第50話 暇を持て余した、お姉神様の戯れ
打ち上げ会をしている時に発生したサブストーリー、それに関わる『ある人物』は随分せっかちな気質を持っているのか翌日には使いを送ってきました。
直ぐ会いたいとの事だったので、その人物と接触をして無難にファーストコンタクトを済ませ、後々の布石を打ちました。
そんな事があった日の翌々日、月曜日の放課後の事です。
「暇ですわ・・・」
私は自室の椅子にダラーんと座りながらぽつりと呟きました。
「「「「「!?」」」」」
「あ・・・」
私の部屋に集まっていたいつもの面々に呟きを聞かれ、自分達といるのがそんなに暇なのかと誤解を与えてしまいました。
凄く落ち込む面々にフォローを入れて何とか誤解を解き、暇だと言った理由を話します。
「私が暇だと言ったのは、夏休みに入るまで特にやる事が無いからですわ。貴女達とこうして集まってお喋りするのもいいのですが、もうちょっと刺激もほしい所なのですわ」
「成程・・・。新入りのイリアスはともかく、私達は長い間ずっとお姉様と過ごしていましたしね。特にここ2年ほどはほぼ毎日一緒に居ましたし」
「あー、確かに。うちらずっと一緒やから話す内容も被ってくるしな?」
「ふふ・・・確かにそうですね・・・。私達・・・ズットモですもの・・・ふふ・・・」
「私はまだまだ皆さんと付き合いが浅いので色々新鮮ですけど・・・確かに皆さん『あれ』とか『それ』とか、凄い時だと目を合わせるだけで解りあっていますもんね?通じ合えると話が早く進む分、話が終わるのも早くなりますよねぇ」
「まぁウチら、お姉様と一緒におるだけでもええんですけどね?見とるだけでもご飯三杯はいけますし・・・」
「それはどういうことですの・・・」
最後に若干意味不明な事を言われましたが、私の言わんとする事は解ってもらえたみたいです。
勉強や鍛錬等、やる事はやっている訳ですが、一番時間をかけたいし一番時間がかかる鍛錬が、今の時期あまり大っぴらにしたり激しくしたりできないので時間があまるのです。
「んー、どうしたものですわ」
となると、ロマンスの知識を駆使してイベントに介入でもしたい所ですが、今の時期は特に手を出せるモノもなかったりします。
学園内での悪役ムーブや主人公へのちょっかいも、あまりやりすぎると不具合が生じてしまいますし、本当に今はこうして部屋でお茶をシバきつつだらだらとしているしかないのです。
「でも流石にそれでは時間が無駄すぎますわ・・・」
「あ・・・それじゃあマシェリー様、勉強でもしませんか?ちょっとわからないところがあって・・・」
どうしようかと考えていると、イリアスがそろりそろりと手を上げながら勉強を教えてほしいとお願いしてきました。
そのお願いに特に異論はなくやる事も無かったので、それならば全員で勉強会でもしようかと提案をしてみると、イリアスの他も「賛成」との事だったので勉強会をすることになりました。
「今頑張っておけば後々が少々楽になるし、これが正解かもしれませんわね」
「うちらはお姉様と姐さん程頭も良くないし、正解ですよお姉様。それに正直、先生に教えてもらうより、お姉様と姐さんに教えてもらう方がわかりやすそうやし?」
「うふふ・・・たしかに・・・です・・・」
サマンサとシーラにそんな事を言われて満更でも無かったのか、姐さん・・・ノワールが、いきなりアイテムボックス内から何かを取り出し設置し始めました。
どうやらそれはホワイトボードのようで、それを設置したかと思うと次は椅子や机を並べ始めます。
そして・・・
「サマンサ様、シーラ様、ありがとうございます。不肖このノワール、先生役を務めさせていただきます」
何時の間にかかけていた伊達眼鏡をクイッとしながら、すっかりその気になったノワール先生の授業が始まりました。
・
・
・
「暇ですわ・・・」
「「「「えぇっ!?」」」」
「流石ですお嬢様。ならば最後に2人で特別授業をするといたしましょう。ささっ・・・ベットの方へ・・・」
「・・・それはいいですわ」
ちょっとだけ考えてしまいましたがノワールの特別授業とやらを却下し・・・私は座っていた机につっぶしました。
あれ?勉強は?と言われる方がいるかもしれませんが・・・終わっちゃいました。
え?何を言っているか解らない?私も解りません。いや実はですね・・・私は自分のスペックを見誤っていました。
この体、記憶力が抜群すぎるのです。
(うーん・・・ハードとソフトが見合ってませんわ。まぁこれまでも予習復習がおかしいほどに早く終わっていたから何となくわかっていましたけど・・・。でも私について来るノワールも大概すごいですわよね?)
