第22話 魔力についての検証

 パーティーが終わった翌日の15時頃、私は家庭教師のアリス先生に挨拶をしていました。


「今日もありがとうございましたわ先生。明日は午前中でしたわよね?」


「はい、その予定です。ではお疲れさまでしたマシェリー様」


「はい、また明日ですわ先生」


 挨拶を終えてアリス先生を見送ると今日の予定は終了です。


 私はテーブルへと向かい、椅子に座ります。

 するとすかさずノワールが寄って来て、お茶をテーブルへと置いてくれます。


「お疲れさまでしたお嬢様」


「ありがとうノワール。・・・ふぅ、やはりノワールの入れてくれるお茶は美味しいですわ」


「ありがとうございます」


 やがて少し時間が経ち、お茶を飲み終えたあたりでノワールに声を掛けます。


「それでノワール、頼んでいた件は大丈夫かしら?」


「はい、すでに手配は済んでおります。御呼びになりますか?」


「そうね、呼んで下さる?」


「畏まりました」


 そういうとノワールは部屋の扉へと向かい外へと声を掛け、4人の使用人を連れてきました。


「お待たせいたしましたお嬢様。こちらの4人が条件に合っている者でございます」


「「「「よろしくお願いいたしますマシェリーお嬢様」」」」


「ええ、よろしくお願いいたしますわお4人共。場合によっては少し長くなるけど、大丈夫だったかしら?」


「「「「大丈夫でございます」」」」


「解りましたわ。ではまず、そのままそこに立っていてくださる?」


 そういうと私は4人に向けてステータスチェックを掛けます。



 状態:普通

 強さ:弱い

 使用可能:黄

 好感度:低い


 状態:普通

 強さ:弱い

 使用可能:黄

 好感度:普通


 状態:病気

 強さ:弱い

 使用可能:青

 好感度:低い


 状態:普通

 強さ:弱い

 使用可能:赤

 好感度:普通


(いい感じですわね)


 現在何をしているのかというと、魔力についての検証です。


(さて・・・この結果によってはこの後の動きも変わってくるのですけど・・・。というか、『低い』って好感度は見ると少しへこみますわね・・・)


 少しへこむ事実も見てしまいましたが、重要な部分は使用可能となっている魔法の部分です。

 それは何故かというと、ノワールの協力によって魔力が見える事は判明したわけですが、解った事と言えばそれだけなのです。

 なので次のステップとして、ノワールの黒以外の魔力も見えるのかを検証する事にしたわけです。


(一応見えたらラッキーだと思って黄以外にも2色ほど連れてきてもらいましたが、どうでしょうね)


 一応考えと言うほどのモノではないかもしれませんが、今まで見えた事のある色なら見えるのではないかと思い黄の魔力を2人つれてきてもらい、それ以外にも2色連れてきてもらいました。

 一応ステータスが見える様になって意味深に表示されている好感度、これも関係あるのかな?とは思っていたりするんですが、今回程よくばらけているので要検証です。


「お嬢様、考え事をするにしてもずっとその可愛いポーズでは使用人達が困ってしまいます」


「あら・・・ごめんなさい・・・ってえぇ・・・」


「如何いたしました?」


 ステータスチェックをするために目の横でピースしていたんですが、私はある事に気付きました。

『好感度:低い』の方が2人いたのですが、何時の間にか2人共『好感度:普通』に表示がかわっていたのです。


(好感度・・・設定がガバガバですわね・・・)


 これでは好感度が関わっているかの検証が出来ませんが、仕方がないですが魔力の視認が出来るかどうかの検証を始める事にします。


「何でもないですわ。それでは端の方から順にこちらへ来て下さる?」


 私はステータスをチェックした順に1人づつ近くへ呼んで片手を握らせてもらい、片手で魔力を操作してもらいます。

 取りあえず結果の有無に係わらず一通り見たかったので、操作を30秒ほどしてもらい交代という感じで、それを計4回繰り返しました。


「成程・・・解りましたわ」


「如何なさいましょうお嬢様?」


「・・・全員帰ってよろしいですわ」


 結果は・・・見事に全滅でした。

 赤と青の魔力に関しては、元から駄目かなあとは思っていたので良かったのですが、見えると思っていた黄の魔力まで見えなかったのは大誤算でした。


 その為私はため息をつきながら喋ってしまったのですが・・・


「も・・・もうしわけございませんマシェリーお嬢様!」


「わ・・・私にもう一度チャンスを!お願いします!」


「私にもお願いいたします!なにとぞ!なにとぞ!」


「あはは・・・ははは・・・終わりました・・・」


(え・・・えぇ・・・)


