第2話異世界転移

  ―12月31日 午後8時30分 晴れ 雲一つない晴天だが、 肌寒い。―


 青龍達孤児は異世界に到着。 今は夜なのでものすごく寒いが、 朱雀が隠し持っていたマッチを使って暖をとろうとしたが、 乾燥した木が無かったため暖を取れなかった。 青龍が右指を変形させて、 乾いた太い木の枝に変形させ、 そのままもぎ取った。 もぎ取った場所からグチュグチュと音を立てながら指が再生する。


「お兄ちゃんどうやったの?」


 エメラルドがそう聞くと青龍は、 「なんかできる様になっていた」と答えた。


「ちょっと待ってね~」


 白虎は魔法陣を出現させて、 薄い金属の板を出現させる。 青龍は白虎が出した鉄板の上に、 木を置き、 その木の枝に玄武は左指全てを灯油に変え、 枝にかける。 その上からマッチに火をつけて落とすと、 木は勢いよく燃え始めた。6人は何とか暖を取れた。 左指はグチュグチュと音を立てながら再生した。


 到着場所は暗くて見えないが美しい平原数キロ先に、 エルフと呼ばれる亜人種の村がある。 到着してからすぐ青龍達はこれからどうするか話し合った。


「お前らこれからどうする? 」


 麒麟が全員にそう聞いた。


「家が欲しい……」


 青龍は少し低めの声でそう言った。白虎とエメラルドは、 青龍の意見に賛同した。


「そうだね! とりあえず家を作ろう! 」


 玄武は少し汗をかきながらそう提案する。


「でもどうやって!?」


 朱雀が二人にそう聞く。


「良し! 俺が作る!」


 麒麟は亜空間から小刀を1本だけ取り出し人差し指を切りつけた。 切り口から血が1滴だけ落ち、 5秒後に巨大な魔法陣が出現。 すると、 魔法陣から明治時代の豪邸が出現した。


 その場にいた麒麟以外の人間は、 固まってしまった。


「何なんだこれは!?」


 青龍は麒麟にそう聞いた。


「俺の血液と豪邸を交換した」


 麒麟は笑いながらそう言う。


「いくら何でも血液一滴と釣り合わねぇだろ!」


 青龍はガンギマリでそう突っ込む。


「まぁとりあえず中に入ろうぜ!」


 麒麟が先陣を切って中に入る様だ。


「はぁ~心配だな~」


 青龍は白虎の頭をポンポンと叩いて中に入って行った。 その行為が、 白虎の逆鱗に触れた。


「雀〜後で青龍あいつしばいていいか? 」


「いいよ~」


「やったぁあ!」


「猫都、 お手柔らかにね」


 玄武は白虎にそう言った。


「はーい」


 そう言いながら3人とも豪邸の中に入って行った。


「wait a minute!」


 エメラルドは3人の後を追った。


「これ豪邸じゃなくて議会だろ」


 エメラルドはそう考えながら、豪邸を見渡す。 その豪邸の中はとても綺麗で、 床、 壁、 天井は黒樫でできている。 階層は3階まで、 廊下には所々にソファーやエレベーターがついている。 豪邸内の部屋は20室以上もある。 1階の部屋は、主に工房や大浴場、 武道場、武器庫、食料保存庫もあり、 2階には食堂や大広間、 会議室がある。 3階には日本のビジネスホテルの様な寝室だけだ。


