第4話異世界での戦い

 あれから数時間後。


「あいつガチで大丈夫? 」


 麒麟は青龍の事を心配する。


「めっちゃ嫌な予感が……」


 いろいろと察してしまった玄武。


 青龍、白虎、朱雀が入っていた部屋の扉が開いた。


「「あっ……」」


 青龍が扉から出てきた。


「蛇之! お前大丈夫か!?」


 心配する玄武。


「全然大丈夫じゃねぇ……クソ痛てぇ……」


 青龍は痛そうな表情を浮かべながら右手で首を押さえる。


「あいつの整体は痛いからな~」


 麒麟は他人事の様だった。


「痛いからな~じゃねぇよ!」


 青龍はキレ気味で麒麟にツッコミを入れる。


「とにかくお前は休め!」


「そうさせてもらうよ……ところでエメちゃん見てない?」


「「見てない」」


 2人がそう答えると青龍は膝から崩れ落ちる。


「マジか……エメちゃんと一緒に過ごそうと思ったのに……」


「あのの事だ大丈夫だろ?」


 麒麟はそう言うが、 2人はとても心配していた。


「へっ……蛇之、 心当たりは?」


 玄武は恐る恐る青龍にそう聞く。 すると、 青龍は何か閃いた様だ。


「森の中! エメちゃん、 綺麗な空気が好きだからよく森に行くんだよね~」


「よし! 近くの森を捜索だ!」


 麒麟が意気込むが、 2人はきょとんとした表情を浮かべる。


「心当たりあるの?」


 玄武が麒麟にそう質問すると、 麒麟は自信満々に「ある」と返答した。


「早く教えてくれ! エメにもしもの事があったら……」


「問題ない!」


((クソ心配だわ……))


 2人は心配そうな表情を浮かべる。


「そうとなれば蛇之! 猫都と一緒にその森を散策してくれ」


 麒麟は1枚の地図を渡す。 その地図には現在地から目的地の森までの距離800mや到着時刻まで記載されている。


「どうやって作った……」


 青龍は麒麟に恐る恐る質問する。


「豪邸作ったように血液一滴垂らして作った」


 麒麟は当たり前の様に返答した。


「あーもう滅茶苦茶だよ!」


 青龍はツッコミを入れる。


「というわけで蛇之、 お前は猫都一緒にエメラルドの捜索、 亀吉お前はここで待機で」


「ほーい! じゃあ行ってくるわ」


 青龍はその場から立ち去る。


「お前はその場から離れないでね~」


 麒麟は玄武に手を振ってその場から立ち去った。


「おい! 置いてけぼりにするな! 」


 玄武は麒麟に向かってキレる。


(する事無いし…椅子に座って寝よ…)


