第19話 波乱のパーティー?
パーティーで私達が登場するにもタイミングがある為、私とお父様は待機部屋へと入り雑談をしておりました。
「しかし今回はがらりと感じを変えて来たね?何時もの男性方では不満だったのかい?」
「いえそんな、何時も招待に応じてくれる方々に不満などありませんわ。唯グウェル殿下と婚約したので、流石に男性方とパーティーを開くのもどうかと思いましたの」
本当は不満ありありのゲロゲロでしたが、流石にそれは言えないのでそれらしい理由を言うとお父様は納得していました。
しかし娘が男性オンリーのパーティー・・・お父様はコネクションづくりや政治的なアレコレの為に開かせていたのでしょうが、どんな事を考えているのでしょうか?
私やお母様には優しく強い父親といった感じで接してくれてはいますが、やはり内心では『自分以外は利用する駒』と考える、悪役貴族的な思考なのでしょうか?
(まぁ流石にそこまではいかなくても、近い考えだとは思っているのですがね)
このお父様の元ではどうにか悪役令嬢として破滅エンドを免れても、ろくなことに成らないと再確認できたので、魔王に成ろうと決意したのはやはり正解のようです。
私はそんな事を想いながらお父様を見て、色々な感情を乗せて呟きます。
「ええ本当に・・・有り得ませんわ」
因みに設定資料集の事を思い出すと、マシェリーは子供のころからパーティーをしていたとなっていたので、私が今回止めると言わなければお父様は逆ハーレム状態のパーティーを続けさせていたと思います。
一応清い体ではいた、みたいな事は書いてあった気がしますが・・・
(この時期に転生出来てセーフでしたわね)
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複雑な心境になりながらもお父様と雑談を続けていると、待機部屋の扉がノックされます。
「御当主様、マシェリーお嬢様、お時間でございます」
「解った。行こうかマシェリー」
「解りましたわお父様」
いよいよ時間が来てしまったようです。私は少しドキドキしながらお父様の後に続きます。
会場への途中でそれに気付いたのか、お父様が声をかけてきました。
「何だいマシェリー、緊張しているのかい?」
「少し・・・、今日は私の体験した事のない規模ですので・・・」
「なぁに、何時もと一緒さ。ほんの数人偉い人達が入るけど、基本的には有象無象が殆どさ。偉い人達は有象無象に囲まれるから、長く喋る事もないしね。それに話すとしてもパパが話すから安心しなさい」
「ええ・・・」
正直悪役令嬢のままなら緊張する事もなかったのでしょうが、小心者のアラフォーおじさんの精神が混ざった今の私は凄く緊張していて、気分的には『はじめてのぱーてぃー』といった感じでした。
なのでナチュラルに格下を見下していくお父様を見て、今はそれが少し頼りになると感じてしまいました。
(悪役貴族と何とやらも使いようですわね)
緊張して変な事を考えたりしていたのですが、それもパーティー会場に繋がる扉に着いたことで、強制的に終了となりました。
「では開けます」
「ああ」
「え・・・ええ」
使用人が確認を取ってくるとお父様は当然の如くノータイムで返事をしたので、私も返事をせざるを得ませんでした。
(あぁ・・・開いてしまいますわ・・・)
私の目にはゆっくりと開かれる扉が映り、やがてそれは天井からつるされた煌びやかな明かりへと変わりました。
そしてそのまま前方へと歩き視線を水平から下方へと下げていくと、1階にいる招待客の方々が2階の私達を一斉に見ているのがよく見えました。
私はその沢山の視線を受け逃げたくなりましたが、後方の扉が閉まった音が聞こえた事でもう逃げれないと覚り、招待客へとぎこちなくですが笑顔を見せました。
『オーウェルス家当主クォース・フォン・オーウェルス様とご息女マシェリー様・・・と当主様の妻キャスアナ様がご入場です』
えっ・・・!?
私とお父様は叫びはしませんでしたが、顔をバッと後ろへ向けるとそこには、お母様『キャスアナ・フォン・オーウェルス』が満面の笑顔で立っていました。
「何を固まっているのです?さぁ早くいきましょう?」
「あ・・・あぁ、そうだねキャスアナ」
お母様に声をかけられたお父様は、確かにここで固まっている訳にはいかないと思ったのか、お母様へと腕を差し出して捕まらせ、登場した2階から階段を降りて行きました。
私は予想外の展開に緊張など吹き飛んでしまい、何も考えずお父様とお母様の後に続き階段から降りて行きました。
階段を降りると招待客の方々が入れ代わり立ち代わり挨拶に来るのですが、私はそれを話し半分で受け流し、チラリとある方を見ます。
「オホホ、ようこそいらっしゃいましたわぁ~」
その方・・・お母様は笑顔で、主にイケメンの方々と挨拶を交わしていました。
(やっぱり目当てはイケメンの方々ですのね・・・。まだ挨拶だけだからいいですが、ココからの行動が怖いから呼ばずにいましたのに)
お母様である『キャスアナ・フォン・オーウェルス』は燃えるような赤の髪と瞳、そして吃驚するほどの体形を持つ綺麗な方です。
しかし性格は綺麗とはいいがたく、何と言いますか・・・宝石や男性が好きな悪女と言いますか・・・。ロマンスに前作があったら、この人が悪役令嬢です、と言えるくらいの方です。
なので今回のイケメン方を集めたパーティーに呼ぶと少し不都合があると思い、パーティーの情報を隠して2,3日前から旅行に行かせていたのですが、何処から嗅ぎつけて来たのか戻って来たようです。
(来年に弟か妹が出来てお家騒動とかにならなければいいのですが・・・お母様を見ていると、ならないとは言い切れませんわ。頼みますわよお父様・・・)
私がお父様にチラリと視線を飛ばすと、お父様からも頼むぞみたいな視線が飛んできたので、私達は2人で頷き心を合わせます。
((頑張って無事に今日を乗り切)るぞ!)ますわよ!)
