第48話 地道に活動お嬢様
「ふぅ~・・・今日もやり遂げましたわぁ~」
「ナイスな罵り具合でございましたお嬢様。出来れば後で私にもしてほしいくらいでございます」
「・・・これで勘弁してくれませんこと?」
ノワールがちょっとアレな事を言ってきたので代わりに頭を撫でてあげると、どうやらそれでもよかったのか満足そうにしていました。
少しの間撫で続け、もういいかなと撫でるのを止めると、ノワールは態度を一転させ真面目になり私に問いかけてきます。
「しかしもう1か月半程ですか、まだ続けていくのですかお嬢様?」
その問いに私は頭の中からロマンスに関する情報を引き出し、少し考えてから答えました。
「ん~、もう少しこのペースで続けますわ。そうすればちょっとしたイベントが起こる筈ですの」
「左様でございますか」
「ええ」
(確か、設定資料集によると中間考査後位でしたものね・・・恐らくこれまで行ってきた様な行動に加えて中間考査でいい成績を取れば、あのイベント関連の事が起こる筈・・・)
現在の日付はクラスにて自己紹介があった日から1か月と半月程経った5月中旬、この一か月半私はひたすらに悪役令嬢ムーブを繰り返していました。
それはバイクを盗む事から始まり、夜の校舎で窓ガラス壊して回ったり・・・はしていませんが、学園内で権力を振りかざしたり、他人にネチネチと絡んだりを繰り返していました。
これらは後々の動きの為にやっている事ですが、その成果と呼べるイベントの1つがこの後に起こる予定になっていました。
そのイベントは後々のサブストーリーに繋がってくるモノで、本来の主人公側だと、発覚してサブストーリーとして関われるのがもっと後になる予定のモノなのですが・・・
(そのイベントに私が介入して報酬横取りですわ!)
私はそのサブストーリーを壊す気満々でした。
ですがご安心ください。このサブストーリーは無くなったところで何ら主人公側に影響がない筈なのです。
(あまり思い出したくないですが、あのカラーズと一緒の稼ぎクエストですものね、ストーリーの流れには問題が出てこない筈ですわ。問題は出ないでしょう!多分!)
私がこのイベントを解決すると恐らくイベントの当事者である生徒数名には何らかの罰が下る筈なのですが、全く関係もなく知らない方からすると『あ、あの人達学校やめたんだ』くらいの感覚にしかならないので、問題は出てこない筈。
だからこそ私はこのイベントを自分でこなす気になったのですが・・・
(うーん、でもいざゲームであったイベントを実際に自分でやるとなると緊張しますわね。まぁでも、失敗しても実家の権力でちょちょいとできますし、大丈夫ですわね)
少しあくどい事を考えてしまいますが、イベントの内容を思うと実家の権力を振りかざしても大丈夫だろうと感じたので気にしない事にして、ノワールを呼びます。
「まぁいいですわ。それよりノワール、予習と復習を今日もやりますわよ」
「畏まりましたお嬢様」
それらのイベントの事を考えていたわけですが、私の考え通りならば中間考査でいい成績を取らねばならぬと言う前提条件があるので、私はその為の勉強を始める事にしました。
外では暴虐武人に振る舞いますが、知らぬところでは努力をせねばならないのです。
「まぁこれも魔王への一歩と思えば・・・つらいものはつらいですわね」
「ですが努力した分の成果は無駄にはなりませんお嬢様。あ、そこは間違っております」
「あら・・・」
千里の道も一歩から、いえ、この場合は塵も積もれば山となる?どちらにせよ、コツコツ努力するしかないのです。
私はその後も、イベントと中間考査の為に頑張りました・・・ええ、それはもう色々と・・・。
・
・
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「そしてようやく、その成果が実りましたわっ!オーッホッホッホ!」
「おめでとうございますお嬢様」
「流石ですねお姉様」
「ほんまやで、殿下も凄いけど流石お姉様やわ」
コツコツと悪役ムーブを繰り返しながらも勉強の予習復習等を頑張った結果、私は中間考査にて無事最高の結果を治める事に成功しました。
順位としてはグウェル殿下と並ぶ1位タイで、点数は満点です。
(やりましたわ!これで恐らく何らかのアクションがある筈ですわ!)