薄々解ってはいましたが、何事にも抜群の才能を見せる
ですが勉強位ならば私でもその能力を大体使えてしまうので、その結果『1年分の学ぶべき範囲終了』という結果になってしまったのです。・・・まぁ1週間程はかかりましたがね?
「やはりお姉様は神・・・」
「流石すぎるでお姉様・・・いや、お姉神様?」
「うふふ・・・お姉神様・・・拝んでおきましょう・・・」
「近所の人たちにマシェリー様の似顔絵でも配ろうかなぁ・・・ご利益有りそう」
何故か神にされていますが、まぁ優秀なマルシア達でも1週間で教科書の半分も進んでいないのです。気持ちは解ります。
「まぁこの後もぼちぼちですが勉強は続けるとしましょう?」
「「「「はい」」」」
「で、それはそれとしてまた暇になりましたわ。何か案がなくって?」
2年生分の教科書をどこかからか調達して来てもいいのですが、そこまで詰め込む必要もないので次なる案を求めてみます。
もし出ないならばお喋りや室内で出来る鍛錬でもしようかと思っていたのですが、またしてもイリアスが手を上げて案を出してくれました。
「サークル活動とかはどうでしょう?」
「サークル活動ですの?」
「はい。あ、やっぱり悪役ムーブとやらで駄目なんでしょうか?」
「いえ、そんなことはありませんわよ?寧ろ有りかもしれませんわ」
ウッカリ存在を忘れていましたが、学園にはサークル・・・部活ともいいますが、それらが存在します。
勿論ロマンス・・・ゲームにもあって、選ぶものによってはイベントが起こったりもしました。
(イベントを起こすつもりは有りませんが、活動内容によっては気軽に学園外へも行けるので、丁度いいかもしれませんわ)
普段は外出届を出したりして許可を取る必要があるのですが、サークル活動ならばその制限も緩くなったりします。
なのでそれを活用して外へと出かけ、鍛錬やアイテム集めをするのもいいかもしれません。
「ええ、そうですわね。ありありのありですわ!イリアス!」
「はい?」
「10マシェリーポイントを差し上げますわ!」
「はぁ・・・?」
よくよく考えるととってもいい考えな気がしてきたので、その案を採用する事にしました。
なので早速サークルへ入りに出かけ・・・る事はせず、先ずは下調べです。一応ロマンスでどんなサークルがあるのかは知っていましたが、念の為にノワールへと命じてどんなサークルがあるのかを調べさせようとしましたが、そこは流石のノワール、アイテムボックスから学園のサークル一覧リストを取り出して渡してきました。
「ノワールには20マシェリーポイントですわ。どれどれ・・・」
学園内にあるサークルの一覧リストを見ると、ロマンスと変わりがありませんでした。
なので頭の中からロマンスの知識を引き出し考えますが・・・
「んー、んー・・・」
正直、どのサークルに入っても微妙な気がしてきました。
『ダンジョン探索サークル』や『魔法戦闘サークル』等良い感じのもあるのですが、ロマンスの知識から引っ張り出した情報によると、入ったばかりだと制限等も多く、結局自由にやれるのが2年後3年後くらいになりそうだったのです。
「活動内容自体はいいのですが、制限が邪魔ですわねぇ・・・」
「制限なんてあるんやなぁ」
「ええ。1年生は実戦は出来ず知識をつけたりダミーを使った特訓、先輩方のサポート等が主になる筈ですわ」
「「「「へぇ~」」」」
「ならお嬢様、いっそ新しいサークルを作ればよろしいのでは?」
「・・・!それですわっ!」
どうしようかなぁと思っていた所に、ノワールからナイスアイディアを頂きます。
無いのなら 創ってしまおう サークルを!です!
「ノワール!早速申請しに行きますわよ!」
「畏まりました」
ウキウキになった私はノワールを連れて職員棟へと急ぎました。
・
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「サークルメンバーになったグウェル・フォン・ファースタットだ。よろしく頼む」
「同じくペイル・フォン・クロスブレーです。よろしくお願いします」
「同じくサミュエル・ド・ラッセルです。よろしくお願いしますね」
「私はイリス・ウェンディゴブルーですっ!よろしくお願いしますっ!」
・・・んんっ?
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マシェリーより:お読みいただきありがとうございますわ。
「面白い」「続きが読みたい」「お姉神様!?」等思ったら、☆で高評価や♡で応援してくだされば幸いですわ。
☆や♡がもらえると アナタのお姉神様になってさしあげますわ。
マシェリーの一口メモ
【ちなみに学園は6年制ですわ】
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