第四回:本編から削った設定と書く程ではないキャラの裏話色々。
*カナートと老人。
グラッブベルグ公爵の従僕の一人カナートは、実は伯爵のスパイです。カナートは偽名。本名は別にあります。
昔、カナートがまだ少年だった頃、とある理由から両親を失い、多額の借金を背負わされた彼と家族は、何もかも失って路頭に迷うことになりました。しかし、そこにシュトルーヴェ伯爵の使いが現れて援助してくれることになりました。
シュトルーヴェ伯爵領の一つで商売を始め、領地を盛り立てて行く傍ら、カナートと一部の家族は伯爵の密偵としての訓練を受けて、グラッブベルグ公爵や、国内外の情報収集のために散って行きます。
つまり、カナートは伯爵の手の者でありながら、伯爵の命を奪うように公爵を嗾けたわけです。その事をアン王女の御披露目行列でエリザベスにセクハラをした老人に叱られていますね。カナートは伯爵のスパイですが、伯爵のことはあまり好きではありません。
因みに、この老人はカナートの年の離れた兄という設定です。実は伯爵とフランツの中間くらいの年齢。苦労をして、まだ若いのにお爺ちゃんみたいになってしまいましたが、その見た目と体力年齢のギャップを巧く利用して色んなところに巧みに潜り込んでいます。
カナートの両親はすでに登場しています。
さて、誰でしょう。
って言うほど、チャラい展開では登場してません……。
*第十話にて、門番が告げた「
すでにお察し、『番外編ジェズ・シェースラー』にて結成された『エリザベス見守り隊』です。この頃はまだ小さな組織ですが、着々と力をつけています。
恐ろしいですね。
*第十一話〜⑪のベルナール。
急に治安維持軍が押し掛けてきて、使用人を逮捕して行った挙句に自分は軟禁状態。いくら勝気で元気な男の子でも、十一歳の子供が不安にならないはずがありません。まして父親が誰かを毒殺しようとして捕まったなんて話、普通の子供ならパニックを起こして号泣ものだと思います。
ですがベルナールは不安に苛まれながらも、懸命に自分を律していました。その行動の根底には、立派な貴族、立派な男になりたいという想いがあるからです。
そして、父親のことに関しては大人の派閥争いが学校でも繰り広げられていたこともあって、父は悪いことをしているらしい、という漠然とした認識がありました。宰相としては偉大な公爵ですが、そこに至るまでの経緯に後ろ暗いところが多々ありましたので、父親の悪口を頻繁に聞かされていたのもあります。
第七話〜⑩で、フランツに不安を呟いたのは、公爵家と伯爵家の確執がはっきりと表面化したことで、父が捕まってしまうのでは? でも悪いことをしているなら償わなくては。でも、母と妹が悲しんでしまう。でも、悪いことをしたならやっぱり…、という葛藤があったからです。
本当はローフォークに吐露したかった不安ですが、フランツなら良いも悪いも忖度なく、きちんと答えてくれると思い、勇気を出して訊ねました。
ボナリーのデカい声に遮られてしまいましたけども。
*番外編ルイ・フランシス。その一。
この番外編は若き日のシュトルーヴェ伯爵の物語です。
ちょいちょい出てきた伯爵の父ギュスターヴ。彼がローフォークの父アンリの処刑決定に関与している描写を書いてきましたが、こちらでは伯爵とギュスターヴとの確執と、本編に書くと必要以上に長くなる逸話なんかの補足も兼ねました。
この番外編を書くにあたって迷ったのは、伯爵夫妻の長女マティルダをどう登場させるかという事でした。謎にしたかった姉マティルダ。主に描写したのは幼少期ですが、お嫁に行って今は五児の母となっております。幼年学校にはベルナールより一学年上と一学年下の男の子が通っていて、伯爵対公爵の旗印として担がれそうになっていますが、冷静に対処しています。
マティルダはマルティーヌに似た、落ち着きのある芯の強い女性に成長しています。
*番外編ルイ・フランシス。その二。
番外編の中にドンフォン中尉の兄が登場しています。何処にいたのか、気が向いたら捜してみて下さい。
この時の彼は王宮近衛連隊に入って一年とちょっとのペーペーです。弟ジョルジュとは十九歳の歳の差があります。
彼は苦労人でして、善人ではあるものの領地運営も使用人に任せきり、特に仕官もしないでぼんやり遊んで暮らしている両親に代わって家事と弟達の教育に奔走し、皆から尊敬を集めています。
国王フィリップ十四世も彼の人柄に信用をおき、王宮近衛連隊警備大隊の大隊長を務めています。つまり近衛連隊のNo.4の位置にいます。
……微妙ですね。
一応、連隊長がトップで、次に連隊長代理も兼ねる副官。そして親衛大隊長と来て警備大隊長としていますので、上から四番目となるのです。
ローフォーク家が失脚してから連隊長の座は、特定の一族が受け継いでいるわけではありませんので、もしかしたらチャンスがあるかもしれません。
因みに彼は結婚をしていて、息子達はジョルジュ(ドンフォン中尉)とあまり歳は離れていません。
*女王・女帝という存在。
グルンステイン物語では、基本的に国家の君主は男が多いです。
ですが過去の歴史において女王や女帝は確かにおりまして、グルンステインと併合したファブリス最後の王がエリザ=リベット女王。カラマン帝国にも中継ぎで一人の女帝が存在した設定になっています。
エリザはグルンステイン国王オーベール一世の王妃でもあり、夫の死後もファブリスの女王でいましたが、あくまでもファブリスの君主であってグルンステインの王ではありません。
何処かでも書きましたが、グルンステインには継承順位を明確に定めた法律が存在し、その法律では女系は認めても女王の存在を認めていません。過去に王位を巡って大変な時代があったのです。
同盟国内でも後継者を定める制度は各国バラバラです。
現段階では、一人の女王がいます。
それはサウスゼン王国のコンスタンス女王です。コンスタンス女王は国土北部のファンデンブルグ王国の王と結婚しています。将来的に統合する予定ですが、グルンステインとファブリスのようには順調に進んではいません。
次話を書く機会があればと用意していた設定ですが、さてどうなるでしょう?
私のやる気次第です。頑張りたいと思います。
因みに、カラマン帝国もちょっと特殊です。
カラマンは皇家の一部がエウヘニアを完全に傘下に置いています。歴史の中でカラマン皇族の一人がエウヘニアの大公となっていて、血の濃い姻戚関係があります。
現皇帝ジュール四世の母はエウヘニア公女。そして、二人目の結婚相手もエウヘニアの公女です。
皇帝はエウヘニアの血統があってこそ正統なカラマンの一族と捉えている節があり、一人目の妻(ショワズール王女)から生まれた二人の皇子に関心が無かったのは、そういうところも大きいです。
あと、エウヘニアは宗教色が強い国として設定していますので、いっそう血筋の濃さに重きを置いている所があります。
血統主義的な思想は、ハプスブルク家スペインを参考にしています。
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