第11話侵入者

「エメちゃんただいま! 」


 白虎が病室に勢いよく引き戸を開けて入ってきた。


「おかえり」


 エメラルドは青龍に抱き着きながらそう言った。


「向こうの様子はどうだった?」


 青龍は白虎にそう質問した。


「何か雀が関雷雨? とか言う人とどっか行ってた」


 白虎はジェスチャーをしながらそう返答した。


「雀の事だしすぐ終わりそうだな~」


 青龍は退屈そうな表情を浮かべていた。


「ねぇねぇご飯食べに行こう!」


 ルキナが退屈そうにそう言った。


「ちょうど腹減ってたし行くか~猫都お前もどう?」


「いいよ! ちょうどお腹すいてたし!」


 白虎は少し嬉しそうだった。


「んじゃ猫ちゃんと先に出とくね!」


 ルキナは白虎を連れて外に出た。


「エメちゃん行こう」


 青龍はエメラルドの頭を撫でる。


「うん!」


 エメラルドは起き上がり、 青龍の手を引っ張りながら走った。


 その頃、朱雀とスダチはコットンを起こす方法を探していた。


「魔素が欲しいから、 肉とかほうれん草とか、 鉄分が含まれている食べ物無い? 」


 スダチがそう聞くと、 朱雀は驚いた。


「魔素? ここはゲームの世界じゃないんだよ!? それで回復するの?」


「普通の運動と同じだから! 早くしろ!」


「初耳だよ!」


 朱雀はツッコミを入れる。


「とにかく何でもいいから食べ物頂戴!」


 スダチはおねだりをした。


「はぁ~しかたないね~奢ってあげるから」


 朱雀は近くの売店で、 スポーツドリンクとプロテインを買いそれを混ぜ、 寝ているコットンの口にゆっくり流し込む。 すると、 コットンは何事も無く普通に起き上がった。


「コットン復活!」


 コットンは右手を上げてそう言うと、 朱雀が頭をポンポンと軽く叩く。


(この子、 何処かで会った事あるような……)


 朱雀は考え事をしている。


「お腹すいたし、 一緒に食べに行こ!」


 朱雀は2人を連れて近くにあったラーメン屋に向かった。


「イエーイ! 奢って奢って!」


 コットンは高く跳びあがる。


「どんなお店?」


 スダチは朱雀にそう質問した。


「ラーメン屋」


 3人が入店する。 偶然、 青龍と白虎とエメラルドとルキナがテーブル席で仲良くラーメンを食べていた。


「雀!」


 白虎は急に来た朱雀に驚いた。


「何であなた達がここにいるの!?」


 朱雀が驚いた表情でそう言う。


「いや、 こっちのセリフだよ!」


 青龍は朱雀の発言にツッコミを入れた。


「すずちゃんも一緒に食べる? 」


 エメラルドがそう言うと、 朱雀とスダチは四人が座っているテーブル席に座った。


「すずちゃん?」


 コットンは首を傾げ、 何かを考えながら席に座った。


「お待たせしました! 餃子二人前です!」


 お店の定員が大きめの平皿を持ってきた。 その上には餃子が一皿に八つ乗っていた。


「美味しそう!」


 ルキナは涎を垂らした。


「食べていいよ」


 青龍がそう言うと、 ルキナは箸を使って餃子を取って食べた。


(なんでお前箸使えるんだよ……)


 青龍は心の中でそう思った。


「メニュー表見せて」


 朱雀が青龍にそう要望すると、 彼はスッとメニュー表を渡した。 その瞬間、 店の窓越しの景色にキノコ雲が映った。


「何だ今の……」


 スダチが窓を見る。


「ねぇねぇ君! もしかして?」


 コットンが朱雀にそう聞く。


「そうだよ、 何で私の名前本名知ってるの?」


「昔お前と遊んだ綿花だよ!! 思いだせ!!」


「え! 綿花!? 久しぶり~」


 朱雀は嬉しそうにコットンに抱き着く。


 さて、 7人が飲食している少し前、 城壁の西側のまだ建築物が何も無いところでは、紫色のワンピースと黒いヘアアクセサリーとボンネットを着装している女が太刀を右手に携帯して、 うろついていた。


「へいへい嬢ちゃん!ここはパーティー会場じゃないぜ!」


 たまたま近くにいた麒麟がノリノリで女に話かけた。


「何だぁテメェ……」


 女は無愛想な態度をとる。


「見ない顔だな……どこから来た? いや……どうやって入ってきた?」


 睨みつける麒麟。 何故なら、 西側には門番を2人配置していて、 その2人が麒麟の許可を取らずに部外者を通すはずが無いからだ。


「トラウト王国から来たわ、 それと門番二人は眠ってもらったわ……永遠に……」


 女は無愛想に淡々と語った。


「ほんとか?カレーに媚薬入れたり、 排泄物漏らしてそうな配信したり、 卑猥な奇声を上げてそうなやつが?」


「んな事するか!」


 女は激怒する。 麒麟の卑猥な態度に。


「暇だしいいよ、 相手してやる」


 麒麟はそう言うと少し変わった黒色で長い布のような物で目隠しをする。 その布の端は四本の竜の爪のような形をしていて、 風も吹いて無いのに何故か風が吹いているような感じになっている。


