第6話 玩具地獄へ堕ちた奴隷商と孤児院の大人 2 泥のおままごと、お医者さんごっこ

ジャンヌが財産の全てを使い建てた「ジャンヌ孤児院」


 戦争で親を失った子供たちは院長である眼鏡をかけた男ジンバイと、シスター服を着たマザーが牛耳り子供たちを売った金で毎日、高い酒や肉を貪った。一方で子供たちにはわずかなパンやスープしか与えず空腹で飢えているのを知っていて放置していた。


「さぁ、両手を腕に上げて…おぉ、前より胸が大きくなっているな…」


「んくぅ、うぅぅ…ぐぅ...や、やめ、てえ」


「君の髪はいつもいい臭いがする…」


「せ、せんせぃ…いやぁ...」


「静かにしなさい!! 診察中だぞ!!」


「ひぃ、ご、ごめんなさい...」


 孤児院で行われている虐待は棒おばちゃんのようにストレス発散で殴る者もいれば、禿頭の老人は健康診断だと医学の知識がないのに少女の体を弄んだ。幼い乳房の感触を楽しみ、十代特有の甘い臭いを堪能するため抱きしめた。


 少女たちは半裸の状態でずっと両手を頭に乗せて羞恥に耐える。この施設の外には自分達の生きていける場所がないのを知っており、毎日何人もの少女たちが泣いた。


 孤児院の職員たちは自分の欲望を満たすためと奴隷商とつながりがあるジンバイとマザーには誰も逆らえない。


 だから、大人達は皆地獄に堕ちおもちゃ箱の中で恐怖に震えていた。


「きょうはおままごとだぁ!!」


「わたしたちのりょうり、たべて!!」


 全裸で白い体の巨大な少女たちは笑顔だった。


 木組みの大きなテーブル席に座る大人達。孤児院の長で支配者の眼鏡をかけた男ジンバイとその隣にはシスター服を着たマザーが顔を青くしていた。


「いいんちょう!! さぁ、めしあがれ!!」


「まざーもいっぱいたべてぇ!!」


 ジンバイたちの目の前にあるテーブルの上には、人形用の小さな器があり中には泥と泥水しかなかった。こんなもの食えるはずがない、ジンバイは叫びそうになったがこらえた。


 ジンバイとマザーはまだ一度も死んでいないが、巨人の子供たちの機嫌を損ねて踏みつぶされ、壁に叩きつけられた者の姿を見て子供たちの機嫌を取ることにした。


「い、いやぁぁ…ありがとう。先生うれしいよ…けど、今お腹の調子が悪くて…そうだ、彼がすごくお腹が空いてるみたいだから。僕の分をあげるよ」


 犯罪組織である奴隷商と交渉する能力があり子供たちに角が立たないように、禿頭の老人を生贄にした。老人は何人もの少女の体を弄んだ偽医者だった。


「ひぃ、いえ…」


「あぁ!?」


 老人は首を横に振ろうとしたが、ジンバイがにらんだ。ここではジンバイとマザーが全てで、この二人に逆らえば奴隷商に売られる。施設の絶対的支配層は地獄でも有効だったそうで、ジンバイの器が老人の元に置かれた。


「じゃ、せんせいたべてぇ!!」


 老人は少女たちの体を触るため医者と身分を偽って胸や股間をまさぐり楽しんでいた。巨大な少女に泥食を勧められマザーからの威圧の視線を感じ、老人は覚悟を決めて泥を一口含みむせた。


「げほぉ!! ぶぉぉ!!」 


 口の中でヘドロが広がり椅子から倒れる。


「たいへん、せんせいがたおれた!! 


