第18話 貴族のパーティー・準備編
私の叫びは防音がバッチリ聞いた部屋に打ち勝ち、外で待機していた使用人が吃驚したみたいでした・・・
と言う余談はさておき、ノワールよりもたらされた情報『月末恒例のパーティー』についてです。
私とノワールは夕食後部屋に戻ると再び椅子に腰かけて、そのパーティーとやらについて話をすることにしました。
「それでお嬢様、パーティーなのですが・・・」
そんなノワールの声を聞きながら私は転生してくる前の記憶を探ります。すると確かに毎月月末にパーティーを開いている様でしたが、これを行えと・・・?
「ノワール、パーティーはキャンセルですわ。そして今後も開かなくて結構ですわ」
私はパーティーの様子を思い出し、ノワールにパーティーのキャンセルを申し出ます。
然しそれは無情にも却下されました。
「お嬢様、今後は開かなくても良いかもしれませんが、今回のパーティーのキャンセルは少し難しいと思われます」
「何故ですの!?」
(私に・・・私にあんなパーティーへ出席しろと言うのですか!?あ・・・あんな、あんな・・・)
「それはグウェル殿下との婚約が関わってまいります。御当主様から今回のパーティーにてそれとなく広めるので、今回は行うようにとの事でした。しかし今回でパーティーを開くのを終わらせたいと・・・私は嬉しく思います。ええ、本当に」
ノワールは良かった良かったといって嬉しそうにしていましたが、それもその筈。
「あのような貴族令息ばかり集めたパーティーなど・・・!万が一ではありますが、あの中の誰かにお嬢様が穢されるかと私はずっと心配しておりました!」
そのパーティーとは、年頃や一部年上の男性貴族を集めた逆ハーレム状態のパーティーで、私の事が大好きなノワールは口には出していませんでしたが、ずっと反対だったみたいです。
悪役令嬢だった頃は男性にちやほやされて嬉しかったみたいですが、今の私はあまりうれしくないですし、明らかに私の体を狙っていそうな方もいらっしゃったので断固として開催反対です。
(お父様も政治の一環とはいえ、娘をあんな変態も居る場所に送るなんて・・・流石悪役ですわぁ・・・あ、そうですわ)
「どうせなら最後のパーティーは趣向を変えて差し上げましょうか。お父様もコネクションづくりはもういいでしょうし、グウェル殿下との婚約も決めたので否とは言わない筈ですわ」
最後にするとはいえ、あの逆ハーレム状態のパーティーは勘弁してほしかったので、私はパーティーの趣向を変える事を考え、その案をノワールに話します。
ノワールは私の話を聞き賛成してくれたので、お父様に許可を取りに行く事にしました。
(流石に色々ありますから、話を通しておかねばなりませんものね)
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私達はその後お父様へと話を通し、許可をもらったので動き始めたのですが・・・大変でした。
元々開く予定だったパーティーを調整し、私の考えた案を実行して・・・。
(おかげで信号機トリオとのお茶会も全キャンセルでしたわ。楽しいお友達付き合いが出来そうなところだったのに・・・残念ですわ。それに魔力の事も全然進められませんでしたし!思い付きでやろうと思ったのは失敗だったかしら・・・?)
でも・・・と、私はセッティングされた今日のパーティー会場を見ながら、開催予定時刻より早く来て私に会いに来たサマンサをチラリと見ます。
(今日のパーティーは楽しくなりそうですわ!・・・サマンサはもうすでに楽しそうですが)
「豪華ですねお姉様。あ、ダンスとかもあるんですか?あるのなら私と踊りませんか?」
「サマンサ、もう少し落ち着きなさい。今日は楽しいかもしれないけど、羽目を外し過ぎるのも考え物ですわよ」
「あ、そうでしたね。えへへ・・・」
サマンサに軽く注意しますが、私に構ってもらえたのが嬉しいのか全然聞いているそぶりがありません。しかしサマンサも貴族令嬢、その時になればきちんとするでしょう。
「しかし凄いですね。流石はオーウェルス家といった感じですお姉様」
「ある噂の関係で、招待客が豪華になったり増えたりしましたもの。それに合わせて会場も豪華に大きくしたのですわ」
サマンサが今回のパーティーについて語りますが、私は今回のパーティーの為に私とグウェル殿下の噂話をワザとあちこちに流せさせました。
「噂・・・ですか。私もチラッと聞きましたが・・・嘘ですよね?」
「さぁどうかしら・・・うふふ」
と、今のサマンサの様に興味を覚えた方々が招待を受けてくれて、私の考えたパーティーは成功と相成りました。
それは勿論私が招待したかった方々も含まれていて・・・
「成程、こういう風につられて現れるという事ですか・・・国内のイケてる殿方が・・・」
そう、私の招待したかったのは国内のイケメン達です。
「ええ、そうですわ。私の考えたパーティー、その名も『国内のイケメン大集合~貴女もきっと推しに会える~』のターゲットである国内のイケメンの方々はこういう風につられたのですわ。そしてそのイケメン目当ての方々も一緒につれましたわ」
このパーティーは私がイケメンを見たかったとかではなく、お祭りみたいなパーティーにしたら楽しいかもしれないと考えたのと、国内有数のイケメン達を呼ぶことによって、何時も月末パーティーに現れ邪な心を私に向けて来る男性方をへこませてやろうという、2つの考えの元開催されたパーティーなのです。
因みに女性の方を招いたのは、本来招きたかった信号機トリオの3人の隠れミノにしたかったからと、単に男だけのムサイ空間が嫌だったからです。
(私としては3人の令嬢達とのお茶会で十分なのですが、パーティーを開かないといけないのであれば、楽しい方がいいですものね)
「まぁパーティー名は冗談ですが、カッコイイ殿方達が来るのでサマンサも堪能したらよろしいですわ」
どうせならここで3人の令嬢を接待して、更に仲良くなろうとの試みもありサマンサに言ってみたのですが・・・
「え?私は正直お姉様さえいればもういいですよ?ところで、噂は嘘なんですよね?ね?」
3人の内の1人は男性不信にでもなったのか、はたまた唯目覚めたのかは解りませんが、イケメンを使った接待は不要の様でした。
私が目覚めさせたのならば責任を取るべきかしら・・・、と考えつつサマンサと喋っていると、オーウェルス家へ招待客がやって来た事の知らせが続々と入ってきました。
「そろそろ招待客がやってきますわね。私はお父様と一緒に部屋で待機を始めますわ。サマンサ、また後で会いましょう」
「解りましたお姉様。また後で」
私はサマンサと別れ、お父様が待つ待機部屋へと向かいました。
いよいよ・・・パーティーが始まります。
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マシェリーより:お読みいただきありがとうございますわ。本日2話目ですの。
「面白い」「続きが読みたい」等思ったら、☆で高評価や♡で応援してくだされば幸いですわ。
次回予告をいたしますわ! 次回!え?貴方様が何故ここに!?
☆や♡がもらえると 貴方様も私のパーティーに招待しますわ!
マシェリーの一口メモ
【貴族のパーティーはホスト側の地位やパーティーの種類等でも色々作法がありますわ。今回のパーティーは公爵であるオーウェルス家がホストを務めるので、大体の招待客が入った後に私たちが現れ、そして私達と同列若しくは以上の方々をお招きいたしますわ。因みに作者の妄想設定でしてよ】
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