第21話 無事に終わったパーティー
「フレッド様、今日はありがとうございましたわ」
「おう、俺も良い暇つぶしになった。ありがとなマシェリー。じゃあまたな」
「はい。また会えることを楽しみにしております」
現在の時刻は20時程でここはパーティー会場出入り口、見送りはいらないと言われたので、今最後のお客様である赤の魔王フレッドが去っていった事で無事パーティーは終了となりました。
「ふぅ・・・漸く終わりましたわね」
「お疲れ様でございますお嬢様」
「貴女も・・・いえ、貴方達もね」
私はノワールから少しだけ話を聞くとパーティー会場の中へと入り、会場を片付けようとしていた使用人達に向けて喋りかけます。
「貴方達今日はお疲れさまでしたわ!ノワールから今日はお父様方ももうお休みになられたそうなので業務はそれほど急ぐことがないと、そう聞きましたの。ですので先に休憩を取ってから片付けでもよろしいですわ!幸いこの会場は休憩するのにもってこいですし、この会場の料理等を食べて休憩を取るといいですわ!」
何故か家の使用人達は悪役貴族家に相応しくない真面目な使用人達ですので、『誰も居ないからパーティー会場で勝手に休憩しちゃえ』とはならないのです。
なので労いの為に、残った豪華なパーティー料理でもつまみながら休憩していいと、私はそれだけ言うとクールに去る事にしました。
・・・まぁ、折角休憩するにしても、私が居たら休まらないと思ったから去るだけなのですが。
「ノワールはどうせ私付きでこのまま私の部屋ですわよね?」
「はい」
「ならちょっとだけお料理を会場から持ってきてくださる?私も少しだけ食べたいですわ」
私は最後まで接待を続けていたので、実はあまり料理が食べれていませんでした。
なので他の方が美味しそうに食べていたパーティー仕様の料理を、私も食べたいなと思ってノワールにそう頼んだのですが、そこは流石の出来る女ノワール、抜かりはありませんでした。
「ご安心ください。すでにアイテムボックスに収納してございます。なのでこのままお部屋へと向かいましょう」
「流石ですわね。それではそうしましょうか」
「畏まりました」
あの料理を一番初めに食べて、次はあれかしら・・・等と、パーティー会場で見た料理の事を思い出しながら私は部屋へと急ぎました。
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「美味しかったですわ!」
「料理人達に伝えておきます。彼らもお嬢様に褒められたとなれば喜ぶでしょう」
「そ・・・そうかしら?」
「そうに違いありません」
忠誠心が高すぎるノワールに内心で『フィルター掛かり過ぎですわ』と思いつつ、その忠誠心について思い出した事を話します。
「そういえばノワール、貴女にお礼を言わなければなりませんわね」
「お礼・・・でございますか?」
「ええ。フレッド様が現れたときの事ですわ」
あの時直ぐには気づきませんでしたが、パーティーの途中でノワールの体が震えているのに気づき、やはりノワールも赤の魔王に対して恐怖は感じていたのだと気づきました。
それなのに私や他の方々、騎士団長ですら動けなかった状況で、私の為にノワールは動いてくれたのです。
「結果的には何もありませんでしたが、そんな事も解らない状況で私の為に動いてくれた事、感謝しておりますわ。ありがとう、ノワール」
私は精一杯の感謝の気持ちを込めて、ノワールに頭を下げ礼を言いました。
「いえ・・・それは当然のことをしたまでで・・・いえ、そうでございますね・・・このノワール・マクリス、感謝お受け取りいたしましたお嬢様。お嬢様に感謝の言葉を頂き感無量でございます」
ノワールは大したことはしていないと言いかけましたが、私が真剣に頭を下げていたのが解ったのか素直に礼を受け取ってくれました。
ノワールが礼を受け取ってくれたので私は頭を上げ、ニコリとほほ笑み、今度は忠告をします。
「しかしノワール、私の事を案じて動いてくれたのは確かに感謝はしておりますが、私もノワールに何かあったら悲しくてどうにかなってしまいますわ。それは解ってくださいね?」
私はあの時、ノワールがフレッドに殺されるかと思いとても焦りました。
そしてもし、フレッドがノワールに危害を加えていたなら、私は何も考えずにフレッドに殴りかかっていたかも知れない、それほどまでに私の中でノワールの存在は大きくなっているのです。