(何を企んでいる……下手に攻撃したらこちら側が不利になるかもしれない……)


 女は刀を抜き、 鞘を置いた。


「行こうか……」


 麒麟は黒色の矛を【転移】する。


「軽く相手してやるからかかってこい!」


 麒麟は矛を構えた。 すると、 女は勢いよく太刀で麒麟を突き刺そうするが、 軽くいなし腹を蹴る。 その際、 女は宙に浮き麒麟は女の真上に【転移】する。 次の瞬間、 尻尾を生やす。 その尻尾はまるでコモドドラゴンのようだった。


「悪いが許せ……『メテオストライク』!」


 麒麟は一回転して、 尻尾で女を叩きつけた。 すると、 大きな爆発音とキノコ雲が上がった。 女の体は四肢が四方八方に飛び散り、 内臓が破裂していた。


「とりあえずどんな奴なのか調べてみるか……YATIRU起動!」


 麒麟がそう言うと、 黒い目隠しは薄緑の電子の様な模様が浮かび上がった。


「こんにちはYATIRUです、 検索するので少々お待ちください」


 トゥエルブの電子の様な模様が光始めた。


「作った自分が言うのもなんだけどこれいいな!」


「検索結果が出ました。 グラス・コルクボード 2017年に誕生、 アメリカのフロリダ州に平和に暮らしていたが、 ある日突然、 同期の女性数人に無理やり犯され死亡」


「遺体の状態はどうなっていた?」


「かなり酷い物です。 身体の所々に痣、 口と股と肛門から排泄物と血液が垂れ流しになっていたそうです。 それと手首には大量のリストカットの後と複数の刺し傷が残されていました」


 YATIRUは悲しそうだった。


「胸糞悪い事件だな……」


 麒麟は口に手を抑えた。


「そうですね……」


「因みにカレーに媚薬とか排泄物漏らした……」


「彼女はそんな卑猥な事はしていませんよ! あなたはデリカシーが無いのですか?」


 YATIRUはブチギレる。


「ジョークだよ、 蘇生させる事は可能か? 」


 麒麟はYATIRUにそう聞いた。


「はい、 まだ死んで無いので可能ですが……大量の魔素を消費します」


 YATIRUの模様がゆっくりと消えた。


「わかってるでもこいつを救った方が……」


 麒麟はグラスの遺体に手を当てた。すると、 バラバラになった身体が元に戻った。


「まだ起きないけど……何とか……」


 その場に倒れた麒麟。すると、 見知らぬ男が2人来た。 1人目は黒い軍服を着て黒い軍帽をかぶっている三白眼で、目の色と髪の色が銀色で、 銀色の十文字槍を持っている若い男。 2人目はスーツを着た白髪のオールバックで細目で、 大太刀を持っている老人。 この2人は親子の様だ。


「おい! あんたら大丈夫か!?」


 銀髪の男は、麒麟を揺さぶった。


「智和! 安静にさせときなさい!」


 老人は銀髪の男を注意した。 銀髪の男の名は智和と言う名前だ。


「すまない親父……それよりもあれ……」


 智和は見上げると、 パストがゆっくりと降りてきた。


(こいつ……敵か味方か!!)


 智和は固唾を飲み、 冷や汗をかきながら槍を構えた。


「ねぇねぇ私たちと遊ぼうよ~」


 2人の女が【転移】してきた。 2人とも服装は関雷雨の服装をしていて髪型はショートボブだが1人の髪色は青白く、 もう1人の方は金髪だった。 尚、 青白の髪の方は胸が無い。


  金髪の少女の方はロングナイフを2本持っていて、青白の髪の方は剣を持っていたが刀身がどんなのかわからない。


「フェザー、 クラブお疲れ~」


 パストが下りながらそう言った。 青白の髪の少女はフェザーと言い、金髪の少女はクラブと言う。


「お久しぶりですな……過去君……蠆昭たつあき君はお元気ですかな? 」


 老人は余裕そうな表情をした。


「元気だよ~徳川慶喜さん!」


 パストは軽く笑った。 白髪の老人は徳川慶喜と言う。 彼は我々の知っている江戸幕府15代将軍の徳川慶喜とは違い、 全くの別人である。

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