恐らくこれで、ずっと狙っていたサブストーリーに関連するイベントが近日中に起こる筈なので、ちょっと肩の荷が下りた気がして気が抜けてしまいます。
すると若干視界等も開け、そこで初めて自分以外の成績を確認していないことに気付いたので、仲間の成績を確認する事にしました。
「どれどれ・・・あら、貴方達全員いい成績取ってますわね?」
「ふふふ・・・漸く気づいてくれましたかお姉様・・・」
「うちらもお姉様に恥かかしたらあかん思て頑張ったんですよ?」
「ん~!偉いですわ!」
「「「「「へへへ・・・」」」」」
ノワールは優秀なのでいい成績だとは思っていましたが、意外にも信号機トリオとイリアスも上位にランクインしていました。
聞くと、4人でこっそり集まって勉強もしていたそうです。
「うんうん、マシェリーポイントを上げても良いのですが、代わりに美味しいケーキとお茶を差し上げますわね?という事で、部屋に戻って打ち上げでも致しましょうか?」
本日は中間考査の成績発表もあり半日授業となっていたので、私はそんな提案を皆にすると、即座に賛成の声が返ってきます。
因みにこの賛成の声の中には、この2か月余りで私達のグループに馴染んできたイリアスも含まれて・・・
「マシェリー様について行くと美味しいものが食べれるから最高ですー!」
この様に、随分いい感じに遠慮が抜けて来て、周りからはすっかり悪役令嬢軍団の一員と思われているほどでした。
まぁ悪役令嬢軍団の一員と思われている原因は私達と仲良くしているからだけでなく・・・
「ええ、存分に食べるといいですわ。それじゃあ早速部屋に行きますわよ!」
「了解やお姉様!おらぁ!道空けぇや!お姉様が通るんじゃ!」
「お・・・おらおらー。マシェリー様が通るぞー。どけどけー」
この様にチンピラムーブもしているせいでもありますが!
「オーッホッホッホ!退くのですわ愚民共!私が通りますわよ!」
まぁそれはともかく、私達は悪役ムーブを継続しながら部屋へと戻る事にしました。
部屋へと着くと先ず昼食を取ることにして、人数分の用意をしてもらいます。
急遽増えたお客様ですが、この2か月ほどの間に何回も同じような事があったので使用人達は慣れた者なのか、見越していたかのように直ぐに人数分の昼食が用意されました。
「ありがとうですわ。それじゃあ皆様、頂きましょうか?」
「「「「「はい」」」」」
出来る使用人達に軽く礼を言った後、食事の挨拶をし、私達は昼食を頂くことにしますが、この後にゆっくりお茶会もすると伝えてあったので昼食の量は控えめになっていました。
なのでさっさーと食べ終わり、そこからお喋りタイムへと突入しました。
そうやってケーキやお菓子も食べつつ楽しい時間を過ごしていたのですが、途中でそれを邪魔する無粋な音が扉から聞こえてきました。
『コンコン・・・』
とはいえ、荷物が届いた程度ならば使用人達が済ませてくれるので、直ぐに扉の方から意識を外しお喋りを続けます。
ですがどうやら荷物ではなく来客だった様で、使用人がそれを伝えてきます。
「お嬢様、お客様がおいでですが如何なさいましょう?プライデン家ご子息と他数名様なのですが」
「あら・・・予想外に早かったですわね」
「申し訳ございません、ご予定がお有りでしたか?」
「ああ、大丈夫ですわ。予定にはありませんわよ」
「そ・・・そうですか?」
来客についての受け答えで使用人を少し混乱させてしまいましたが・・・どうやら待っていた方達が来た様でした。
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マシェリーより:お読みいただきありがとうございますわ。
「面白い」「続きが読みたい」「白鳥系悪役令嬢?」等思ったら、☆で高評価や♡で応援してくだされば幸いですわ。
☆や♡がもらえると 地道に動いているところを見せて差し上げますわ。
マシェリーの一口メモ
【意外と悪役令嬢する為には努力が必要ですのよ?見栄張り然り、誰かを陥れる参謀術中然りね】
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