第6話姦姦蛇螺
「あの~あんた達誰?」
ベリンは二人にそう聞いた。
「青龍」
青龍はそう言った直後、 武器をその場に置く。
「白虎」
「名前じゃなくて!!」
ベリンはツッコミを入れる。
「名前知らないけど村から来た」
青龍は何故か変な動きをし始めた。
「変な動きをするな! 」
白虎は青龍を軽く叩く。
「いやコントすな!」
またベリンがツッコミを入れた。
「てか何でお前達襲われてたの?」
青龍はベリンにそう質問した。
「わからない……」
ベリンは考えながらそう答えた。
「もしかしたら気晴らしとかかな?」
白虎は人差し指を顎に当ててそう言った。
「今年は不作だったからな~」
白髪で短髪のエルフの少年はそう言った、瞬間その場にいる全員が悩み始めた。
「とりあえずここから移動した方がいいんじゃない?」
白虎は青龍にそう提案した。
「そうだな!よし! ね……じゃなくて白虎! 道案内よろしく」
青龍は白虎に道案内するよう命令した。
「やだ!」
白虎は青龍の命令を拒否する。
「はぁ!」
少しキレる青龍。
「だって私もエメラルドちゃん探したいもん!」
白虎は子供の様に拗ねた。
「エメちゃん抱っこしていいから」
青龍は白虎の耳元で囁いた。
「わかった! じゃあ行ってくるね!」
白虎は嬉しそうだった。
「ということで! 兵士を殺した奴ら以外は白虎について行ってね~」
青龍がそう言うと、 白虎はエルフたちを自分の村まで案内した。
「白虎、 武器しまっとけ」
青龍は大声でそう言うと、 白虎は武器を【転移】させ動き始めた。
「さてお前たち一人ずつ名前を教えてくれ」
青龍は近くにあった岩に座った。
「ベリン=センチピード」
ベリンは真顔でそう言った。
「チェイン=スコーピオン」
チェインは少しめんどくさそうな表情をした。
「トーゴ=タランチュラ」
白髪で短髪のエルフの少年が欠伸をしながらそう言った。
「エリス=カブリモドキ」
青髪で短髪のエルフの少年がそう言った。
「オルキデア=マンティス」
黒髪のロングのエルフの少年がクールにそう言った。
「さっきも言ったかもしれないけど俺はへ……じゃなくて青龍! よろしくな! 」
青龍は勢いよく挨拶した。
「てか何で俺らを残したの?」
チェインは青龍にそう聞いた。
「護衛として使えそうだからかな?」
青龍は笑顔でそう言った。
「とりあえず、 俺をあの森まで案内してほしい」
青龍が森林に指を指す。 すると、 エルフ達は震えた。
「あそこには行かない方がいい!」
チェインは青ざめ、 冷や汗をかく。
「どうして?」
「あそこには
トーゴは震えながら青龍にそう言った。
「中に入るのは俺だけでいい、お前たちは森の近くに人間がいるかどうか見てほしい……」
青龍がそう言うとエルフ達はため息をついた。
「それがもしさっきの兵士みたいなやつだったら?」
オルキデアがそう言った瞬間、 青龍の後ろに人影が現れた。
「その心配は無いよ!」
その人影は青龍の後ろから急に人影が出てきた。 その、 人影は麒麟だった。
「蛇之、 お前せめて武器ぐらい渡せよ」
麒麟は空間を割り、 武器を取り出す。 ベリンとオルキデアに鎌を2本づつ渡し、 チェインとエリスに剣を2本づつ渡し、 トーゴに大太刀を渡した。 尚、 チェインとエリスの剣は形状が別々で、 チェインは細長い長剣、 エリスは刃が黒くフォルテ記号の様な形状のサーベルとなっている。
「お前どこにいた?」
青龍は麒麟にそう聞いた。
「上からずっと見てたよ~」
「いや下りて来いよ……」
「それはさておき伝言だ、 黒い鎧まとった輩が森の近辺をウロウロしてたから気をつけろ」
「それだけか?