「わたしが、せんせいのからだをみてあげる」


「どうぐ!! どうぐ!!」


 泥を食べむせただけなのに巨大少女たちは老人が病気だと言い、人形用のベッドに手足を大きく広げた状態で拘束されてしまった。


「は、はなせぇ!! わたしは何もない!!」


「だいじょうぶ!! わたしたちせんせい、しんさついっぱいうけたから」


「いつも、わたしたちがされてるようにやる!!」


 老人の服を裁縫ハサミで切り裸にした。これまで少女たちにしてきた恥辱を受けることになったが、その痛みは比べ物にならない。


 胸の部分をピンセットでいじられ皮膚が破かれて血が流れ、股間にピンセットが迫り男の大切な部分をつまみ、ぶちぃと潰された。


「うぎぃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!! ぐぅがぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」


 体のあちこちをいじられても子供たちのお医者さんごっこは終わらない。


 他に悪い箇所があるかもしれないと、手足をハサミで切り落とし、胴体を上下に分け激痛に叫ぶ老人の体を解体していく。


「がぁぁぁぁぁぁ!!!!!! ぐげご、ぐげぇぇぇぇぇ!!!!!!!」


 老人の死の絶叫が続き大人達は恐怖から席から離れてしまった。


「ひぃ、いや…いやだぁぁぁぁ!!!!」


「私、もうむりぃぃぃ!!!!!」


 老人の絶叫を聞いて一人、また一人と大人達は逃げた。だが、巨人の子供たちには大人達の気配を感じる力があり、物陰に隠れるがすぐに捕まえられてしまう。


「もう、おとなしくして!!」


「いすにしばりつけちゃおう!!」


 子供たちの手にはハサミだけでなく針や糸が握られていた。逃げ出した大人達の手足をハサミで切り落とし、針と糸で傷口を縫い糸で椅子に縛りあげてしまった。


「いぎぃぃぃぃ!!!!!」


「あぁぁぁ、手が!!!!!」


「いだぃぃぃ!!!! いぃだぃよぉぉぉ!!!!!」


 これまで子供たちにたいした食事を与えず、召使のように使い性的に辱めてきた大人達は無残に泣きわめいた。そして、子供たちは手足を椅子に縫い付けられた大人達に泥をすくったスプーンを向ける。


「はい、あーん」


「たべないと、つぎはくびを…」


「ぎっちょん!!」


 ハサミをシャキンシャキンと音を立て動かし、恐怖から大人達はスプーンに食らいついた。口の中にヘドロが広がり、体が拒絶しても必死に耐えて胃の中に汚物が溜まる。


 生きたい、死にたくないと心から願うがそれは生前、自分達がいじめていた子供たちが思っていた事だった。


 信じていた大人に裏切られ、過酷な労働や貴族の性玩具として未来を閉ざされた苦しみから生まれた白い巨人の子供たち。彼らは大人達を使った死のお遊戯を永遠と繰り返すだけだった。


「いんちょうせんせい、おなかだいじょうぶ?」


「わたしがみてあげようか?」


「ひぃ!!」


 仮病でごまかしていたジンバイが震えた。生贄に出した老人はすでにハサミでバラバラになり、横目でその光景を見ていたジンバイは素手で泥を口に入れた。


「げぼぉ、ぐぇぇぇぇぇ…」


 子供たちを売って贅沢していた肉や酒で肥えた舌が泥をすぐに吐き出してしまった。


「やっぱりぐあいわるいのかな?」


「それじゃ、からだのすみずみまでみてみよう!!」


 吐き出したことで、体調が悪いと思われすぐに吐きだした泥も口に入れた。


 痛いのは嫌だ、死にたくない。ジンバイを動かしていたのは生へ執着。奴隷商へ売られた子供たちが死ぬまで持っていた苦痛をジンバイ自身が味わうことになる。


 ジンバイだけではなく、他の大人たちもこれ以上子供たちの機嫌を損ねてはいけないと泥をすする。


「よかった、みんなたべてくれてる」


「おかわりはいっぱいあるからね」


 巨大なバケツがひっくりかえり泥の山が出現した。


「あぁ、あ、あ…」


「うそ、だろ…」


「ぐぇ…あぐぅ…」


 泥まみれの大人達が恐怖と悲しみに震えた。子供たちはにこやかな笑みを浮かべ、逃してくれる様子がなく、ジンバイたちがこのおままごとを無事に終えるにはこの泥の山を食べきるしかなかった。

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