第13話

「で、いつも通りアザ作って来た訳ね」


「なんででしょうね」


「朴念仁」「天然タラシ」「トラブルホイホイ」


「えぇ………」


頬に手形を作って酒場に顔を出した僕に酷い言いようの三人に抗議の声を上げるが聞き入れられないようだ。

カムさんが身を乗り出して詳細を知りたそうだ。


「で、当日はどうなってんだ。聞かせろ」


「はい。その行き先というのはどうやらここから東に少し歩いた場所にある洞窟で彼女自身もこんな事になる前は狩りの休憩に使用した場所らしいです。

そこに行けば良いと村長に言われた。と」


「洞窟の内部と周辺はどうなってる」


今度はファストさん。彼は魔導銃が主だから立地と構造が気になるのでしょう。


「天然の洞窟で内部は奥行き10m、幅3m、高さ3mほどの広さがあり、周辺にはヒューマンの身長を超える程度の岩が入り口を囲むようにして三つあるようです」


「ふーん、彼女はどれだけできるの?」


そう聞くのは最前線で剣を振るう事の多いリーシャさんだ。


「レンジャー4セージ1ファイター1シューター1程度のようです」


「使えるな」


「同意する」


二人ならそう言うだろうと思っていた。


「彼女には完全装備で行ってもらう事もお願いしてあります」


「そうこなくちゃ!」


ここからが僕たちの本当の作戦会議だ。


「段取りはどうする。いくら洞窟が浅いと言っても岩の位置では奥まで届かないぞ」


「生贄としてある程度相手を引き出してからならどうだ?」


「取り巻きのコボルドが未知数です」


「それなら初手でシグナルバレットを撃ちこむか?」


「なら、合わせてバニッシュでどうでしょうか」


「俺とリーシャで切り込みでいいか」


「あとは臨機対応でいいかしら」


「よし、決まりだ」


ファストさんがそう締めくくる。


「その神さまとやらが不確定要素だがな」


とんとん拍子で戦略が決まり残りの不安をカムさんが口にする。


「確かに…人の言葉を操る程度となると……」


僕にも情報が不明瞭すぎて絞り切れない。


「うーーん、大鬼とか幻獣の類じゃねぇのか?」


「魔神の可能性もある」


カムさんもファストさんも意見をだすけど情報が少なくて困る。


「「「うーーーん」」」


「もう!目で見ない事にはわかんないでしょ!」


三人で頭を悩ませていると焦れたのかリーシャさんが机を叩いて叫ぶ。


「それもそうなんだが」


「なんか引っかかって…」


「だぁああ!もう!ここで考えたって仕方ないでしょ!部屋に帰ってさっさと寝ろ!!」


最終勧告が出てしまったようだ。


「そうするか」「そうですね」


「それに…逆らったらイタイ」


「「ああ、うん」」


「聞こえてるからね!!」


「おっとくわばらくわばら」


僕たちは大人しく部屋で寝る事にした。




翌朝


「おはよ」


大剣を持ってリーシャさんが降りてくる。


「おう」「おはようございます」「ん」


「それで準備できてる?」


「あたぼうよ!」


「いつでも」


「もちろん」


「それじゃあ行くわよ!!」


意気揚々と僕たちは早朝の村を歩きだす。





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