 その場にあった椅子に座って寝ようとする玄武。


「大変です! 」


 一人の兵士が玄武に向かって敬礼しながらそう言った。 特徴は金髪で身軽そうな鎧を着ていた男の兵士だ。


「ビックリした!ってお前誰だ!」


 玄武はツッコミを入れた。


「伝令! エルフの子供がこちらに向かって来てます!」


「おい! 人の話を聞け!」


 再度ツッコミを入れる玄武。


「あっすみません!」


「いいよ~」


「あの~麒麟さんですか?」


「人違いです!」


「そうですか……では」


「ちょっと待って! 俺が行く」


 玄武は兵士を引き留める。


「わかりました! ではご案内いたしますので、 こちらにお越しください」


 兵士は玄武を案内する。


「君、 名前なんて言うの? 」


 玄武は兵士にそう訪ねる。


「僕はアーサー=クラークと申します! 」


 兵士はそう返答した。


「俺は亀……じゃなくて玄武! よろしく」


「よろしくお願いします亀さん!」


 アーサーの威勢が良かったので玄武はすんなり気に入ったそうだ。


「エルフが来たとか言ってたけど何かあったの?」


 玄武はアーサーにそう聞く。


「村に来たエルフが傷だらけでしたので、 恐らく襲撃に……」


 アーサーがそう言った瞬間、 白い髭を生やした戦艦の艦長のような服を着た老人が二人を呼び留める。


「アーサー! その人は……」


 その老人は、アーサーにそう聞く。


「彼は……」


「僕は玄武、 麒麟の友人です」


 玄武が割り込んでそう返答した。


麒麟の友人ですか……」


「アーサーから話を聞きました、 それでエルフの少年は何処に?」


 老人は玄武を少年の所まで案内する。案内されたテントには、ボロボロの服を着た金髪エルフの少年が悲しそうに座っている。


「あの椅子に座っている少年がここに逃げて来たのじゃ……」


 老人は玄武にそう説明した。


「わかりました……僕が話を聞いてきます」


 玄武は真剣な表情をした。


「頼んだぞ……」


 老人は玄武の肩を叩いてその場から離れた。


「大丈夫? 」


 玄武が優しく声をかけた。


「僕は大丈夫です……けど……村のみんなが……」


 少年は体を震わせ、 今にでも泣きそうだった。


「襲撃か……わかった」


 玄武は少年の頭を撫でる。 すると、 少年は泣きだした。


「エメラルド探す以上に厄介な事になったなぁ~」


 後ろから青龍が話しかけてきた。


「蛇之!」


 玄武がそう言って振り向く。 そこには、 青龍、 白虎、 朱雀の三人がいた。


「どうしてここに?」


「竜馬に呼ばれてここに来たのよ……」


 白虎は面倒くさそうな態度でそう返答した。 その直後、 朱雀は少年に寄り添う。


「何処か痛い所ない?」


 朱雀はそう質問すると、 少年は足を見せた。 少年の足は青い痣ができていた。


「ちょっと待ってねぇ~」


『不死鳥の炎』


 朱雀は右手に桜色の炎を出現させ、 少年の痣を炙る。 すると、 痣は一瞬で完治した。


「俺と猫都はエルフの村に向かう、 亀吉お前はここの守護を……」


 青龍は話している最中、 城壁の上にいた兵士が早足で下りてきた。


「伝令! エルフの子供がまたこの村に向かってきてます! 」


 兵士がそう伝えた瞬間、


「城門を開けろ!」


 老人は大声で命令を下す。 すると、 城門付近にいた兵士たちは城門を開け始めた。


「伝令! 後ろの方から騎馬兵二名がこちらに向かって来ています!」


 最悪な事に、 プレートアーマーを着服した騎馬兵2名がこちらに来ている。 狙いはエルフの子供だろう。 その直後、 青龍、 白虎、 玄武が城門から出た。


「行ってくるね!」


 白虎がそう言った瞬間、 白虎と青龍が走り出し、 玄武が空間を叩き割ってバルディッシュを取り出した。


「た……すけ……」


 急いで中に入ろうとするエルフの少年。 だが、 騎馬兵が剣を抜き、 突き刺そうとした。 その刹那、 玄武が地面を蹴り、 バルデッシュで騎馬兵の馬の胴体と兵士の両足を切り落とす。 その兵士と馬両方を転倒する。 再度地面を蹴り、宙を舞う 、 空中で1回転して別の兵士の首と馬の首を同時に刎ね飛ばした。 それから、 豪快に着地した。


「任務完了! 」


 足を失った兵士のところにゆっくりと向かう玄武。 兵士の奥には真っ二つにされ内臓が飛び出した馬の屍が転がっていた。


「あの……どちら様でしょうか?」


 玄武はそう質問した。


「お前に……教える価値すらない!」


 兵士はそう返答すると、 剣を手に取り玄武の右肺辺りに突き刺す。


(クソっ……ここまでかってあれ?痛くない……今なら殺れる! )


 玄武は瞬時に左手を変形させた。 その左手は、 形状は人間の手であり、 外見はワニガメの甲羅の様にゴツゴツしていた。 その左手で、 兵士の頭を握り潰す。 潰した際、 目玉や脳みそ、 頭骸骨の欠片が弾け出た。 本来ワニガメの腕にはこれ程までの力は無い。 しかし、 ワニガメの咬合力はとても強い為、 その力を自身の握力に上乗せしたのだろう。 あるいは、 全ての生物型核兵器データファイルの握力がこれくらい強いのかもしれない。


 玄武は自分の身体に刺さった剣を抜く。 刺さっていた部分はグチュグチュと音を立てながら再生していった。 それと同時に変形させた左手を元に戻した。 それをたまたま見ていた兵士は、 驚愕していていた。


「あのエルフの容体が気になるな……」


 玄武が城門を通って中に入った。 あのエルフは足を骨折していたようだが、 朱雀のお陰で傷が完治した。


 その頃、 エルフの村に向かう青龍と白虎。


「ねぇ……後でエメちゃん抱っこしてもいい?」


 白虎が死んだ魚の目をしながら青龍に話しかけた。


「別にいいけど」


「やった! 」


 ハイテンションになる白虎。


(エメちゃん好きすぎだろ!)


 青龍はそう思いながら冷や汗をかいた。


「さてついたが、 どうしましょう!」


 青龍が楽しそうだった。 この後、 村を襲った兵士たちは地獄を見る。

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