第53話 冒険者サークルの初実戦
サークルが出来てからというモノ、私の暇な日常は終わりを迎えていました。
「いよいよ明日が本番ですわね。あ、サマンサ、テントは用意しましたの?宿泊予定はないですけど一応持っていきますわよ」
「忘れたてたわ!直ぐ調達してきます!」
「マルシア、食料の手配は?」
「問題ありません。日持ちするモノは既に姐さんに、日持ちしない物は明日朝一で届くようになっています」
「よろしいですわ、じゃあシーラ・・・・・・」
と、この様に物資の準備や、行く予定の草原1に出て来るモンスターの情報を調べたり、それと戦うための作戦決めだったりと日々充実した時間を過ごしていたのです。
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そして翌日、待ちに待ったフィールドダンジョンへ行く日です。
この日はいつもより少しだけ早く目を覚まして念入りに体をほぐす事から始めました。
それが終わるとエネルギーに変わりやすい食事を軽めに取ったりして朝の支度を終え、着替えも何時もみたく制服ではなく用意していた戦闘用の服へと着替えました。
最後に身に付けて行く装備を確認した所で、ノワールに声をかけて部室へと移動しました。
「あら、貴女はこんな日でも早いですのねサマンサ」
「あ、おはようございますお姉様に姐さん。まぁウチの家は商いやっとりますからね、何事も迅速に事を進めたくなるんです」
「流石ですわね。っと私達も手伝いますわよノワール」
「畏まりました」
部室の扉を開けると既にサマンサが来ていて物資などのチェックをしていたので、私達もそれに加わります。
そんな事をしていると人も集まり出し、残るはイリアスとイリスのみとなりました。
「すいません、お待たせいたしました!」
ですが言っている内にイリアスが来て
「はわわぁ!すいません遅くなりました!」
イリスも来ました。
「これで全員揃いましたわね。ノワール、最後のそれも収納してしまってくださる?」
「はい」
「ありがとうですわ。さてシフロート先生、全員集まった様なので出発いたしますがよろしいですわね?」
「勿論ですぞ。あぁ、でも出かける前に各々の装備チェックを忘れずに。それとフィールドダンジョンに侵入する際にもね?」
「解りましたわ。各々方!2人1組で装備のチェックをしてくださいまし!出来た方から報告を!」
「「「はい」」」
全員揃ったところで最終チェックをし、それが終わるといよいよ・・・
「出発ですわっ!」
フィールドダンジョン『王都周辺の草原1』へと出発です!
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「という訳でやってきましたわ草原1」
「マシェリーさん、いきなりジャンプをして何をしているんですか?」
「あ・・・あー・・・準備運動ですわ」
「成程、確かに必要ですな」
よくテレビである様な『ジャンプしたら目的地へワープ』みたいな演出を自分1人だけやっていたら、シフロート先生から変な目で見られてしまいました。
昔から私と一緒にいる4人は慣れたモノでしょうが、そうでない人も沢山いるのを浮かれていて忘れていた様です。気を付けなければ!
とまぁそれはともかく、草原1に着いたので再度装備をチェックし、いつでも中へ入れる準備を完了させます。
するとシフロート先生から入る前に話があるとの事だったので、聞く事にしました。
「えーみなさん、中に入るといよいよ実戦です。私も後ろから付いて行きますが、気を抜かない様にしてください。何があるか解りませんからね」
「「「はい」」」
「結構です、それではここからは部長にお願いいたしますぞ?」
シフロート先生は最後に気を抜かない様にと念押ししたかった様で、それが終わると私に場を譲りました。
「解りましたわ。では皆様、予め決めていた陣形で進みますわよ!」
「「「了解!」」」
「では・・・ペイル様、侵入してください」
「了解した」
場を譲られた私は予めミーティングで決めていた通りに陣形を組ませると、先頭に立った方へとフィールドダンジョンへ侵入する様に声をかけます。
(久々の実戦ですわね。鈍ってないといいですけど・・・。それと現在の殿下と主人公の強さ・・・見せてもらいますわよ)
心の中でそんな事を考えつつ・・・私はフィールドダンジョンへと入って行きました。
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「うらぁ!いてまうぞっ!」
「サマンサ、言葉遣いが汚いですよ。もっと静かに倒しなさい」
「うふふ・・・そういうマルシアは倒し方がうるさいです・・・爆発系は控えるべきです・・・」
「皆さん凄いですねぇ・・・私は未だ魔法が上手く使えないので剣を振り回す事くらいしか・・・」
「ふえぇ・・・それは私も同じですよぉ・・・出来る事と言えば有り余る体力で武器を振り回す事くらいしか出来ません・・・」
(んんん、マルシア達3人は一緒に鍛錬もしていたからわかりますが、イリアスとイリス強くありません?というか脳筋型ビルド?)
