海岸

海岸

夜が過ぎる

誰もいないよう願って

砂浜はまだ遠くて

鍵を閉めたか心配になるんだ

履き慣れた靴

大きめのバケツ

袖を捲るためのクリップ

忘れ物はない？

急いて

湿ったアスファルト

ひとつ笑って

最後の二段を飛ばす

後ろは見れないよ

でもきっと

夜が白む

誰もいないよう願って

潮騒は五月蝿くて

鍵を開けなくちゃ必死になるんだ

聞き飽きた曲

小さめの投書箱

ひとを見るための前髪

忘れられない？

惑って

濁ったリノリウム

ずっと笑って

永続境界を誤まる

後ろは見れないよ

ああきっと

夜が明ける

打ち上がらないよう願って

紙の上まだ書きたくて

インクが足りるか心配になるんだ

読み慣れた言葉

大きめの水筒

袖を捲る多めのクリップ

書けそうじゃない？

舞って

温んだ波打ち際

ふたつ笑って

羽ばたく音を知ってる

後ろも見れそうだよ

そうきっと