第4話車掌服の亀

 あれから数時間後。


「あいつガチで大丈夫? 」


  麒麟は青龍の事を心配する。


「めっちゃ嫌な予感が…」


  いろいろと察してしまった玄武。


  青龍、白虎、朱雀が入っていた部屋の扉が開いた。


「「あっ…」」


  上半身だけ裸の青龍が扉から出てきた。


「おい! 青龍! 」


  心配する玄武。


「あ…結構痛かったわ…」


  青龍は死んだ魚のような目をしていた。


「おーいどうした? 」


  麒麟はそう問いかけた。


「あ〜大丈夫…火で炙られただけから…」


  思った以上に元気が無い青龍。


「本当に大丈夫? 」


「ハイハイ大丈夫ですー」


「お前いつも以上に様子がおかしいな…」


  話に割り込む麒麟。


「エメラルドが行方不明になったらしい…」


 青龍はとても落ち込んでいた。


「「え!? 」」


 二人は驚いた。


「少し会話聞いちゃったからさー」


「なるほどねぇ〜」


  納得する玄武。


「1人森の中に入ったんだとよ」


  青龍は小声でそう呟いた。


「捜索は俺たちに任せろ」


 麒麟がそう言うと、 青龍は少し笑った。


「了解…後、 何で俺たちをここに連れてきたの? 」


 青龍は涙を流しながらそう言った。


「この世界を本当の平和に導きにする! 」


 麒麟がそう言うと、 青龍は大声で笑った。


「やってやろうぜ! 俺たちでを作ろう! 」


 青龍は上を向き、 拳を天に突き上げた。


「あの2人は? 」


 麒麟が青龍にそう聞いた。


「風呂入ってからこっちに来るらしい! 」


 青龍のテンションが戻った。


「「了解」」


「俺もシャワー浴びてくる」


  その場を立ち去る青龍。


「少し兵士を召喚してくるからここで待ってろ」


  麒麟はそう言うとその場から立ち去った。


「おい! 置いてけぼりにするな! 」


  玄武は麒麟に向かってキレる様な感じでそう言った。


(する事無いし…椅子に座って寝よ…)


  その場にあった椅子に座って寝ようとする玄武。


「大変です! 」


  一人の兵士が玄武に向かって敬礼しながらそう言った。 特徴は金髪で身軽そうな鎧を着ていた男の兵士だ。


「わー! ビックリした!ってお前誰だ! 」


 玄武はツッコミを入れた。


「伝令! エルフの子供がこちらに向かって来てます! 」


「人の話を聞け! 」


 再度ツッコミを入れる玄武。


「え? あっ…すいません」


 兵士はすっとぼけていた。


「いいけど…誰かわからんけど案内よろしく」


 玄武はそう言った後、 ため息をついた。


「わかりました! こちらです」


  玄武を徒歩で現場まで案内する兵士。


「君、 名前なんて言うの? 」


  玄武は兵士にそう訪ねる。


「僕はアーサー=カミツキと申します! 」


  兵士はそう返答した。


「俺は亀吉よろしく 」


「よろしくお願いします亀さん! 」


「うん! よろしく」


  アーサーの威勢が良かったので玄武はすんなり気に入ったそうだ。


「人間ってどんな生活をしてるのですか?」


  アーサーは玄武にそう聞く。


「変な事聞くね」


 玄武は笑いながらアーサーにそう返答した。


「実は僕達元々は平地に住むゴブリンでして…そんで訳あって人間の生活に興味が湧いて」


「へぇ~あんまり変わらないと思うよ」


「あ、 そうなんですね」


 玄武はそう言った後、 楽しそうに笑った。


「俺の予想だと君達ゴブリンは竜…じゃなくて麒麟の召喚の影響で人間の姿になったって事でしょ? 」


  玄武はアーサーにそう聞いた。


「そんな感じですね」


「やはりそうか…」


 玄武はそう呟いた後、 手をそっと顎に当てた。


(気のせいかも知れないけど実験台にされた後ぐらいから色々と感が良くなったり何故か知らない事まで…それに竜馬の奴いったい何を考えてる…あいつが言うを作るための準備段階なのか? )


 玄武は目を閉じてそう考えてた


「すいません亀さん到着しました」


  玄武とアーサー現場に到着。 場所はレンガで作られた城壁が近くにあってちゃんと人が登れる様に、 大きめの階段が城門の両サイドにあった、 それに何故か設営テントが張られていた。


「亀さんこちらへ」


  アーサーは玄武をテントの中に案内した。


「爺さん! 亀さんを連れてきました連れてきました! 」


「コラ! ため口とは何だ! だがよくやった我が孫よ! ささ…玄武殿こちらへ」


  白い髭を生やして戦艦の艦長のような服を着た老人が出迎えてくれた。 その老人は、アーサーの祖父らしい。


(なんでこの人俺の名前知ってんの? )


