第5話蛇と猫の狩り

 2人は到着してからすぐさま、 入口の近くにいる見張りの兵を白虎は飛び蹴りで刎ね飛ばし、 その近くにいた兵士の頭を青龍が鎌で切り殺した。 切り殺された兵士の死体は、 目を開けたままだった。


「こいつら弱いね」


 白虎は退屈そうに呟いた。


「新兵だろう……それに装備が軽装すぎる……」


 青龍は死んだ兵士の右腕を引きちぎり、 喰らいつく。


「あんまり美味しくねぇ! 豚や鳥、 鹿の方がまだマシだ!」


 青龍は文句を言いながら、 白虎に食いかけの右腕を渡す。


「これを食えって事!?」


 白虎は青龍にそう聞くと、 青龍は親指を立てる。 それを見た白虎は中指を立てる。


(はぁ……めんどくさ)


 白虎はそう思いながら一口食べる。 一口食べた瞬間、 嫌そうな表情を浮かべる。 2人は移動し始めた。


「それにしても人いないね」


 白虎は腕を放り投げる。


「みんな避難したんじゃないかな? 」


 青龍はそう言った瞬間、 白虎は青龍の腕を掴み、 物陰に隠れる。


「蛇之……広い場所に人が集められている……」


 白虎は小声で青龍にそう言った。


「どうしてわかった? 」


「臭いよ……血の臭いと、 汗や泥の臭いがプンプンする……」


 白虎がそう言うと青龍は鼻をクンクンさせるが何も臭わないが白虎のいい匂いがする。


「お前のいい匂いしかしないよ~」


「死ね!!」


 白虎は肘打ちで青龍の腹に攻撃する。 鳩尾に入ったのかその場でえづく。


「ハイハイついてきて!」


 白虎は青龍を連れて臭いを辿って歩いていく。 しばらく歩いていると広場のような場所に着いた。 そこではボロい服をエルフの男たちが武装している兵士たちに囲まれていた。 2人は静かに物陰に隠れる。


「エルフ共……麦の収穫が平均を下回っているではないか……これはどういう事だ?」


 1人の兵士がエルフの老人にそう聞いた。 その兵士はデュースだった。


「い……今は時期が……」


 エルフの老人はそう返答した。


「時期がだと!? ふざけた事をぬかすな! 」


 デュースは激怒した。 老人のふざけた返答に。


「お前何年この仕事をやっている……それくらいわかって当然の事! 」


 老人を睨みつけるデュース。


「ふざけるな! 」


 短髪で金髪のエルフの少年がデュースにそう言った。


「よせ!ベリン……」


 老人は短髪で金髪のエルフの服を掴んだ。 短髪で金髪のエルフの名前はベリンと言う。


「どうかお許しください! 」


 許しをせがむ老人。


「ダメだ」


 デュースは見下していた。 まるで害虫を見るように。


「せめて私だけでもいいので……村の者には手を出さないでください」


 その場で土下座をする村長。 それを見ていた青龍は、 白虎に小声で「向こうに隠れて戦闘態勢に入れ」と命令した。 すると、 白虎は口パクで「わかった」と返答し、 雷と同じくらいの速さで向こうに移動し物陰に隠れた。