「近辺では見てないよ、 いるとしたら森の奥深くだろうな」
「そうか……わかった」
「気を付けていってらっしゃい!」
麒麟はそう言うと、瞬間移動をした。
「行くぞお前ら!」
青龍がそう言うと、 その場に居た全員は森に向かって走り出した。
「ここを真っ直ぐ行けば森に行けます」
ベリンがそう言うと、 青龍は頷いて視認できないぐらいの速さでダイナミックに森の中へ入って行った。 エルフ達は青龍の速さに驚いていた。
(森の中って思った以上に綺麗だな……)
そんな事を考えながら森の中を進んでいく青龍。
(気に入った植物があったら持って帰ろっと! )
少し気分のいい青龍。 少し走っていると前方に錆びた柵と汚れた看板が見えた。 その看板には「兄は……兄はどこに」と書かれていたが、 文字が化けていたので読めなかった。
(なんて書いてあるんだ? )
変な看板を見て少し警戒する青龍。
(入れる場所がないか探してみよう…)
青龍はそう思いながら、 散策していると、 一つだけ穴が開いていてそこから入れそうだったのでそこから入って行った。
「お主! 何者じゃ! 」
青龍が柵の中に入った途端、 怪物が現れた。 その怪物の特徴は上半身は腕が六本あり巫女服を着ている人間の女性の姿、下半身はアミメニシキヘビと言う蛇の姿だった。 全長約36m
「俺は青柳 蛇之! ここに金髪の女の子が来たらしいな! その子について知っているのであれば教えてほしい」
「いいじゃろう、 ただし
怪物はそう言うと、 頭部から龍のような角を二本出して、 上半身の皮膚と目を変形させる、 変形した皮膚は緑色の蛇の鱗に覆われ、 目は蛇眼となるが瞳孔は黒のままで角膜が黄色に変貌、 白目は爬虫類の鱗のような物になり色は緑色だった。
(お主から兄の匂いがする……まさか!)
怪物は青龍を睨みつける。
「ああ……やってやるよ!」
青龍は高く跳びあがり、 怪物にかかと落としをしたが、 上の両腕に防がれてしまった。
(マジか!)
青龍がそう思った瞬間、 怪物に足を掴まれて投げ飛ばされ木にぶつけられた。
「ガハッ!」
青龍は大量の吐血をする。
「遅い! お主の力はそんなものか!」
怪物は青龍を怒鳴った。
「なんのこれしき……」
青龍は立ち立ち上がった。
「ほう……」
怪物は青龍の行動を窺っている。
(腹くくるか……)
青龍は猛スピードで怪物を蹴り飛ばそうとしたが、 案の定防がれてしまったが、 体制を整え殴りつけた。
「なかなかやるではないか……だが」
怪物は青龍の腹を殴った。 すると、 再度口から吐血し嘔吐した。
「まだまだ未熟じゃお主は……」
(クソ……どうすれば……)
青龍は必死に頭を回転させるとあることが脳裏に浮かんだ。
(よくわからんけど……これをやってみよう……)
青龍は自分の体を変形させた、 変形した青龍は頭部に龍のような角が二本生え、 皮膚は緑色の蛇の鱗に覆われ尻尾が生え爪も長くなった、 生えた尻尾の先にハエトリソウの葉のようなものがついている。
(き……貴様!)
怪物は怒りを露わにし、 青龍を攻撃し始めた。
「どうした!?」
青龍は怪物に殴る蹴るの暴行を加え、 ほんの数秒だけひるませた。 その直後、 一定の距離を取る。
「『
青龍は尻尾を使って怪物の心臓を貫こうとした。 しかし、 怪物は綺麗にかわし、 青龍の尻尾を掴み叩きつける。 その衝撃で口から食道が飛び出し動かなくなった。 そのうえ、 変形した部分と露出した食道は煙を上げる様に徐々に灰となり元に戻る。
「うごけ……」
かすかな声で青龍はそう言った。
「やはり……お主が! お主が!
