第3話不穏な気配
―1月1日 午前9時00分 天気晴れ 多少雲はあるが、 肌寒い。 ―
「暇だな…いつもならエメが部屋に入ってくるのに…」
青龍は櫛で髪を整えながらそう呟く。
(暇だし散歩しよ~)
青龍は鼻歌を歌いながら部屋から出て色んな部屋を見て回った。
(この部屋気になるな…)
青龍は慎重にドアを開けて中に入った。 するとそこにはごっつい男が1人いた。
「なんだ? このガキンチョ」
大男が中から出てきた。
(マズイぞ! 作戦を考えないと…)
青龍は必死に考えた。
「これ頂戴…」
青龍は冷や汗をかきながら一丁の銃に指を指した。
「ダメだ! そんな危なっかしい物子供にわたせるわけにはいかん! 」
大男は青龍を注意した。
「それにお前どっから来たんだ! 」
大男はそう聞いた。
「異世界から来た! 」
青龍は焦っていた。 もし下手な事を言ったら殺されると思っている。
「異世界? なんじゃそりゃ! 麒麟のガキンチョなら知ってるけどよ! カズヤの奴が言っていたからな…」
大男は顎を抑えながらそう言った。
「そう! そいつと一緒に来たんだ! 」
青龍はジェスチャーをしながらそう言った。
「へぇ~そうか」
この大男は色々と察したようだ。
「おい! 蛇之! 」
大人のような姿の麒麟が割り込んで来た。 服装はスーツを着ていて靴は真っ黒の革靴を履いている。
「取り込み中か? 」
麒麟は大男にそう聞いた。
「問題ねぇ! ちょっと息抜きしてたし! 」
大男は笑顔でそう言った。
「そうか…じゃあ蛇之借りていいな? 」
「蛇之? 誰だそりゃ? 」
大男は首を傾げた。
「悪い…自己紹介するの忘れてた! 」
青龍は舌を出して、 自分の頭を撫でた。
「お前がさっきまで話してたやつだ…」
麒麟はダルそうな態度をとった。
「なるほどな! いいぞ」
「ビリーさんこっちの方も手伝ってください〜」
奥の方から金髪の普通の体格の男が大男を呼んだ。
「部下に呼ばれたんでな…じゃあなボウズ頑張れよ! 」
ビリーは武器庫のドアを閉めて、部下の元に向かう。
「どうした竜馬? 俺にようでも? 」
青龍は首を傾げながらそう聞いた。
「お前に渡したい物がある付いてこい」
麒麟はそう言うと、青龍を連れて向こうの部屋に入っていた。
「とりあえずこれに着替えろ」
麒麟は青龍に黒いベンチコートと紺色のパーカーと黒いズボンを渡した。 とりあえず着替える青龍、 すると突然体が大きくなった。
「どうしてそうなった…」
自分の身長が急激に伸びたことに、 驚く青龍。
(身長は伸びたけど…体が細いな…)
青龍の身長は、 この場にいる異世界人の中で一番高いがめっちゃ細い。
「どうだ? 」
麒麟は青龍にそう質問した。
「問題ない! 」
青龍は嬉しそうにそう言った。
「そうかならいい」
「他の奴らにも渡したのか? 」
青龍は麒麟にそう質問する。
「とっくの前に渡した」
麒麟はそう返答した。
「了解、 あいつらに挨拶してくる~」
青龍は気楽な態度をとった。
「ちょっと待て。 お前に渡したい物がある」
麒麟はそう言うと大鎌と日本刀を渡した。
「鎌? 」
「大鎌だ…お前専用の武器だ。 取り扱いには気をつけろ」
「了解…この武器も他の奴らにも渡したの? 」
「エメ以外には渡している」
「一応どんな武器を渡したの? 」
「玄武にはバルデッシュと特殊な日本刀、 白虎にはモーニングスターと特殊な日本刀、 朱雀には大剣と特殊な日本刀を渡した」
麒麟は指で数えながらそう言った。
「なるほど。 じゃあエメラルドには何を渡すの? 」
「殺傷能力の高いワイヤーを無限に出せるハーフフィンガーと少し変わった太刀」
「へー使い勝手良さそうじゃん」
青龍は無表情でそう言った。
