくな奴じゃないんだろ?」


 グラスも真剣な表情になる。


「うーん一言で言うと身長小っちゃくてマント羽織ってる車掌さん」


 麒麟は楽観的にそう言った。


「ぐへへいじったろ」


「行ってらっしゃい!」


 麒麟は手を振りグラスを玄武、 所に転移させた。


「さてルキナを起こしたりしないといけないな…『神の一手』」


  麒麟はルキナに魔法をかける、 するとルキナは起き上がった。


「おねしょしちゃった…」


 ルキナはしょんぼりとした。


「大丈夫かルキナ」


 麒麟は心配そうにそう言った。


「代わりの服買え! 」


 ルキナは怒っていた。


「そう言うと思ってはいこれ」


  麒麟はルキナに下着と同じガラのワンピースを渡す。


「いいよ! もう一つお願い聞いて! 」


 ルキナはハイテンションだった。


「とりあえず言ってみな…」


 麒麟は微笑むような顔をした。


「私、義妹欲しいから! お取り寄せできない? 」


 ルキナはねだるような態度をした。


「ぬいぐるみじゃないからお取り寄せはできないよ、あーでも


 麒麟はルキナの頭を撫でた。


「朗報です三日間は神の一手しか使えません」


 トゥエルブが麒麟にそう伝える。


「ヤバイ…やらかした」


 麒麟は冷や汗をかく。

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