第52話 何故かいた主人公達とサークルミーティング

「この4名なら活動内容にも付いていけそうだと思い声をかけてみたら是非との事でした。因みにですが、顧問はこのシフロート・ド・マニュエルが責任を持って務めさせてもらいますぞ」


「あ・・・はい・・・」


 シフロート先生は『いいメンバーが集められました』みたいな雰囲気を出していますが、私としては『チェンジ』と言いたい所です。

 というか、グウェル殿下は私の婚約者だからと100歩譲ってまぁ解らなくもないのですが、主人公は何故入る気に?私、ストーリー進行を管理する為に結構あれな扱いを何回かしていたのですが?


 主人公の真意が読めずジロジロと見ていると、何か言わなくては!と思ったのか自己アピールをしてきました。


「あ・・・あのっ!体力とモンスターや薬草の知識には自信がありますっ!後・・・後は・・・そう!美味しい保存食の作り方とか知ってます!」


「は・・・はぁ?」


「ホッホッホ、この様にイリスさんはお勧めできる人材かと思い誘ってみましたぞ。それに彼女も殿下も、マシェリーさんともっと仲良くなりたいと申していたので丁度いいかと思いましてな」


「そ・・・そうですの。まぁ解りましたわ」


 シフロート先生の言った事はともかく・・・彼ら彼女らには恐らく、何か考えがあるのでしょう。しかしそれを今聞いたところで、素直に話すとは思えません。

 ならば今は警戒はしつつも人数合わせの為に入れておこう、私はそう考えて一旦それは気にしない事にしました。


「・・・ごほん。グウェル殿下にお付きの方2名、それにイリスさん、ようこそ『冒険者サークル』へ、歓迎いたしますわ」


「ああ、よろしく頼むマシェリー」


「「よろしくお願いします」」


「よろしくお願いしますっ!」


 取りあえず歓迎の挨拶をして彼らを迎え入れ、顔合わせをしていた教員棟の応接スペースからサークルに割り当てられた部室へと移動する事にしました。

 私達はシフロート先生の後に続き学園内を進み、サークル棟と呼ばれる一角へと辿り着きました。


「ほぇ~・・・ここも大きいですね~」


「何代か前の先祖が力を入れて作った国立の学園だからな。十分な教育が行き届く様に色々な所に余裕を持たせてあるらしい」


「ほぇ~・・・あっ!すいませんグウェル殿下っ!」


「よい。何ならもっと気楽接してもいいくらいだ」


「そ・・・そんな恐れ多い!」


「・・・っふ」


 サークル棟を見て主人公が『お前どこの萌え系世界からやって来た?』と突っ込みを入れたくなるような感じになったと思ったら、その次はグウェル殿下とラブコメみたいな感じのやり取りをしていい感じになっていました。


(いつからこの世界はジャンルが変わって・・・って元は乙女ゲームですからあながち間違いではありませんわね。・・・でもおかしいですわね?この時期はまだこんなに仲が良い筈ではないのですが・・・)


 ほぇぇ~、はわわぁ~と言いながらラブコメしている横で原作と現在の状況を比較していましたが、そんな事をしている内に部室へとついた様です。


「ここですぞ。丁度いい部屋が空いておりましてな」


「はわわぁ・・・凄いです・・・」


 その内語尾に小っちゃい母音が入ってくるのではと余計な事を考えてしまいましたが、割り当てられた部屋は主人公の言う通り凄くいい感じでした。


「作戦会議がしやすそうなテーブルとイス、簡易的なキッチン、装備やアイテムの保管スペースその他諸々・・・。とてもいいですわね」


 割り当てられた部屋は、何故こんな部屋が空いているのかと疑問を呈するような設備が整った部屋でしたが、使っていいと言うのならば何も聞かず使うべきでしょう。


「ええ、本当に幸運でしたな。さぁ、入って確かめて下さい」


 シフロート先生に促され、私達は部室の中へと入り、部屋に備えられた設備を一通り見ていきます。

 そうして大体見たかなとなった時、シフロート先生が全員をテーブルと椅子の方へと呼んできたので、私達は大人しく椅子へと座りました。


「全員座りましたな。それではこれより自己紹介・・・は全員同じクラスでしたな。という事で自己紹介は省き、これからの活動についての話し合いを始めようかと思うのですが、よいですかな?」


 どうやらサークルの具体的な活動についての話し合いをしたかったみたいです。確かに出来たばかりのサークルですから必要な事でしょう。


「「「はい」」」


「よろしい。といっても、このサークルはマシェリーさんが望んで設立されたサークル、ですので私の方からは極力手を出さない様にします。なのでマシェリー部長、ここからの進行を任せてもよろしいですかな?」


「ええ、勿論ですわ」


 シフロート先生は本当に良い方の様で、活動内容については私に任せてくれる様でした。・・・まぁ任せてくれなかったら任せてくれるように仕向けていたのですが。

 ともあれ、シフロート先生に任されたので、そこからは私を中心に話し合いを進めて行く事となりました。


 ・

 ・

 ・


 まず後々の展望についての願望を話し、それから直近での活動を決定、そしてそれの成果により次の内容を決めていく、その様に話は進み・・・


「・・・・・というような感じで決定となりますが、よろしいですわね?」


「「「異議なし」」」


「では明日より放課後こちらに集まり情報収集や準備、週末にフィールドダンジョン探索となりますわ。欠席する場合は極力連絡を入れてくださいまし」


 そうして決まったのがフィールドダンジョン『王都周辺の草原1』と呼ばれる場所の探索でした。

 この『王都周辺の草原1』・・・長いので草原1とだけ呼びますが、これはゲームでもあった場所で、『草原のある一定の地域が魔力によって歪み、その結果ダンジョンになった場所』という設定である『フィールドダンジョン』と呼ばれる場所で、ゲームだと良く最初のレベル上げに使われる、馴染みのある場所でした。

 正直私達のグループからすれば余裕を持って攻略できるような場所なのですが、今回は実力が良く分からない方達が付いて来るので、その方達の実力を見極めると言う意味もありこの場所を選んでみました。


「という事で、今日はこれで解散し様と思うのですがよろしいですかシフロート先生?」


「はい。良いと思います」


「ありがとうございますわ。では皆様、今日の活動はこれで終了ですの、気を付けてお帰り下さいませ」


「「「はい」」」


「あ、私は通常業務もありますので毎回来れるかは解りません。ですが、いなかったとしても活動は行ってくれても構いませんぞ。しかし外で活動を行う場合は連絡だけはしてください」


「「「はい」」」


 今日話したい事も終わったので解散を告げると、シフロート先生から最後に、少しだけ諸注意を言われます。

 しかしそれは当たり前の事だったので大人しく了解をし、今度こそ解散となりました。


 ちょっと話が長引いたので時間も遅くなっていたので、私達のグループも寮へとつくと直ぐに解散をしてしまいます。


「じゃあ皆様、また明日。ごきげんよう」


「「「御機嫌よう」」」


「はい、皆さんまた明日!おやすみなさい!」



 挨拶だけして別れると私とノワールは部屋へと帰り、何時もの日課や食事等をこなした後、眠りにつきました。



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 マシェリーより:お読みいただきありがとうございますわ。

 「面白い」「続きが読みたい」「ほぇぇ~?はわわっ!」等思ったら、☆で高評価や♡で応援してくだされば幸いですわ。

 ☆や♡がもらえると はわわぁ!私嬉しいですわぁ!


 マシェリーの一口メモ

 【フィールドダンジョンは時空が歪んでいて、小さな小屋だと思って入ったらとても大きな城だった、みたいなゲームによくある空間となっていますわ。】

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