第49話 サブストーリーのフラグオン

 待ち人来る、それは本来うれしいモノなのですが生憎と今は楽しいお茶会兼打ち上げ、どうした物かと考えたのですが・・・


「んー、済みませんわ皆様、ちょっとだけお客様の対応をするために中座いたしますわね」


 考えた結果、少し時間を割いて対応をすることにしました。

 現在は楽しいお茶会の最中ではありますが、来客たちの性質を考えると、ここで逃すとこれ以降は接触してこないような気もするのです。


「パルフィ、お客様をあちらの応接スペースへ案内しておいてくださる?私も直ぐ向かいますわ」


「畏まりました」


 軽く小道具を用意してから行こうと思った為使用人へとそう指示を出し、先に応接スペースへ来客を向かわせます。

 そうしてお茶会を中座しようと立ち上がった時、サマンサが声をかけてきました。


「お姉様、うちらも行った方がええですか?向こうも人数おるんでしょ?」


 わざわざ全員で対応する事も無いかなと思っていたのですが、折角の提案だったので付いて来てもらう事にしました。

 といっても、付いて来てもらった所で特にやる事は無いとは思うのですが・・・。まぁ見栄張り的な感じでしょうか?


 そんなことになったので小道具を用意してから全員で応接スペースへ移動すると、待っていたプライデン何某さんが立ち上がって礼をしてきました。

 しかし私は現在悪役令嬢モード、プライデン何某さんへと視線を送ることなくソファーへと座り、そこで漸くプライデン何某さんへと視線を向けました。


「ようこそいらっしゃいました、私がマシェリー・フォン・オーウェルスですわ。何様ですの?」


「初めましてオーウェルス様、私タカエルール・ド・プライデンと申します。噂に名高きオーウェルス家の至宝、マシェリー様に合えた事光栄のきわ「無駄話はよろしくてよ?どうでもいい話なら直ぐにお引き取り願える?」


 タカエルールと名乗った方は丁寧にあいさつをしようとしていましたが、私はそれをぶった切ります。・・・性格悪い悪役令嬢ならこんな感じでいいですよね?


「も・・・申し訳ありません、オーウェルス様・・・」


 効果は抜群なのか、タカエルールは少しだけこめかみをピクピクとさせていました。

 良い感じですわと思いつつ、私はそのまま話を続けていく事にします。


「許しますわ。で、何用ですの?」


「はい、容姿端麗で家柄も良く、学業の成績もよろしいオーウェルス様に私の主から手紙を預かっております」


「ふぅん・・・」


「こちらです」


 解ってはいましたが、知らなかった演技をしつつタカエルールに対応をします。すると予想通りに手紙を出したので、サマンサに目配せをします。

 するとサマンサは目配せの意味を理解したのか、タカエルールの傍へと行き片手をだします。


「よこしや」


「・・・どうぞ」


「おおきに、はいお姉様」


 サマンサは横柄な態度でタカエルールから手紙を受け取り、私に渡してきました。それに対して勿論タカエルールはピキっていましたが、この後の展開を予想してか黙っている様でした。


「ふむ・・・成程・・・」


 私は受けとった手紙を読み、やはり予想内の事が書いてあったことを確認しました。

 最後まで読むと、『返事を手紙を渡した者へと返してくれ』とあったので、私は用意した小道具を使いその場でサラサラっと書き上げます。

 書き上げると封筒へとそれを入れサマンサへと渡します。


「はいな。どうぞお納めください」


「ああ」


「流石に封蝋まではしませんでしたが、よろしかったですわね?」


「はい、十分です」


 手紙を読んでから態度が少し変わった事にタカエルールは少し満足そうにしながら、私からの手紙を受け取るともう用は済んだとばかりに立ち上がりました。


「急いで返答を届けるので私はこれで、また追って連絡をすると思います」


「解りましたわ。パルフィ、お客様をお送りして」


「畏まりました」


 私も手紙の返答を書いたことによりもう用はなかったのでさっくりとタカエルールを返し、出て言ったのを確認するとお茶を飲んでいたテーブルへと戻ります。

 すると空気を呼んで見事な対応を成し遂げてくれたサマンサが質問をしてきました。


「お姉様、わざわざ対応したって事は、あいつらって解っとったんですか?あ、うちの感じあれでよかったんですよね?」


「まぁそうですわね。対応は完璧ですわよサマンサ」


 手紙は他の人にも見える様に読んでいたし、返答も隠さずにその場で書いた為、タカエルールが誰の使いでここにやって来たのかを知ったサマンサは、私が元からそれを知っていたので対応したのかと聞いてきました。

 そこで何故知っていたのか?とまで言われると、適当な嘘を言わなければならなかったのですが・・・


「流石お姉様・・・何でも知っててかっこええですわぁ・・・」


「「まぁお姉様だし何でも知ってますよね」」


「マシェリー様すごっ・・・」


 私を神か何かだと思っている少女達は、何故知っていたか等どうでもいい様でした。

 一応言い訳も考えてはいたんですがね・・・


 とまぁそれはともかく、私は先程の事に関して色々知ってもらっていた方がやりやすい筈なので、後ほど皆様に詳しく説明をすると話しておきました。

 皆様は『勿論協力させてもらいます』と乗り気だったので、ちょっと計画を練って面白い感じになる様にした方が良いのでしょうか?


「まぁ後で考えますか・・・。今はとにかく、中間考査後の打ち上げの続きですわ!パーッと飲みますわよ!」


「「「「「おー!」」」」」



 今は楽しい打ち上げ中。先程の事は一旦忘れ、楽しみながら飲み明かす事にしました!・・・お茶をね?



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 マシェリーより:お読みいただきありがとうございますわ。

 「面白い」「続きが読みたい」「飲み明かす!お茶を。」等思ったら、☆で高評価や♡で応援してくだされば幸いですわ。

 ☆や♡がもらえると アナタにも美味しいお茶を振る舞いますわ。


 マシェリーの一口メモ

 【応接スペースがある寮の部屋?と思うかもしれませんが、貴族寮は基本一部屋一部屋が大きく、上位貴族の部屋となると『どこのロイヤルスイート?』と思うほど広い部屋となっているのですわ。】

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