第1章【3】meet急展開

僕が好きな人が五月だということを知っているのは、弘樹だけだった。


その日放課後、僕と弘樹が一緒に電車に乗っている時に弘樹は藤本さんのことを話し始めた。


「五月ちゃん転校しちゃったな。なんで転校したんだろうな。」


弘樹も僕と同じことを考えてた。



沈黙が続く。



「ごめん、そんなのわかんないよな。悪いことした。」


弘樹。こいつはほんとにいいやつだ。僕は、またそう思った。


そんな、話をしているうちに僕は最寄りの駅に着き、電車を降りた。


家に向けて駅のロータリーを歩いる時だった。


「あれっ、西川くん?やっぱり。」



あっ。



つい大きな声が出てしまった。


僕に話しかけてきた人は、藤本さんだった。


久しぶりですね。


すぐには、どうして転校したのかを聞く勇気は僕にはなかった。


「西川くん。今から、一緒にご飯でも食べに行かない?」


はい。


僕は、間違えてすぐに「はい」と答えてしまった。僕の中には、どうして藤本さんのような人が、僕をご飯に誘ってくれたのか分からなかった。




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