 玄武は笑顔でそう思った。


「アーサーから状況を聞いています。それで、 そのエルフの少年はいったいどこに…」


「こちらです」


  老人は玄武を少年の所まで案内する。案内されたテントには、エルフの少年が悲しそうに座っている。 服はボロボロで薄汚れていた。


「あの椅子に座っている少年がここに逃げて来たのです」


 老人は玄武にそう説明した。


「わかった俺が事情を聞く」


 玄武は真剣な表情をした。


「ここはあなたにお任せします」


  老人は玄武に一例してその場から離れた。


「大丈夫? 」


  玄武が心配そうに声をかけた。


「僕は大丈夫です。 けど…村のみんなが…」


  少年は少し怯えいて泣きそうな声だった。


「もしかして? 村のみんなが危ないって事かな? 」


  玄武はそう質問した。


「はいそうです…だから助けてくださいお願いします!」


  その少年はそう返答し泣き始めた。


「わかった…全力を尽くす」


  玄武は少年の頭を撫でてその場を去る。


「どうでしたか? 玄武さん」


  老人が玄武にそう聞く。


「推測だが村が襲われた。 どうせ竜馬あいつの事だ、 援軍を送っているはずだ…とりあえず爺さん達にはここの周囲を見張っててくれ…」


「わかりました…では早速準備を…」


  老人は急いで兵士達を集めた。


「お前たち! ここの周囲を守れ! 」


 老人が兵士たちにそう言うと、 兵士たちは走りながら階段から城壁に上り、 弓を持って警戒態勢に入った。


「それと爺さん…あなたのお孫さんをお借りしたい…」


 玄武はため息をつきながらそう言った。


「わかりましたでは早速アーサーを呼んで…」


 老人がアーサーを呼びに行こうとした瞬間、 事件が起こった。


「伝令! エルフの子供がまたこの村に向かってきてます! 」


  壁の上にいた兵士が早足で下りてきてそう言った。


「その少年を保護しろいいな! 」


 老人は階段を使って壁から下りてきた兵士にそう命令した。


「わかりました! 」


 兵士は敬礼した後、 階段を使って上った。


「城門を開けろ!」


 玄武がそう命令すると城門付近にいた兵士たちは城門を開け始めた。


「大変です! 騎馬兵二名がエルフの少年らを追っかけています! 」


(やはり来たか…)


 玄武は真剣な表情をした。


 プレートアーマーを着た騎馬兵2名がと言う情報が入った。 その情報を耳にした玄武はその場にいる全員にこう命令する。


「騎馬兵は俺が相手をする! だからお前らは少年の保護を優先しろ! いいな! 」


  玄武はそう命令し城壁の上に上りそこから飛び降りてダイナミックに着地した。 玄武が着地した場所には少し大きめのクレーターができた。


「玄武さん大丈夫ですか? 」


  防壁の上にいた兵士は心配そうにそう言った。


「俺の事は心配するな! 」


  そう言い現実世界の空間を叩き割って亜空間を開き、 その亜空間から自分専用の武器を取り出した。


「ここは俺が守る! 」


  玄武はそう叫んだ。


「玄武さん来ます! 」


  防壁の上にいる兵士がそう言うと玄武は突撃態勢に入った。


「わかった! 」


  開いた城門の中に、 急いで入ろうとするエルフの少年。 だが、 騎馬兵に殺されそうになる。 その時玄武が地面を蹴り飛ばし、 バルデッシュで騎馬兵の馬の胴体と兵士の両足を切り落とし兵士と馬両方を転倒させ、 また地面を蹴り宙に舞って一回転し、 もう1人の兵士の首と馬の首をバルデッシュで同時に刎ね飛ばした。 跳ね飛ばした後、 玄武は着地したが、 クレーターはできなかった。


「任務完了! 」


  鼻歌を歌いながら足を失った兵士のところに向かう玄武。 兵士の奥には真っ二つにされ内臓が飛び出した馬の屍が転がっていた。


「ハローオマエナニジン?」


  玄武はそう質問した。


「お前に…教える価値すらない! 」


  兵士はそう返答すると、 剣を手に取り玄武の右肺辺りにぶっ刺した。


(クソっ…ここまでかってあれ?痛くない…今なら殺れる! )


  玄武は左手を変形させた、 変形させた手の形は人間の手だったが、 外見はワニガメの手みたいに少しゴツゴツしていた。 その左手で兵士の頭を握りつぶした、 潰した際、 目玉や脳みそ、 頭骸骨の欠片等が弾け出た。


 玄武は自分の身体に刺さった剣を抜いた。 刺さっていた部分はグチュグチュと音をあげながら再生していった。 それと同時に変形させた左手を元に戻した。 それをたまたま見ていた兵士は、 驚愕していていた。


「ふぅ…大変だったな〜さてこの後どうしよう~」


  玄武が壁内に戻ろうとした瞬間。 空間が割れて白虎と青龍が出てきて忍者走りでエルフの村に向かった。


「後は頼んだ!」


 玄武は大声で二人にそう言った。


「麒麟から事情は聞いた! 後は任せろ! 」


 青龍がそう言うと、 玄武は左手でグットサインをした。


「ついでにエメラルドも探してくるから! 」


 青龍がそう言うと、 玄武はニヤニヤし始めた。


「お~青龍モテモテ~」


 玄武がそう言うと、青龍はブチギレた。


「殺すぞかめあたま! 」


  エルフの村に向かう青龍と白虎。


「ねぇ…後でエメちゃん抱いていい? 」


 白虎が死んだ魚の目をしながら青龍に話しかけた。


「別にいいけど」


「やった! 」


 ハイテンションになる白虎。


(エメの事好きなんだな~あれ…抱くってヤバイ方のじゃないよな?)


 青龍はそう思いながら冷や汗をかいた。


「着いたよ~」


 二人はエルフの村に着いた。

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