6,口悪い客は死神風骸骨
はぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁ・・・・・・・・・
グレイスは何とかキッチンカーまで帰ってきた。もう、クタクタで死にそうだ。
「ただいまあぁぁぁぁぁ・・・・・・・」
「お帰り。今から移動するわ」
「移動・・・・・分かりましたぁぁ・・・・・」
「え??何で??」
グレイスはクッタクタで生返事しかすることができない。
そのまま、キッチンカーが引っ張るキャンピングカーへ向けて行こう。
今すぐ倒れてもいいくらいのバランスをギリッギリで保ちながらキャンピングカーへ
行った。そのまま、開いているベットに倒れこんだ。少なくともダイブするとは
言い難い。
「さーせん。入るなー」
「・・・・・?」
「入っていいー?誰かいるのかー?」
「いる・・・・・」
「グレイスか。こんなところでどうした」
入っていいかの返事もしていないのに図々しく入ってきたのはリュークだった。
リュークはバイトの子で――ってか、マスター以外みんなバイトだけども。
結構あっさりして、さわやかな男だ。羽にはジャガイモとナスのマークが
ついている。この2つの食材を使った料理が得意だからだ。実際、この2つは
第二次世界大戦などの時に荒地で育てられていたものだからだ。
「どーしたもなにも・・・・・あぁ」
話途中にグレイスは瞳を閉じてしまった。
ガタガタガタ
一行は移動を始めた。ここでは客足がないのでD-3区域に移動することにした。
怪物キャンプはA,B,C,Dの4つに分かれていて、その中でさらに4つに区分されて
いるのだ。D-4は良いキッチンで有名だ。『グルメーター(この時代の言葉で
美味しい食べ物が大好きな人。グルメな者)』も多いと考えたからだ。
最も、それはルイクルが決めたのではない。運転手であるジェイムソンに決めて
もらう。で、俺は何か??当然のこと、道案内だ。
「なあ、リューク。この先はどう行けばいいかい??」
「って、もう見えてるじゃねーかよ。ここをこういってこう曲がるといいスペースが
あるから」
ジェイムソンとリュークは地図が好きだ。アナログの地図の方が読み取りやすいし
たくさんの発見がある。それが好きだからだ。
「よし、ここでいいだろう。それじゃあ、ここで開店だ」
「なあ、畑持ってきただろうな」
「当然だ」
そう、その通りだ。何を隠そうあれは専用の移動式畑セットだからだ!
ジリジリジリジリジリジリ
「みんな、着いたぞ!!」
みんな疲れ切っていたのか、最初にこれを言って19回目。つまり40分してからみんな起きた。
フワァァァァ
これは、私、ルイ・クロード・ルーチスの疲れから出たあくび・・・・・?
それとも?答えはズバリ、どちらもだ。
「いらっしゃい。1名様ですか?」
「そうだぜ。早く席に案内してくんねぇか。腹減った腹減った」
「了解しました。8番のお席にお座りください」
「8番ってどれだ!!さっさと案内しろー!!」
「はい、了解しました」
というわけで、注文を作らなければいけなかったのに客を席に案内する羽目に
なった。この客、真っ黒いパーカーを着て、フードで顔を隠している。何者なのかは
分からない。正直言えることは・・・・・死神みたい??
気味が悪くなったから屋台に戻ると少し前に来た注文、たんぽぽコーヒーを作る
ことにした。たんぽぽコーヒーはたんぽぽの根っこを焙煎し、挽いたものをお湯で
抽出するというコーヒーだ。戦時中の庶民の贅沢の一つでもある。今はすでに
挽いたものがあるので、お湯に入れるだけだ。
お湯に入れている間、商品のポップを書いている時、たまたま客席の方をぼーっと
見ると死神風がフードを開け、頭をかいていた。その手は真っ白でいくつかに
分かれている。頭は真っ白でハゲ。そして顔は穴ぼこだらけだった――
骸骨はカップを持ってコチラに向かってくる。その口元は明らかに口角を
上げていた。骸骨だから分からないが、多分。
「おいおい、マスター。俺にもたんぽぽコーヒーよこせ。あと、タンポポと
サツマイモエキスに牛乳を混ぜたやつ。ナガイモも入ってた気が・・・・・」
「『意外とアリ?探察☆ナガイモパフェ』ですね」
「そうだ。それもよこせ」
「はい、今から作ります」
どんだけ口悪いんだ。マジでムカつく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます