第4話一日部長、山口慎太郎
僕は1年の高見純子に、色の出し方を教えていた。
「黒は使わない方がいいかも。茶色に緑混ぜてみれば?」
高見は言われた通りに、絵の具を混ぜた。
「うわ~、黒っぽい。ありがとうございます」
その直後であった。
「皆さん、お元気?ダイナモー、サクセスユー!高見さん。僕のアソコも真っ黒だよ!どどめ色!」
「なに、今日は気分良さそうだな、慎太郎!」
「ノンノン、私、新部長の山口慎太郎と申します」
慎太郎はコーヒー牛乳を飲みながら、
「寺田俊一君。忘れていないだろうね?一日部長の件を!」
「だから?」
「
高見が寺田に、耳打ちする。
「新部長、今日は部活会議だから宜しく。今日は予算案の提出日だから」
「……寺田君。君が行きなさい!」
「それは、部活の仕事です。新部長、ちょっと臭いです!」
「何だと!高見!」
「大きな声を出さないで下さい、歯槽膿漏部長!」
「な、なんだと?」
「まぁまぁ、ケンカしないで部長任せたよ!」
寺田と高見は、力任せに部室から山口を追い出し、施錠した。
「高見さん。ありがとう」
彼女はコクりと頷いた。
「部長、山口大丈夫ですか?予算案は……」
「大丈夫、今日はどうしても外せない用事があるから、バトミントン部の宮田に既に予算案渡してある」
「じゃ、山口さん行く意味がなくないですか?」
「たっぷり、恥をかいてくれば、もう部長云々は言わなくなるよ!」
「あの先輩気持ち悪いですからね。この前、君の太ももデッサンのモデルになってくれって言われたんです」
「うわ~、あいつバカだな!」
そして、会議に出た山口慎太郎は演劇部から衣装を借り、紋付き袴で会議に出た。
「あ、あのう今日は仮装パーティーではなくて、美術部の寺田部長が見当たりませんが?」
バトミントン部の宮田が事情を説明しようとすると、山口が動いた!
「司会のバスケ部の部長にも関わらず、余の顔を見忘れたかっ!」
「何だ?余だと~……分からねぇや」
山口はイミテーションの刀を抜き、刀の背を向け、
「毎週、毎週、会議しやがって!この慎太郎が成敗致す!」
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