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私とお父様がお母様の様子を見ながら進めていた挨拶ですが、使用人の声により一時中断されます。
『クロスブレー家当主、バルディッシュ・フォン・クロスブレー様がご入場です』
どうやら私達の後に続く招待客、同列若しくは上位の方が会場に入られるようでした。
会場に居た方々は、私達も含め2階の階段上に体を向けます。
(確かこの名前は・・・、直前まで来るかどうかわからないといった感じの曖昧な返答を受けていましたが、どうやら来られたようですね)
来てくれたのならラッキーですわ、と思っていると、その方が姿を見せました。
バルディッシュ・フォン・クロスブレー侯爵、その方は歳をめしていた筈ですが、そんな事を微塵も感じさせない佇まいをしていました。
白髪が若干入った茶髪に鋭い目つき、そして来ているスーツをパツパツに押し上げるその肉体で力強く歩いて見せました。
しかし何故かクロスブレー侯爵は階段を降りず、階段中央から少しだけ逸れて動きを止めました。
1階にいた全員が「?」となって気を抜きましたが、次に聞こえた使用人の言葉に全員が気を入れ直します。
『ファースタット王家グウェル・ファースタット殿下がご入場にあらせられます!』
その使用人の言葉の後ゆっくりと扉が開き、グウェル殿下が姿を見せました。
10日程前にも見ましたが、相変わらず真面目そうな目とはっきりと濃い緑色が私の目を引きました。
グウェル殿下が階段のところ辺りまで進むと、それまで止まっていたクロスブレー侯爵も動き出し、グウェル殿下を守る様に階段を降りてきました。
(成程・・・そういう事ですのね・・・)
私はクロスブレー侯爵が何故招待に応じたのかが解りましたが、来てくれたのなら何でもいいかと思い、降りて来た二人の元へ両親と共に近づいて行きます。
そして私達3人はグウェル殿下の前に行くと膝まづきます。見えませんが恐らく、私達の後方で他の招待客も全員膝まづいている事でしょう。
「よい、楽にせよ」
「「「「はっ」」」」
2,30秒間をとりグウェル殿下がそう声をかけると私達は漸く立ち上がり、お父様がホストとして声を掛けます。
「グウェル・ファースタット殿下、並びにバルディッシュ・フォン・クロスブレー侯爵、本日は私共の招待に応じていただき・・・・・・・」
お父様が長々とお礼の口上を述べるのを聞きながら私は、表情に出さない様にしながら心の中でため息を吐いていました。
転生前の日本でも偉い人との会食や会議などで面倒くさい思いはしていましたが、流石貴族といった感じで、転生前の比でないほど面倒くさそうでした。
早く終わらないかしら・・・
そんな事を考えていたのが天に届いたのでしょうか、その挨拶は使用人の声によりストップしました。
『〇・・・○×▽?%&??!ごごご・・・ごにゅうじょでしゅ!』
会場にいた全員・・・グウェル殿下でさえも聞こえた言葉に「ん?」という感じになりました。
『〇・・・○×▽?%&??!ごごご・・・ご入場ですっ!』
噛みまくっていたからなのか、再度使用人の声が聞こえましたがそれも噛み噛みで、何と言っているかがよく解りませんでした。
「は・・・はは、申し訳ありません殿下」
「う・・・うむ?」
お父様とグウェル殿下の間には少し気まづい空気が流れていましたが、この後に流れる空気に比べたらそれは・・・優しいそよ風の様な物でした。
『あ・・・赤の魔王フレッドバーン・レッド・ブラッド様!ご入場ですっ!』
「「「「「「!?」」」」」」
「・・・え?」
天に祈りが届いたのはいいのですが、凄いモノを降ろしてくれましたわ。
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マシェリーより:お読みいただきありがとうございますわ。多分ですが、今日は後1話20時頃に上げると思いますわ。
「面白い」「続きが読みたい」等思ったら、☆で高評価や♡で応援してくだされば幸いですわ。
次回予告をいたしますわ! 次回!推しが来た!?
☆や♡がもらえると 貴方様の推しも現われますわ!
マシェリーの一口メモ
【赤の魔王ですってええぇえ!?という事で、赤の魔王登場ですわ。魔王の名前は○○・色・○○と言う風になりますわ。という事で、私のミドルネームも変わるわけですの。もしも当てれたなら、その方には100マシェリーポイントを与えますわ】
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