 何故か使用人達は慌てふためき、許してくださいと懇願し始めました。

 そんな中ノワールがスッと近寄って来て耳打ちしてきます。


「お嬢様、この者達はお嬢様が天啓を受けたことを知らないのです。ですから最近は優しく、そして以前より可愛らしくなってきたと思っていた様ですが、先程の喋り方で、やはり以前の様に罰せられると思っているのでございます」


 ノワールにそう教えられ納得しました。どうやらほんの一部の人以外の中では、私は以前の悪役令嬢のままの様です。


(そうそう人の印象は変わらないという事ですわね。・・・っというか、ノワールは以前にアリス先生に話した天啓の事信じているんですのね!?)


 私に対する印象はこれからの行動で変えていくしかないと考え、取りあえず目の前の4人の対応をすることにします。


「申し訳ありませんわ4人とも、私の言い方が悪かったですわね。私はある事を確かめたかったのですが、もうそれが確かめ終わったので『帰っていい』といったのですわ」


「「「「・・・え?」」」」


「以前なら確かに何か言ったかもしれませんが、私は心を改めましたの。言わばマシェリーバージョン2ですわ。そしてこのマシェリーバージョン2は人に優しくをモットーにしておりますの。だからそんなに怯えなくて大丈夫ですわ」


 4人は不思議そうな顔をして、未だによく解っていないような顔をしていたのでどうしようと思っていたのですが、ノワールが「任せてください」と言って4人に何かを話しかけました。

 少しごにょごにょと何かを喋っていたのですが、それで4人は納得したのか落ち着いてくれました。


「お嬢様、私の方から説明しておきました。これで恐らく問題ないかと」


 ノワールもそう報告してくれたので、私は胸を撫で下ろして4人に改めて退出していいと告げました。


「「「「では失礼いたしますマシェリーお嬢様」」」」


「ええ、今日はありがとう貴女達。・・・と、そうですわノワール、ちょっとこちらへ」


 私は4人が出ていく前に、1つだけノワールに言づけをします。ノワールはそれを了承し4人を部屋の外へと連れ出しに行きました。

 私はそれを見送りつつ、今回の検証について考えをまとめます。


 今回の検証結果としては、魔力は見えなかったとなりました。

 一度見えた事のある黄の魔力も今回来てくれた2人では見えず、見るには何らかの条件があるのかもしれません。

 好感度が関係しているという可能性を最初は疑っていましたが、そもそもが私に対する好感度がノワール並みに高い人物はほぼいないので、検証しようと思ってもできないかもしれません。


(黒の魔力持ちがノワール以外に居ればいい検証になるのですが・・・黒や白はレアですものね、これも検証は無理ですわ)


 こんな感じで、今回の検証結果が大体まとまったところでノワールが返ってきました。


「戻りましたお嬢様」


「ありがとうノワール。今日は後、黒の魔力が扱えるかどうか試してみたいのだけれど、いいかしら?」


 今日はこれ以上黒以外の魔力についてあれこれするのは難しそうだったので、唯一見える黒の魔力について調べる事にして、ノワールに協力を要請します。


 答えは「勿論でございます」との返答を頂いたので甘えることにして、私はその後寝るまでノワールの協力の元、黒の魔力を扱えるかを試して時間を過ごしました。



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 マシェリーより:お読みいただきありがとうございますわ。 

 「面白い」「続きが読みたい」「悪役令嬢というかやばい奴?」等思ったら、☆で高評価や♡で応援してくだされば幸いですわ。

 ☆や♡がもらえると 私が 天使系令嬢になりますわ!


 マシェリーの一口メモ

 【私も調べて初めて知ったのですが『○○をモットーとする』のモットーとは、実は英語で「motto」と記述するらしいですわ。因みにモットーは座右の銘、標語、金言、等の意味になるそうですわ。】

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