「そうか? ワイヤーを扱うなんて相当難しいぞ」
「そう? 俺からしたらしたらめっちゃ簡単そうなんだけど」
「お前使った事無いだろ…」
麒麟は少し呆れていた。
「後、 空間叩き割って物取り出すやつ、 あれどうやるか教えて」
青龍は興味本位で聞く。
「とりま何も無い所を殴る。 それだけ」
「えー」
青龍はしょんぼりした。
「んじゃ俺は仕事に戻るから、 狩猟頑張れ〜」
「わかった! んじゃあ! 」
青龍はその場から離れようとした。 その時。
「おい待て! 蛇之のボウズ!! 狙撃銃と弾薬だ!! 」
ドアを思いっきり開け、 狙撃銃と弾薬を青龍に見せるビリー。 ビリーがもっている狙撃銃は、 バレットM82と言うアメリカ合衆国で開発された大口径のセミオート式狙撃銃である。 弾薬は12.9×99mm NATO弾と言う弾薬である。 その銃と弾薬を青龍に目掛けて投げるビリー。 青龍は難なく受け取った。 受け取った銃をしまうため空間を叩き割って亜空間を開きその武器を亜空間にしまう青龍。
「おう! 頑張れよ! 」
笑顔で玄関に向かった青龍。
「さてあいつらに挨拶してエメラルドにドッキリでも」
青龍はクスクスと笑った。 すると大きな足音がこちらに近ずいてきた。
「ちょっとそこどいてにゃー! 」
自分より少し小さめの銀髪の女の子がこちらに向かってきた。
その少女の服装はレディースのデニムジャケットを羽織っていて、 白いトレーナーを着ている。ズボンはデニムショートパンツと黒いタイツを履いていた。 靴はレディースの白いシューズ。 スタイルも良く尻がでかいが胸がない。
(よし抱こう)
青龍は透き通った表情で両腕を広げる。
「お前…何考えてるの! 」
少女は青龍に飛び蹴りをした。
「痛っ!! 」
その場に倒れた青龍。
(やばい…呼吸が…できない)
青龍は呼吸困難に陥り気を失った。
「ニャン♪ てっおいしっかりしろ! 」
女の子は心臓マッサージを行った。 だが青龍の様子は変わらなかった。
(クソっどうすれば…あっ! 人工呼吸をすればいいんだ〜なーんだそんな事か〜てっ! 死んでもやるかコノニャロー! …でもここでやらないと私はエメちゃんに嫌わちゃう…もう! やるしかない! )
女の子は人工呼吸をしようとした。 すると。
「ん? 何があった? 」
気絶していた青龍が起き上がった。 しかも起き上がった瞬間に白虎と接吻をしてしまった。 二人とも顔を真っ赤にして大声で叫ぶ。
「こんな奴に…こんな奴にファーストキス奪われた…よりによってこんな奴に! 」
女の子は泣きながらそう呟く。
「悪かったな! こんな奴で! そんなに泣くなよ…てか、 お前誰だよ! 」
青龍はツッコミを入れた。
「白虎……」
女の子はまさかの白虎でした。
「えー! めっちゃ美人じゃん! 」
青龍は調子に乗っていた。
「黙れ…」
白虎はとてつもないくらいの怒りを覚えた。
「ごめんな…さっきはあんな事して…」
奥の方から赤髪のポニーテールの美少女が笑みを浮かべながらながらこっちに向かって来る。 服装は黒一色のナース服を着て、 黒色のセミショート丈のタイトスカートを履いていて、 黒いドクターコートを着ていて、 靴はレディースのシューズを履いている。 スタイルも良く白虎よりも胸が大きいが、 尻はそうでもない。
「お前…誰だ…」
青龍は固唾を飲んでそう質問する。
「私は雀、 覚えてる? 」
赤髪の美少女はまさかの朱雀だった。
「あ〜焼き鳥か思い出したわ〜」
青龍は指を指しながらそう言った。
「あそこに隠れているやついるだろ? 」
朱雀は奥の物陰に指を指す。
「ああ…確かにいるな…」
青龍はにやつきながら顎を抑えた。
「あいつは玄武。 さっき私と一緒に髪を切りに行ったのよ〜」