その後彼らは、 自分たちで部屋を決めて一時期そこで生活するようになった。


 そして暇な青龍は白虎の部屋に入った。


「おーい猫都~暇だから……」


 青龍は何かを悟ったようだ。


「青龍!お前を今から叩きのめす! 」


 白虎は青龍に襲いかかった。


「ちょっと待って! 」


 白虎は青龍の金○を蹴りあげた。 すると、 青龍は泡を吹きながら気絶した。


「あ〜スッキリした! 」


 青龍を蹴り飛ばしたあとの白虎はめっちゃ笑顔だった。


「起きろ青龍! 」


 頭を軽く叩く白虎。


「ん? どした? 」


 すっとぼけている青龍まだ記憶の処理が追いついて無いようだ。


「近くに村があるらしいから行ってみよう! 」


「今から!? 嫌だよ!」


「じゃあどうするの?」


「今日はゆっくり休む」


「はいはいそうですか……」


「と言いたいところだけど喉が渇いたな~一緒について来てくれる? 」


「はぁ……仕方ないわね……」


 二人は1階に降りて飲み水を探す。 すると、 偶然近くにいた麒麟が話しかけてきた。


「お前らどうした?」


「喉が渇いてさぁ~ジュースが飲みたい」


  青龍はジェスチャーをしながらそう伝えると、 麒麟が手招きをして案内する。 3人は1階にある食料保存庫に着く。


「飲食物は基本ここに置いてあるから好きに食べ飲みしていいよ~」


 麒麟がそう伝え何処かに向かった。 二人は食料保存庫に置いてある冷蔵庫から、 ジュースが入ったペットボトルを取って自分の部屋に戻った。 その頃麒麟は、 誰もいない場所で何か怪しい事をやっていた。


「村を作りたいな~迫害を受けている亜人を住民にしようか……」


 麒麟がそう言い、 手を前に出す。 すると、 巨大な魔法陣が出現。 その魔法陣から筋肉質な男達と、 普通の美男美女達が出現した。 筋肉質な男たちはオーガと呼ばれる種族で、 元々は洞窟に暮らしており、 鉱石を売って生計を立てている。 美男美女の方は、 ゴブリンと呼ばれる種族で平原に住んでいる種族で、 エルフとオーガと仲が良い。 この2種は元々皮膚が緑色だったが、 麒麟の魔方陣の影響で肌色と化した。


(あれ……思ってたのと違うな……)


 少し驚く麒麟。


「なんだここは……それに……この肌の色……」


 オーガのリーダーらしき人物が辺りを見渡し、 自分の腕を見る。


「よぉ! おっさん!」


 麒麟が生意気な口でオーガのリーダーに声をかける。


「なんだ! 小僧! これは全部お前の仕業か!?」


「俺は竜馬……いや麒麟だ!」


「麒麟……どこかで聞いたことがあるな……で俺たちになんの用だ?」


 オーガのリーダーは麒麟にそう質問する。


「豊かで平和な村を作りたい! そのために、 お前達の力が必要だ!」


「そうか……あの地獄から解放されるのは嬉しいが……お前達を信じていいのか?」


 オーガのリーダーがそう聞くと麒麟はこう返答する。


「信じてくれ……とは言えないなぁ~俺もそう言われて地獄を見て来たからな~難しいな~伝え方って」


「そうか……」


 オーガのリーダーが俯くと、 麒麟は天を見上げた。


「でも……お前達にも、 もうこれ以上地獄を見せたくない……これだけは信用してほしい!」


 麒麟は決心した表情でオーガのリーダーに手を差し出す。


「信じていいのだな……その言葉!」


 オーガのリーダーは麒麟の手を握る。


「おい! ゴブリンのリーダーはいないか!?」


 オーガのリーダーはそう叫ぶと同時に麒麟から手を放す。


「儂じゃ!」


 奥の方から年老いた老人が出て来た。


「おじいちゃん?」


「そうじゃ! 文句あるか?」


「ないよ」


「でどうするのじゃ?」


 ゴブリンのリーダーは麒麟にそう聞く。


「そうだな~建築物でも作ろうかな~」


  『創造クリエイト


 麒麟がそう呟くと、 大量の建築物が出現する。 具体的に何が出現したのかと言うと、 電気、水道設備が整った赤煉瓦でできた洋風の家やそれらを囲む赤煉瓦色の城壁が出現。


「これは……神の力……」


 オーガのリーダーは啞然としていた。


「いつかこれよりいいのを作ってやる!」


(腎臓二つと血液半分でこれか……)


 麒麟は少しがっかりしていた。


「ほほう……それは楽しみだ!」


「全員の職種は明日の朝に決めるからよろしく!」


 麒麟はそう言い床に就く。


 ―1月1日 午前8時00分 天気晴れ とても寒い! ―


 麒麟は彼らの希望する職種を決め、 説明書を配った。 幸いなことにオーガとゴブリンは物覚えがよく賢かったため、 何とかなった。 その頃エメラルドが豪邸から出て何処かに向かい行方不明となる。

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