「フハハハハ」


 デュースが笑い始めた。


「フッ……無様なもんだな昆虫エルフども!!」


 ニヤついた表情でデュースはそう喋った。 ベリンは隠し持っていた鎌を兵士に投げつけた。 デュースは、 鎌を跳ね返した。


「愚かな……」


「クソ……」


 ベリンは拳を地面に叩き付けた。


「おい、 お前ら年老いたエルフだけを殺せ冥土の土産に聞かせてやろう……俺の名はデュース=サイクルだ」


 デュースはそう命令すると、 エルフの村長を剣で刺し殺した。 それに続いて他の兵士達も老人を殺し始めた。


「やめろ! やめてくれ!」


 必死に叫ぶベリン。 しかし、 彼らには届かない。


「ダメだ」


 デュースは笑顔でとても嬉しそうだった。


「ベリン落ち着け!」


 短髪で黒髪のエルフがベリンを落ち着かせる。


「チェイン……」


 ベリンは唇を噛みしめる。 短髪で黒髪のエルフはチェインと言う。


「落ち着けチャンスはある……」


 チェインがそう言った瞬間、 2人は空間を叩き割り亜空間を開きその亜空間から、 青龍は大鎌と刀を取り出し、 白虎はモーニングスターと刀を取り出した。


「白虎! 建築物を壊せ!」


 青龍は大声で白虎にそう命令し物陰から勢いよく飛び出し、「『腐食の荊棘いばら』!!」と、 言い放った。 すると、 青龍の右手の親指以外全てが薔薇の荊の様にその指を長く伸ばし、 その場にいた4人の兵士をその荊で突き刺す。 刺された場所からじわじわと肉が壊死し始め、 苦痛を感じながら兵士はこの世を去る。


(さーて仕事と行こうか!)


 白虎はモーニングスターを思いっきり振り回した。


『意思疎通』


 白虎のモーニングスターが変な動きをし始めた。 まるで意思を持ったかのように。


「この一撃で決める! 『首狩り一閃』!!」


 青龍は高く跳び白虎のモーニングスターを飛び台として利用、 その場に居る兵士数名の首を次々と鎌で刎ね飛ばす。 首を撥ねられた兵たちは勢いよく血液が噴水の様に噴き出てその場に倒れた。


「終わったぞ猫……て!」


「ごめんごめん、 扱いなれなくて」


 白虎はそう言うと、 モーニングスターで村の建築物を次々と粉々にしていった。 その際、 汚い色の砂埃が舞い竜巻の様になった。 青龍はすぐさま目をつむった。


「馬鹿猫! 何とかしろ!」


 青龍が注意すると、 白虎は腕に力を入れ、 モーニングスターの動きを止める。 すると、 徐々に砂埃が収まった。


「何をしている! そいつらを殺せ!」


 デュースは部下にそう命令したが、 足が震えてて動けなかった。


「今だ!」


 ベリンがそう言うと、 ベリンとチェインと白髪短髪のエルフと黒髪ロングのエルフと黒髪短髪のエルフが一斉に動き出し落ちていた武器を取り、 近くにいた敵兵を殺害した。


「クソ虫が!」


 デュースはエルフを攻撃しようとしたが、 白虎に先回りされ蹴り飛ばされた。


「あんたが悪いんだからね……」


 白虎は物凄い速さでデュースを殴り、 地面に叩きつけた。


「こんな小娘ごときに……」


 デュースは口から血を吐いた。


「バイバイ」


 白虎は刀を抜いた。 だが刀身はなかった。


(どういう事!?)


「残念だったな小娘」


 デュースは白虎の腹を蹴り飛ばした。


(いっ……あれ全然痛くない……)


 白虎は呼吸を整えた。


(何で刀身が無いの……)


 白虎がそう思った瞬間、 兵士の鎧が刀に引き寄せられ刀の刀身に集まる。 すると、 刀身が青白く光、 切れ味のいい刀へと変わる。


「行くよ! 『紫電一閃』!!」


 白虎は雷と同じくらいの速さでデュースに近寄り体を斜めに斬り落とした。 斬り落とされた体は、 出血はしなかったものの内臓は露出していた。


「馬鹿な……」


 辛うじて息のあるデュースだが。


「じゃあな」


 刀身が黄緑色で、 溝がノコギリ状の刀を持った青龍に一太刀で小間切れにされてしまった。


「終わったぞ! 猫都」


 青龍は一仕事終えた様な感じで白虎とハイタッチをする。


「任務完了!」


 白虎は、 はしゃいで近くにあった兵士の死体から首をもぎ取り、 それを青龍に投げてキャッチボールをし始めた。 それを見ていたエルフの何人かは嘔吐した。


(頭大丈夫か? こいつら……)


 その場にいるエルフ達は心配そうな表情をした。

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