第11話
「ごちそうさま。それで?」
「それでとは」
あくまで惚けてみたら射殺されそうな目を向けられてしまった。
「とぼけないで何の用なの?」
「あはは…単にサンドイッチを一緒に食べませんか。とお誘いに来ただけですよ」
「そ、用が済んだなら帰って」
あくまでも誤魔化すのは悪手のようだ、ますます剣呑な目になってしまった。
「手厳しいですね。そんな事言わずに」
「ふざけないでくれる?」
バン。と机の上の物が跳ねて着席した。
「神官だかなんだか知らないけど私を慰みものにでも来たの?!ええ、いいわよ!好きにすれば?どうせあと数日もすれば捧げられる供物だもの!存分にやりなさいよ!」
乱暴に僕の手を掴んで自分の胸に押し当てる。僕にはそんな彼女が泣いているように見えて仕方なかった。
「どうしたのよ!怖気付いたとでも言うの!?ほら!やりなさいよ!」
何も言わない僕にさらに迫る彼女に僕は本当の目的を告げる事にした。
「一年前の事を聞きに来たのですよ」
「っ」
分かっていた。けど聞きたくはなかった事になのか、それとも忘れていたかった事になのか、彼女はその顔を歪める。
「…本気でアレをどうにかするつもり?死ぬわよ」
「本気ですし、僕たちはこれからも冒険を続けますよ」
思わずと言った様子で僕に迫る彼女の目は僕たちを心配している気がした。けど、僕たちにもこれまで何のかんのと言いつつ何とかやってきた自負があるから引くわけにはいかない。
「………」
「………」
しばしのにらみ合いの後に彼女は苛立ちを隠す事もなく言い放つ。
「わかったわ。そんなに死にたがりというなら勝手にすれば」
「ええ、お構いなく」
「ふん」
話してくれる気になったのか乱暴に椅子に座った彼女はポツリポツリと話だす。
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