怪物は怒りの形相を浮かべながら、 青龍に近寄り胸ぐらを掴んだ。
「データファイル
怪物は青龍の首をゆっくりと絞め始めた。
「ごめんな……エメ……こんなお兄ちゃんでごめん……」
青龍は微かな声でそう言うと、 目をゆっくりと瞑る。 すると、 青龍の足元に緑色の魔方陣が出現した。 その魔法陣は時計のような形をしている。
「フェーズ……」
青龍が微かな声でそう呟こうとした次の瞬間、 奥から金髪の美少女が現れた。
「stop!」
美少女は泣きながらそう叫んだその美少女はエメラルドだった。
「エメ……」
青龍はそう呟いた瞬間、 気絶してしまった。
「イギリスの娘よ……何故邪魔を……」
怪物はエメラルドにそう聞いた。
「だって……その人は……私の大切な家族なの!」
エメラルドはその場で泣き崩れた。 すると怪物は青龍を優しく降ろしたと同時に吐血する。
(クソっ……
怪物の体は徐々に灰となり崩れていった。
「すまない事をしたな……」
怪物はメモ用紙を転移させエメラルドに渡した。 そのメモ用紙には重要な事が書かれていた。
「いらない……こんな物いらないからお兄ちゃんを生き返らせて!」
「安心しろ……お主の兄はまだ……生きておる……」
怪物はエメラルドを慰めた。
「嘘じゃないよね?」
エメラルドは涙を流しながら怪物にそう聞いた。
「誠じゃ……それとお主に頼みたいことがある……」
怪物はエメラルドの涙を指で拭きとった。
「what?」
「私の力をお主に託す」
「ちょっと待って! どういう事?」
エメラルドが怪物にそう聞くが、 怪物は答えなかった。
「残念じゃがもう時間じゃ……私とお主はよく似ておる……それにあの小僧も我が兄にとても似ておるわ……あのバカを頼んだぞ……さて……お主は未来の日本から来たようじゃな? 我が祖国日本は戦争で勝てたか?」
「さぁな……勝ってるといいな……翡翠……」
青龍はそう言った瞬間、 青龍は満面の笑みを浮かべ眠りについた。
「そうか……あの世で合おうぞ! お兄様!」
怪物は満面の笑みを浮かべながら灰と化す。 灰になった所にはガイドストーンと注射針の付いた注射器が落ちていた。 そのガイドストーンには、 上半身は龍のような角が二本生え、 腕が六本生えた女性で下半身は蛇が書かれていた。 エメラルドはそれを拾い、 メモ用紙と注射器が落ちている場所にそっと置いた。
「お兄ちゃん大丈夫かな? 」
エメラルドは気絶している青龍の所に近づいた。 青龍の体内からグチュグチュと音が鳴る。
(大丈夫かな?)
エメラルドは青龍の上着を脱がし、 胸に耳を当てた。
「全然聞こえない……」
「お兄ちゃん! 起きなさい!」
エメラルドは青龍を軽く叩くが青龍は眠ったままだった。その頃、 青龍は予知夢を見ていた。
~・~
「ここはどこだ……」
何故か俺は誰かの部屋の椅子に座っていた。
「見てお兄ちゃん! お腹の子動いたよ」
お腹が膨れているエメラルドがこっちに向かってきた。 何故か目が透き通った青色だった。
「どうしたの?」
俺はエメラルドにそう質問した。
「ふふっ! どんな子が産まれてくるんだろうね!」
エメラルドはそう言うと、 抱き着いてきた。
「元気な子だといいね! そしたら三人で静かに暮らそうね!」
エメラルドは俺の額にキスをした。 その時俺は全てを悟った。
「お腹の子は俺の……」
「なに寝ぼけてるの? 私とお兄ちゃんの子供だよ!」
エメラルドは嬉しそうだったが俺は違った、 何故ならとてつもない罪悪感が俺を襲ったのだ。
「どうしたの兄さんそんな顔して?」
エメラルドは少し困った顔をした。 俺はどんな表情だったんだ。
~・~
「お兄ちゃん起きて~」
エメラルドが青龍を起こすと青龍は起き上がる。 青龍が眠ている間エメラルドはコロコロと転がっていた。 そのせいか服が土で汚れていた。
「あら、 エメちゃんどうしたんですか?」
「コロコロしてた~」
「なにしとんねん」
「汚れたから服脱ぐね」
「こらこらやめなさい!」
エメラルドは服をビリビリに破いた。 幸いな事に下着は汚れていなかった。
「寒い……」
「でしょうね!」
「お兄ちゃん抱っこ」
エメラルドは青龍に抱き着く。
「エメちゃんは甘えん坊だね~」
青龍はエメラルドの頭を撫でる。
「竜馬に着替え持ってくるように言えばよかった……」
青龍は深くため息をつく。
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