草原1に侵入して半日程経った所でボス級の魔物に出会ったのですが、マルシア達3人は私と鍛えた魔法や武術で対応し、イリアスとイリスは剣と盾を持ち応戦していました。
というか、主人公は未だ解らなくもないですが、モブの筈のイリアスが以外にも活躍しています。・・・平民だから力仕事で鍛えられているのでしょうか?
そんな事を考えていると、戦闘に参加していない殿下達3人と私+ノワールにシフロート先生が笑いながら話しかけてきました。
「うぅむ、彼女達は強いですな。そのせいですっかり途中から殿下やマシェリーさんの出番がなくなりましたな。はっはっは」
「おほほ・・・そうですわね」
「ああ、すっかり僕らの出番がなくなってしまった。・・・と言うか彼女達強いな」
現在信号機トリオと平民コンビでボス達と戦っている訳ですが、実はこの状況は入ってから3時間ほど経った後から続いていました。
最初はちゃんとミーティングで決めた通り陣形を組んで全員で戦闘に参加していたのですが、どうやら過剰戦力だったらしく、途中から人員を半分ほどに減らしたのです。
「んん・・・でも最後くらい私も暴れたいですわね」
ロマンスのシステム上だと『戦闘に参加しないと経験値がもらえない』となっている為、出来れば私も戦闘に参加したい所です。・・・それに、偶にはのびのびと動きたいじゃないですか。
なのでぽつりと暴れたいと呟いたのですが、それが聞こえたのか男性方はギョッ!?としていました。
「マシェリーさん、暴れるとは穏やかではないですな」
「うむ。暴れるとはちょっとな・・・」
『『コクコク』』
「あ、いえ、別に本当に暴れるわけではありませんわよ?言葉の綾ですわ」
普段の学園での態度でついたイメージからか、私の『暴れる』という単語で過剰な想像でもしたのでしょうが、私を一体何だと思っているのでしょうか?
「大丈夫でございますお嬢様、先生方も解っておられますとも」
「・・・んん・・・いえ、そうですわね」
ノワールがどちらに向けてかフォローを入れて来たので、取りあえずそれに乗っかると、ノワールは突然手をポンと叩きました。
「お嬢様、暴れる云々はともかくとして、最後は部長らしく手を出すのもありなのではございませんか?」
「ふむ・・・成程。ええ、確かにそうですわね」
流石はノワール、やはり私の味方でした。私はそれに全力で乗っかる事にして、「今のままでも余裕でしょうが、部長ですので!決めてきますわ!」と、暇そうに戦いを眺める殿下達を置き去りにしボスへと飛びかかっていきました。
~そして数分後~
「オーッホッホッホ!やりましたわよ!」
「はわわっ!ナイスです!マシェリー様!」
「貴女もナイスですわよイリス!オーッホッホッホ!」
「やはり暴れているではないか・・・大丈夫なのか我が婚約者は・・・」
と、私の戦いっぷりに慄くグウェル殿下を余所に、何故か私は主人公とハイタッチを交わしていました。
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マシェリーより:お読みいただきありがとうございますわ。
「面白い」「続きが読みたい」「たたかうじょせいはうつくしい」等思ったら、☆で高評価や♡で応援してくだされば幸いですわ。
☆や♡がもらえると 私のナックルをプレゼントいたしますわ。
マシェリーの一口メモ
【参考までに言っておくと、王都周辺の草原1の推奨レベルは1~5くらいですわ。超初心者用ですわね。】
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