第16話
「なによ、これ。村が」
村へ辿り着いた僕たちは変わり果てた家々を目にする事になった。
人々は逃げ惑い…村の外縁に辿りつこうとした人は先端が赤黒く染まった蔦に叩かれている。
そんな光景を眺めて笑っているのは彼女によく似た水晶を抱えた女性だった。
そのヒトはこちらに気が付いたのかゆっくりと振り向き彼女を視止めて声を掛ける。
「あら、私の可愛い妹じゃない」
「な、なに!私を妹と呼んでいいのは………!」
「いいのはだれ?」
ニッコリと笑みを浮かべたその顔はどこかそら恐ろしく思えた。
「おねえ…ちゃ…ん……」
「そう、私はあなたの『お姉ちゃん』会えて嬉しい?」
「は……そん…な………」
「あらあら、あんまりに嬉しくて声も出ないみたいね」
「そんな…お姉ちゃんは…おねえちゃんは……」
「ふふふ……いいわぁその”顔”あなただけは私が飼ってあげる」
愕然とする彼女の頬に手を伸ばす様子を僕はただ見ているだけしかできなかった。
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