そんな私の気持ちが伝わったのか、ノワールは深々と頭を下げてきました。
「畏まりましたお嬢様・・・私は嬉しく思います・・・」
でもそう言った後ノワールは急に顔をあげ、私の目をジッと見ながら口を開きました。
「お嬢様の気持ちは確かに分かりました。これからは自分の身の安全も確保して動く様にはします。ですが、自分とお嬢様双方に危険がある状況があったのならば、私は迷わずお嬢様の身を取ります。それだけは譲れないのです」
ノワールの瞳からは確固たる意志が感じられ、これは何を言っても考えは変わらないだろうと感じさせられました。
「やれやれ・・・頑固者ですわねノワールは」
私は軽くため息を吐きながら肩を竦めた後、ノワールに対して指を突き付けます。
「解りましたわノワール・・・ならば強くなるしかないですわね」
「強くでございますか・・・」
「ええ。何があっても私を守れるくらい強くなるのですわ。それに、魔王を目指す私の傍にいるつもりならば、強さは必須ですわ」
前々から考えてはいましたが、魔王になる私に付いて来るならばノワールにも強くなってもらわねばなりません。なのでこの状況を利用させてもらう事にしました。
「成程・・・確かにそれは言えるかもしれません」
ロマンスで出て来た時の状況を覚えている限りでは放って置いてもそこそこ強くはなるでしょうが、魔王級となると・・・恐らくですが実力が足りないでしょう。
(念の為に、ストーリー終盤に出て来る魔王レベルを目指すべきでしょうし・・・発破はかけておくべきですわよね)
ロマンスもRPGあるあるというか、終盤になるにつれて敵が強くなっていく方式になっていました。
なのでゲームでは強敵だった
例えば、ゲームだと最初に出て来る赤の魔王と後に出て来る緑の魔王なら圧倒的に後者が強かったのですが、現実で両者を見た感じだと確実にそうだとは言えない印象を受けました。
なので魔王の従者になるならば、強さは必須なのです。
「解りましたお嬢様!このノワール、魔王様であっても守れるように強くなります!」
「その意気ですわノワール!となると、私も負けていられませんわね。早く魔力が見える謎を解き明かさなくては・・・」
発破が掛かってノワールがやる気になってくれたのは良いのですが、私も自分の強化を進めねばなりません。
その為には魔力が見える謎を解き明かし、それを利用して強くなっていきたいところなのですが・・・
「しかし今日はもう疲れましたわね・・・時間も時間ですし・・・ふぁぅ。・・・あら」
令嬢にあるまじき欠伸をしてしまいましたが、眠いのは確かなのです。
という訳で・・・
「今日はもう休みますわ」
「畏まりました」
今日はもう休むことにして、寝る準備を進める事にします。
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「それでは寝ますわ、おやすみなさい」
「おやすみなさいませ」
お風呂に入り着替えも済ませ歯も磨き寝る準備が整ったので、私はベットに入りノワールの挨拶をします。
するとついていた明かりをノワールが消してくれたました。
(明後日にはまたあの3人とお茶会ですわね・・・。だから明日中に・・・少しでも検証・・・を・・・)
予定について考えていたのですが、私はいつの間にか夢の中へと旅立っていました。
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マシェリーより:最初にお知らせとお詫び申し上げますわ。19話にて魔王のミドルネームが色になると私は言いましたが・・・グウェル殿下の名前・・・
という事なので、グウェル殿下の名前を少々修正いたします。唯、作中の表現としてそのままの場合も有るかもしれませんわ。
「面白い」「続きが読みたい」「主従てぇてぇ!」等思ったら、☆で高評価や♡で応援してくだされば幸いですわ。
☆や♡がもらえると 禁断の関係が見れますわ!
マシェリーの一口メモ
【ロマンスはなんちゃって中世世界ですので、一応電気ではなく魔力で動いているという設定ですが、お風呂もあるしコンロ等の現代家電的なモノも存在しますわ。】
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