物陰に隠れてこちらの様子を伺っている。 黒髪で左目が髪で隠れていて、帽子を被っていて、 汽車の車掌風の制服を着てマントを羽織ってる男はまさかの玄武だった。
「へ〜」
青龍は興味なさそうな表所をした。
「そんでね〜私がめっちゃかっこいいじゃんて言ったらあいつ顔赤くして恥ずかしがってた! 」
朱雀は笑っていた。
「なるほどな」
「フフあいつ面白いでしょ」
「言われて見れば確かになー」
青龍がそう言うと、 玄武が文句を言っていたがこちら側には聞こえなかった。
「朱雀~こいつやりやがったよ~」
白虎が朱雀の耳元でそう言うと、 朱雀の表情が変わってしまった。
「おい! 蛇野郎! 」
朱雀は青龍の腹を殴りつけた。
「ちょっとこい! 」
朱雀は青龍を掴んだ。
(あっ、 俺終わったわ)
青龍は察した。
「楽しもうね! 」
朱雀と白虎は嬉しそうに近くの部屋に入る。 けど青龍は怯えながら入って行った。 さっきの様子を見ていた玄武はめっちゃ怖がってた。
(女って怖え〜)
玄武は怯えていた。
「よぉ亀吉! 」
後ろから麒麟が話しかけてきた。
「おい脅かすな! 」
急に声をかけられたので驚く玄武。
「どうした? 」
麒麟は玄武にそう聞いた。
「さっき蛇之が女子と揉めててそれで…」
「あ〜なんとなく察したわ」
やばい事になった事を察した麒麟。
(あいつガチで大丈夫か? )
麒麟は少し青龍の事を心配した。
「やめろぉおおおお!! 」
大声で助けを呼ぶ青龍。 だが誰も来なかった。
「あいつ死んだわ」
少し笑う麒麟。
ここから少し西に離れたところにトラウト王国と言う場所があった。
そこではある会議が行われていた。 会議している場所は王宮の会議室で、 大きめの縦長の机と二十席ぐらいの椅子がならべられていた、 会議に参加していたのは、 王、 姫君、 貴族たち、 上兵、 精鋭部隊、冒険者で、 全員座っていた。
「諸君何か手立てはないのか? 」
王がそう言うと、 一人の兵士が手を挙げた。 その兵士の特徴は金髪の中世ヨーロッパ風の鎧を着て、 ずる賢そうな男の兵士だった。
「陛下…植民地のエルフどもが反乱を起こしたそうです…どうなされますか」
金髪の兵士は、 悪意のある笑みを浮かべた。
「何! お主名は何と言う? 」
王は金髪の兵士に指を指した。
「デュース=サイクルと申します。」
金髪の兵士はそう言うと、 椅子から立ってお辞儀をした。
「そうか…デュースよそのエルフの反乱を鎮圧せよ! これは命令だ! 」
王がそう言うと、 デュースはお辞儀をして会議室の扉の目の前に立ち、 一例をして、「失礼します」と言って会議室から出て行った。
「他は無いのか? 」
王がそう言うと、 兜を被って中世ヨーロッパ風の鎧を着た、 兵士が手を挙げた。
「陛下、 秘密結社関雷雨とか言う愚か者たちの集団が我が国に数名いると言う情報が入りました、 いかがなさいますか? 」
その兵士がそう言うと、 一人の変わった服を着ている美形の男の冒険者が発言した兵士をチラ見した。
「陛下、 関雷雨の討伐私も行かせてください」
変わった服を着た美形の冒険者が椅子から立ち上がってそう言った。
「うむ、 我が国の精鋭を二名同行させよう! では行ってまいれ! 」
王がそう言うと、 冒険者と発言した兵士と黒い鎧を着たごっつい男の兵士二名が会議室から出て行った。
「さてお主たちはこの国に残れ…今夜お主達が行ってもらう事は、 昨日できた謎の村を襲撃しろ以上だ! 」
王が悪そうな顔でそう言うと、王と姫君以外全員会議室から出て行った。
「そろそろじゃ…」
王は悪そうな顔でそう呟いた。
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